アイコン 防火樹脂サッシ不適合問題 YKK AP、新日軽・不二サッシ・トステム・三協立山アルミ・エクセルシャノン・トクヤマ

防火樹脂サッシ・窓問題は、07年10月に発覚したニチアスの防火材偽装事件に始まる。ニチアスが販売している防火材が、国交省が認証した時の性能を具備していなかった。
当時、姉歯事件の耐震構造偽装問題に続き、ニチアス偽装問題として大きな社会問題に発展した。東洋ゴム工業なども同様な問題を生じさせた。
そうしたことから、国交省は07年11月、建材の防火性能について、全メーカーに対して、性能チェックするよう要請、報告を求めた。

 

ところが、(防火樹脂サッシを国内で初製品化した)トクヤマ=エクセルシャノンは、性能試験を行わず、問題なしと報告していた。
 
それから時が経ち、09年1月国交省はエクセルシャノン製ほかの防火樹脂窓が不正受験していたと発表した。
 エクセルシャノンの親会社であるトクヤマは「輸入品価格に押され、コスト削減する必要があり、製造開発担当者が高価な延焼防止材を少なくして、5~8万円の価格を1万円コストダウンさせた。その時に防火性能試験をしなかったことが今回の問題になった」と説明していた。項目Ⅰ~Ⅲの通り。
 
今年1月28日になると、の通りサッシ業界の巨人トステムに問題が飛び火した。同社も07年11月の国交省が求めた性能チェックを金もかかることからしなかったようである。
しかし、同社の場合は、(社)カーテンウォール・防火開口部協会(当協会という)から認証を受けていた。
 当協会への取材で明らかになったのは、「形状などの仕様書を見てチェックするだけです、防火基準である耐火性能要20分以上の検査などはしておりません。そうした検査はトステムさんですることでしょう」と07年11月の国交省通達がトステムでも当協会でも完全に反故にされていた実態が浮かび上がってきた。トステムも免罪符的に当協会の認証を受けていたと思われる。

そこで、国交省に取材すると「当協会さんは業界団体さんであり、防火樹脂サッシの仕様変更など自主的に認証をされているようですが、国交省とは全く関係ありません。当協会さんは第3者機関でも何でもありませんから」との返答であった。

 トステム問題が発覚し、国交省はその他のメーカーの防火樹脂サッシの性能チェックを行うよう業界団体である当協会に要請した。

 3月9日になり、その結果が国交省からの通り発表された。YKK AP、新日軽、不二サッシの不正品が13,420棟も納品されていたことが明らかになった。

 当協会が、これまで性能試験もせずに認証などのお墨付きを与えていたことから、こうした問題が発覚しており、業界は当協会の今後のあり方を考える必要があろう。
ハウスメーカーやサッシ各社が出資して、第3者機関として検査センターを作ることも考えられる。

国交省では、防火材に限らず、国交省が認証した建材については、今後とも抜き打ち検査を続けるとしている。

<以下 国交省発表分>
Ⅰ、防火設備(樹脂製窓)の性能試験における不正受験等について
2009年1月8日(防火樹脂製窓不正受験事件)
㈱エクセルシャノン(4,600ヶ所)
三協立山アルミ(750ヶ所)
新日軽(90ヶ所)、
㈱PSJ(4ヶ所)、
H.R.D. SINGAPORE PTE LTD(530ヶ所)
の5社計5,974ヶ所
(製造は全部トクヤマ及びトクヤマ子会社のエクセルシャノン)

<以下、原文>
1. 概要
・(株)エクセルシャノン、三協立山アルミ(株)、新日軽(株)、(株)PSJ及びH.R.D. SINGAPORE PTE LTD の5社が、防火設備※1(樹脂製窓)について、申請した仕様と異なる不正な試験体を使用して建築基準法に基づく性能評価を受け、大臣認定を受けていたこと等が判明しました。
※1 防火設備:防火戸その他火炎を遮る設備のことであり、建築物の壁の開口部を通じた延焼を防止するために設置される。
2. 経緯及び事実関係
・(株)エクセルシャノンが、防火設備(樹脂製窓)について不正な試験体を使用して性能評価を受け、これに基づき大臣認定を受けていたこと及び他社と共同で性能評価を受けたものがあることについて、同社から国土交通省に報告がありました。
・この報告を受けて調査を行ったところ、(株)エクセルシャノン、三協立山アルミ(株)、新日軽(株)、(株)PSJ及びH.R.D. SINGAPORE PTE LTD の5社が、計27種類の防火設備(樹脂製窓)の遮炎性能試験※2又は準遮炎性能試験※3において、試験結果に有利となるよう、申請した仕様と異なり、窓枠等の内部における遮炎材の増量等をした不正な試験体を使用して試験に合格し、性能評価を受けていたことが判明しました。
※2 遮炎性能試験:両面20分間の加熱に対し、非加熱面側に火炎が噴出しないことを確かめる試験。
※3 準遮炎性能試験:片面20分間の加熱に対し、非加熱面側に火炎が噴出しないことを確かめる試験。
・また、これらの不正な試験体を使用して性能評価を受けた計27種類の防火設備(樹脂製窓)について、(株)エクセルシャノン、三協立山アルミ(株)、新日軽(株)、(株)PSJ、H.R.D. SINGAPORE PTE LTD の5社が計80件の大臣認定を受けていました。
・なお、上記以外に、(株)エクセルシャノンが販売した防火設備(樹脂製窓)について、認定仕様と異なる仕様の製品を販売していたものが4件あったことについて、同社から国土交通省に報告がありました。
・これらについて、各社は、平成19年に実施した「防耐火関連の構造方法等の認定に関する実態調査」において、[1]不正な試験体による性能評価試験を行っていない旨及び[2]大臣認定を受けた仕様とは異なる仕様の防火設備(樹脂製窓)の販売等を行っていない旨、平成 19年12月に国土交通省に報告していました。
3. 該当する防火設備(樹脂製窓)の大臣認定について
・不正な試験体を使用して大臣認定を受けた防火設備(樹脂製窓)については、当該大臣認定を取り消します。
4. 各企業に対する国土交通省の対応
・原因究明を行い、再発防止策を検討し国土交通省に報告するよう指示しました。
・試験体仕様が申請仕様と異なる大臣認定を使用している建築物の特定及び当該建築物について建築基準法の基準への適合性の確認を行い、不適合のものについて改修等の必要な対策を講じることを指示しました。
・上記以外で、販売仕様が認定仕様と異なる製品については、上記と同様の必要な対策又は販売仕様の性能確認を行うよう指示しました。
・各企業が保有する他の大臣認定について、あらためて法適合性の確認を行うよう指示しました。


