アイコン コーセーアールイー 内定取消裁判 敗訴を受け控訴

裁判は、時の法律に基づき運用されるが、その時の権力者や社会的な情勢、はたまた裁判官の価値観により判断は変化していく。
 そうしたなか行われた内定取消訴訟、労働審判で学生側に軍配が上がり、不服とした会社側が裁判に持ち込んだ。福岡地裁で会社側は敗訴、これを不服として会社側は福岡高裁に控訴した。
判決内容、同社の見解および今後の対応が、次の通りリリースされている。

平成22年6月2日、福岡地方裁判所において争点となった事項に対し、以下の判断が示され、当社が当該2名の方にそれぞれ85万円および110万円を支払えとの判決が言い渡されました。

<裁判所の判断>
争点①本件内々定により労働契約が成立しているか。
本件内々定は、正式な内定と同様の始期付解除権留保付労働契約が成立したとはいえない。
争点②本件内々定取消には合理性があるか。
始期付解除権留保付労働契約の成立を前提とする原告の主張は①により理由がない。
争点③期待権侵害あるいは信義則違反があるか。
当社は、労働契約締結過程における信義則に反し、原告の期待利益を侵害する不法行為についての損害賠償責任がある。
争点④損害額
1名については、平成21年1月に採用内定を得て現在就労していることなどから、その精神的損害に対する慰謝料は85万円(弁護士費用10万円を含む)が相当。他の1名については、就職先が決まっていないことなどから、当該慰謝料は110万円(弁護士費用10万円を含む)が相当。

当社は、上記①②については、当社の主張どおりでありますが、上記③については一部を除き納得できない点があり、また、上記④の慰謝料の金額については、明確な根拠が示されておらず、当該裁判所で行われた労働審判の結果を踏襲しているに過ぎないものと考えられ、承服しかねることから、控訴することといたしました。

<今後の見通し>
本件訴訟に係る費用が当社の業績に与える影響は軽微であります。また、当該事案に関する報道等の当社事業等に与える影響につきましては、現時点において確認できておりません。
今後、開示すべき事項が発生した場合は、速やかに開示いたします。

以上

当裁判は、同社にとって経営者が急激なる経済変化の中で会社を維持存続させるための戦いであろう。一方、当該の学生も機会損失という大きな代償を支払っている。
判断は福岡高裁に持ち越されることになった・・・・。
 

[ 2010年6月 8日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
スポンサードリンク