アイコン 【解説】「インターネット激安ショップ トマト」の破綻/㈱シモカネ

シモカネ「インターネット激安ショップ」と「インターネット激安ショップ トマト」のサイトを運営していた㈱シモカネが8月30日負債総額約49億円で自己破産申請して行き詰った。
 同社は、真部良孝代表が、地方(本社:山口県下関市椋野町3-18-12) からでも、インターネットの世界では全国区になれることを実践してきたことでも知られる。

同社は、家電製品や照明器具、音響機器、家庭用雑貨などを中心に激安ショップを展開、平成20年1月期には、98億65百万円の売上高を計上。それ以前の2期も90億円台の売上高を計上して、売上高は過激になるばかりのネットショップの世界にあり安定していた。
しかし、平成20年9月のリーマンショックにより、消費者の購入意欲は一機に急低下、価格競争もいっそう激しくなった。昨年よりエコポイント導入で回復してきた家電市場であったが、家電量販店の恩恵は大きいものの、ネット販売業者の恩恵は少なかった。また、これまで取引額の大きかった得意先と回収トラブルが発生、同社への販売がなくなり、2010年1月期の売上高は約55億円まで急低下、2期連続赤字となっていた。 

同社は昭和26年2月設立、これまで電気製品や金物の卸業を営んできた。平成9年頃ホームページを開設、翌年の6月には「インターネットショップ トマト」を開設した。ネットショップ業界では早い方の展開であった。しかし、当初は生活雑貨を中心に販売、それほどの販売効果はなかった。ところが、その後商品の主力をビデオカメラ、カーナビ、エアコン、パソコンの4つを中心に価格比較サイト上にて価格競争し始めたことから、知名度が上がり、急激に売上高を上昇させ、瞬く間に月商が1億5,000万円(平成13年期)以上となった。
翌年の平成14年には、月商も3億円以上にのぼり、急激に売上高は拡大していった。
同社は、ネット販売システムも自社構築、決済も運送会社のコレクトサービスシステムを利用、工事が必要なクーラー等の大型家電や物置などは、全国に工事業者をネットワークして対応した。ネットショップの商品展示数も増加を辿ってきた。その結果、売上高は100億円弱まで上昇してきた。

しかし、平成17年頃から大型家電量販店もネット販売に力を入れ、価格競争はより激化。また最近は大型家電量販店がアウトレット店を展開するなど、ネットショップ市場も店舗も価格競争が一段と過激となっている。

同社は、平成18年から20年にかけ3期連続して90億円台の売上高を計上していたが、100億円を突破することは出来なかった。100億円は同社にとって大きな壁であった。

同社に打撃を与えたのは、リーマンショックにおけるネット世代に対する不況の直撃である。売上高は急激に落ち込み、同社は利益を捻出するため買取商品も多く、資金が在庫で固定化、実質大赤字に至っていた。売上高の好転も見込めず資金が回転せず今回の事態に至ったのであった。

同社に商品を供給していたある業者は、これまで長く取引しており、今回の事態は寝耳に水と全く予期していなかったと驚いていた。同社は掛売りしており焦付いたとのことであった。

同社の取引先にはこれまで、各家電・音響メーカー品のインターネット卸業者、コロナ、象印マホービン、田窪工業所、ハヤカワコーポレーションなどが掲載されていた。
取引銀行は、十八銀行、山口銀行、西中国信金、みずほ、商工中金等

 

[ 2010年8月31日 ]
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