Ⅱ、防火設備(樹脂製窓)等の防耐火関連の認定に関する調査の結果等について
平成21年2月17日(Ⅰ月8日分の追報)
1.概要
・防火設備※(樹脂製窓)の不正受験等について、1月8日に公表したところですが、防火設備(樹脂製窓)以外も含めた各社の防耐火関連の大臣認定について確認するよう指示していたところ、不正受験により大臣認定を受けていた5社のうち三協立山アルミ(株)及び認定仕様と異なる仕様の製品を以前に販売していた2社のうち(株)トクヤマが、認定仕様と異なる仕様の製品を販売していたこと等が判明しました。
※ 防火設備:防火戸その他火炎を遮る設備のことであり、建築物の壁の開口部を通じた延焼を防止するために設置される。
・また、ミサワテクノ(株)が、防火設備(住宅用ドア)について、認定仕様と異なる仕様の製品を販売していたことが判明しました。
2 内容
 2-1 1月8日に公表した事案に関連する各社からの報告【別表1】
 (1)三協立山アルミ(株)からの報告
・防火設備(樹脂製窓)について、認定仕様と異なる仕様の製品を販売していたものが4件あったことが判明しました。
 (2)(株)トクヤマからの報告
・防火材料について、申請した仕様と試験体の構成部材の成分割合が異なっていたものが2件(申請した仕様よりも試験体の方が可燃物量が多く含まれていた。使用実績なし。)、認定仕様と異なる仕様の製品を販売していたものが1件あったことが判明しました。
 2-2 ミサワテクノ(株)からの報告【別表2】
・防火設備(住宅用ドア)について、認定仕様と異なる仕様の製品を販売していたものが2件あったことが判明しました。
3.各企業に対する国土交通省の対応
・原因究明を行い、再発防止策を検討し国土交通省に報告するよう指示しました。
・建築物の特定及び当該建築物について建築基準法の基準への適合性の確認を行い、不適合のものについて改修等の必要な対策を講じること又は販売仕様の性能確認を行うよう指示しました。


Ⅲ、三協立山アルミ(株)が販売した防火設備の大臣認定仕様との不適合について
平成22年11月12日
1.概要
・三協立山アルミ(株)が販売した防火設備について、国土交通省への問い合わせに基づき調査を行ったところ、建築基準法に基づく大臣認定仕様とは異なる仕様の製品が販売されていたことが判明しました。
2.内容
・平成22年10月6日、国土交通省では、三協立山アルミ(株)が販売する防火設備※(アルミニウム合金製引き窓(アルミ樹脂複合構造))について、サンプル調査の対象として抽出した製品が認定仕様に合致していないことを公表しました。
※ 防火設備 : 防火戸その他火炎を遮る設備のことであり、建築物の壁の開口部を通じた延焼を防止する(20分)ために設置されます。
・平成22年10月25日、関係機関から国土交通省に、公表した製品の代替品についての問い合わせがあり、(社)カーテンウォール・防火開口部協会に対して調査するよう指示していたところ、性能確認試験に不合格となり、以下に掲げるとおり、認定仕様とは異なる仕様の製品が販売されていたことが判明しました。
<認定の概要>  
   ・認定取得者名:(社)カーテンウォール・防火開口部協会
   ・構造方法等の種類:防火設備
   ・構造方法等の名称:アルミニウム合金製引き窓(アルミ樹脂複合構造)
   ・認定年月日:平成14年2月1日
   ・認定番号:EB-9112
<代替品の概要>
   ・製造・販売者名:三協立山アルミ(株)
   ・認定仕様との相違点:認定仕様は火災時に樹脂材が軟化、溶融してもガラスが脱落しない機構であるが、製品はガラスが脱落しない機構となっていなかった。
   ・代替品の販売期間:平成22年10月12日から10月25日まで
   ・代替品の使用物件数:2物件
3.今後の対応
(1)三協立山アルミ(株)及び(社)カーテンウォール・防火開口部協会への対応
・当該製品を使用している建築物について、建築基準法への適合性の確認を行い、不適合のものについて改修等の必要な対策を講じるよう指示します。
・当該製品の改善品について、性能確認試験に合格したことを国土交通省に報告してから製造・販売を行うよう指示します。

