アイコン 東日本大震災後の住宅関連市場調査の結果発表/矢野研

矢野経済研究所では、次の調査要綱にて東日本大震災が国内住宅関連市場に与える影響を分析し、新設住宅着工戸数の予測値を公表した。
 1.調査期間:2011年3月~6月
 2.調査対象:国内住宅メーカー、建材メーカー、建材流通事業者等
 3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

<調査結果サマリー>
 ◆2011年度後半から東日本被災地域における新設住宅の復興も
  長期的には東日本被災地域における新築住宅需要やリフォーム需要があると考えられ、新築住宅の復興需要は、2011年度後半から徐々に現れると推測。また住宅の耐震化に対する需要もあるものと考える。
 ◆2011年度の新設住宅着工戸数は81万戸を予測、2012年度から本格復興へ   
2011年度の新設住宅着工戸数は東日本大震災の影響もあり、81万戸を予測する。2012年度は本格的な復興需要により大きく拡大すると予測。
 ◆国内市場における住宅メーカー各社の成長戦略は低価格化か、高機能化か
  住宅メーカーが、国内で成長するには住宅の低価格化、あるいは高機能化を迫られることになる。大手住宅メーカー各社は、高機能化戦略を選択し、家庭内の電力消費量を最適に保つ「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS)」や蓄電システムの研究開発を進めている。

【 調査結果の概要 】
1. 東日本大震災の特徴とその影響
東日本大震災は未曾有の被災である。復興が広範囲に亘ること、被災した住宅の多くが戸建住宅であること、海岸地域などにおける住宅再建については、土地問題を第一に考えざるをえないこと、また一部液状化現象がおきている湾岸エリアなどでは、今後の住宅開発にも波及することなど、今後の住宅再建に向けて影響があることとともに、建築資材の生産拠点においても被災するなど復興に向けての課題は山積している。

2. 新設住宅着工戸数への影響
東日本大震災による住宅被害は全壊・半壊を合わせて17万戸(2011年6月1日現在)*を超えている。
長期的には被災地域における新築住宅需要やリフォーム需要があると考えられ、新築住宅の復興需要は、2011年度後半から徐々に現れると推測する。また住宅の耐震化に対する需要もあるものと考える。
一方、賃貸住宅の新設需要については現状、国内には空家の賃貸住宅のストックが大きく、これらの有効活用が優先されるものと見られるため、震災後の賃貸住宅の新設需要にはあまり結びつかないものと考える。
*注. 警察庁緊急災害警備本部広報資料より引用

3. 住宅メーカーの動きと住宅市場の将来展望
2011年度の新設住宅着工戸数は、東日本大震災の影響もあり、81万戸を予測する。2012年度は本格的な復興需要により大きく拡大し86万戸と推測する。
今後、経済の成熟化や少子高齢化が進む一方で、既存住宅戸数が世帯数を大幅に超える環境下では市場は縮小に向かわざるをえない状況である。

こうしたなか、国内における成長戦略を描くには、住宅メーカー各社は住宅の低価格化、あるいは高機能化を迫られることになる。大手住宅メーカー各社は高機能化戦略を選択し、家庭内の電力消費量を最適に保つ「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS)」や蓄電システムの研究開発を進めている。
こうした新システムの研究開発にあたってはスピードを速め、迅速な実用化を目指すことも課題となるが、このためには他社との協業も視野にいれることになると思われる。
また住宅リフォーム需要については、中古住宅の販売が新築住宅の販売数を上回る現象も出始めており、中古住宅の再販売等による需要創出などが見込まれるとしている。
 

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[ 2011年7月20日 ]
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