アイコン 進化する建設技術シリーズ(22) 銭高組 発生汚泥の減容化

柱列式連続壁(SMW)工法による発生汚泥の減容化-環2地下トンネル築造工事-
1. 概要・目的
 都市部では、地下空間の有効利用を目的に各種トンネルの築造が行われている。
 特に、開削トンネルで多く適用されている柱列式連続壁(SMW)工法は、土木・建築とも山留め掘削工事等の大型工事で採用されている工法で、錢高組では2009年度は土木工事で3件、建築工事で6件施工している。

今回、環2地下トンネル築造工事に導入した技術は、環境負荷の軽減を念頭において、従来からの課題であった「SMW工法で発生する泥土の減容化」に取組んだもので、当該技術の適用によってCO2削減、コストダウン等への貢献度を確認・検証して、今後の展開を図ることを目的とした。
2. 泥土減容化の概要
1) 減容化の概要
  SMW工法で発生する掘削泥土はセメントが混入して泥状化を呈し、従来は現場での処理が難しく掘削泥土のすべてが汚泥として産廃処理されていた。
  当工事で実施した技術は、高濃度泥水処理を目的として既に開発を行い実用化した「アクアセパレート(溶液型、粉末型)」による水処理工程と、泥水シールド工事で実施している発生土処理システム(振動フルイ、フィルタープレス)を組合せることで、SMW工法の発生泥土の減容化を行うもので、発生泥土の40~50%の減容化(産廃量の低減)を目標とした。

2) 減容化の手順
 【減容化の計画】
① 実施に先立ち現場発生土を用いて、発生土の物性値を把握するとともに、ふるい分試験及び凝集試験等によって「減容化の効果」を確認。
② 上記の各種試験結果に基づき、実工事における処理能力の検討とプラントの計画を行います。プラントの計画には振動フルイによる1次処理と高性能凝集剤アクアセパレートを用いた水処理施設(2次凝集処理)、さらにはフィルタープレスによる3次脱水処理と濾水の濁水処理施設を設ける。
  【減容化の実施】
    ①比重1.7~1.8のSMW工法の発生泥土を原泥槽にて比重1.4~1.5に調整 
する。
    ②比重を低減した原泥を1次処理機(振動フルイ)に送り砂・礫分を回収。
    ③砂・礫の回収後、サイクロンで分級されたスラリーを水処理施設の調整槽に送     
り、高性能凝集剤アクアセパレートを添加して細粒分の凝集効果を高める。
    ④2次凝集処理したスラリーを3次(脱水)処理機(フィルタープレス)に送り、  
脱水ケーキと処理水(ろ水)に分離に分離。この時、脱水ケーキは平ダンプで場外搬出する。
 ⑤ろ水を濁水処理機に移送してpH及び濁度を基準値内に調整し場内で有効利用  
する。

3.減容化の結果
 SMW発生泥土の減容化について施工結果から下記の事が判明。
 ○SMW発生泥土を処理土の容積で約40%減容化した。
 ○減容化による搬出ダンプの低減から、本処理システム全体として約15%程度のCO 
2を削減した。
 ○アクアセパレートによる脱水直後の脱水ケーキの強度は、第3種以上の強度であるこ
とを確認した。
 ○本処理システムは、対象土量が3000m3以上ある場合に対費用効果があることが 
分かった。
 ○今後はプラントの小型化と専用プラントを構築する必要。

4.今後の方針
 SMW工法発生泥土の減容化は、セメントが混入されているため一連の処理工程が時間との勝負になる。また、毎日の運転前処理、本処理、後処理を充分に行うことが、安定的な処理量の確保につながった。
 また、今回はSMW工法の汚泥処理専用プラントではなく、レンタル汎用品に水処理工程を加えた一連のシステムを構築したため、フィルタープレス(1回1m3)の能力によって全体処理量の制約をうける結果となっ。
 今後は、当実績によって小規模で効率の良い減容化システムを構築するとともに、湖沼やダムの浚渫、場所打ち杭や地盤改良の泥土処理、泥土圧シールドの汚泥処理等の減容化に取組んでいきたいと考えているとしている。
 

SMW
[ 2010年9月 9日 ]
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