Ⅳ、トステム(株)が販売した防火設備の大臣認定仕様との不適合について
平成23年1月28日
1.概要
トステム(株)が販売した防火設備について、建築基準法に基づく防耐火関連の構造方法等の認定に関するサンプル調査を行ったところ、性能確認試験に不合格となり、大臣認定仕様とは異なる仕様の製品が販売されていたことが判明しました。
2.内容
トステム(株)が販売する防火設備(アルミニウム合金製引き窓(アルミ樹脂複合構造))についてサンプル調査を行ったところ、平成23年1月25日、性能確認試験に不合格となり、以下に掲げるとおり、大臣認定仕様とは異なる仕様の製品が販売されていたことが判明しました。
<認定の概要>
・認定取得者名:(社)カーテンウォール・防火開口部協会
・構造方法等の種類:防火設備
・構造方法等の名称:アルミニウム合金製引き窓(アルミ樹脂複合構造)
・認定年月日:平成14年2月1日
・認定番号:EB-9112
<サンプル調査対象品の概要>
・製造・販売者名:トステム(株)
・認定仕様との相違点:認定仕様は火災時に樹脂材が軟化、溶融してもガラスが脱落しない機構であるが、製品はガラスが脱落しない機構となっていなかった。
・販売期間:平成15年10月から平成23年1月まで
・使用物件数:約1万棟
3.今後の対応
(1)トステム(株)及び(社)カーテンウォール・防火開口部協会への対応
・当該製品を使用している建築物について、建築基準法への適合性の確認を行い、不適合のものについて改修等の必要な対策を講じるよう指示します。
・当該製品の改善品について、性能確認試験に合格したことを国土交通省に報告してから製造・販売を行うよう指示します。
・(社)カーテンウォール・防火開口部協会に対して、他社が販売するアルミニウム合金製引き窓(アルミ樹脂複合構造)についても、調査するよう指示します。


Ⅴ、YKK AP(株)、新日軽(株)及び不二サッシ(株)が販売した防火設備の大臣認定仕様との不適合について
平成23年3月9日
1.概要
YKK AP(株)、新日軽(株)及び不二サッシ(株)が販売した防火設備(アルミ樹脂複合窓)について、(社)カーテンウォール・防火開口部協会に対して調査するよう指示していたところ、性能確認試験に不合格となり、大臣認定仕様とは異なる仕様の製品が販売されていたことが判明しました。
2.内容
平成23年1月28日、(社)カーテンウォール・防火開口部協会に対して、YKK AP(株)、新日軽(株)及び不二サッシ(株)が販売した防火設備(アルミ樹脂複合窓)について調査するよう指示していたところ、平成23年2月28日及び3月1日、性能確認試験に不合格となり、以下に掲げるとおり、大臣認定仕様とは異なる仕様の製品が販売されていたことが判明しました。

<認定の概要>
●認定取得者名:(社)カーテンウォール・防火開口部協会
●構造方法等の種類:防火設備
●構造方法等の名称:アルミニウム合金製引き窓(アルミ樹脂複合構造)
●認定年月日:平成14年2月1日
●認定番号:EB-9112

<サンプル調査対象品の概要>
●製造者名:YKK AP(株)及び新日軽(株)
●販売者名:YKK AP(株)、新日軽(株)及び不二サッシ(株)
●認定仕様との相違点:認定仕様は火災時に樹脂材が軟化、溶融してもガラスが脱落しない機構であるが、製品はガラスが脱落しない機構となっていなかった。
●販売期間:
・YKK AP(株) 平成19年10月から平成23年3月まで
・新日軽(株) 平成17年10月から平成23年3月まで
・不二サッシ(株) 平成17年10月から平成23年3月まで
●使用物件数:
・YKK AP(株)   約9,500棟
・新日軽(株)   約3,800棟
・不二サッシ(株) 約  120棟
(計、13,420棟)
3.今後の対応
(1)YKK AP(株)、新日軽(株)、不二サッシ(株)及び(社)カーテンウォール・防火開口部協会への対応
●一連の大臣認定仕様との不適合について、原因究明を行い、再発防止策を検討し国土交通省に報告するよう、改めて指示します。
●当該製品を使用している建築物について、建築基準法への適合性の確認を行い、不適合のものについて改修等の必要な対策を講じるよう指示します。
●当該製品の改善品について、性能確認試験に合格したことを国土交通省に報告してから製造・販売を行うよう指示します。

 


 

[ 2011年3月10日 ]
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