アイコン 清水建設/「東北地方太平洋沖地震―火災被害の概要―」を発表

消防・自治体必見 ~311件の火災の出火場所、出火原因を調査・分析~ 

清水建設は、大地震発生後の建物の火災対策の課題を明らかにすることを目的に、東北地方太平洋沖地震に起因する火災の出火場所と出火原因を調査・分析した調査レポート「平成23年東北地方太平洋沖地震―火災被害の概要―」を作成、12日からホームページ上で公開した。

今回の大地震では、青森から静岡にいたる広範な地域で311件の火災が発生した。首都直下地震や東海・東南海・南海三連動地震の発生が懸念される中、当社は火災対策が減災上の重要な位置づけになると判断。技術研究所が中心になり、火災の出火場所や出火原因を調査・分析し、結果を公開することにしたもの。
調査は、7月初旬までに公開された火災に関する調査速報や新聞・雑誌等を対象に実施。その結果、出火原因は「地震」と「津波」に大別でき、割合は同程度であることが分かった。
地震に起因する火災については、耐火建築でも発生しているものの、大規模に延焼した事例は見られなかった。また、兵庫県南部地震で見られたような建物の倒壊率と出火率との相関関係も確認できなかった。その一方で、天井から落下した照明器具が、可燃物に接触し引火する等の事例が報告されている。
このため、非構造部材や収納物の損傷と出火メカニズムとの関連性について、今後分析を進め、対策につなげる考えである。

特筆すべきは津波に起因する火災である。今回の地震では、兵庫県南部地震などの大地震で発生した市街地火災を上回る延焼規模の大火災が、岩手県山田町等で発生。その多くが津波の浸水域と非浸水域との境界近くで発生しており、津波に起因するものであった。
出火のメカニズムを推測すると、
1) 家屋などが津波浸水域の境界付近まで流され、境界域に残っている家屋などにせき止められ集積する、
2) 漏電・短絡(ショート)、衝突時の火花、燃料(漁船用燃料大型タンク)の流出等によって発生した火種が津波で流され境界付近の集積物に引火する、
3) 出火場所に延焼媒体となる多量の可燃物が漂着し、火災が拡大して周囲の木造住宅に延焼する、
4) 消火活動が漂着物や浸水に阻まれ、水利の不足等により不能となり、延焼が拡大する、といったもの。
懸念されている首都直下地震では地震火災、東海・東南海・南海三連動地震では地震火災と津波火災の両方への備えが必要になる。地震火災対策については、同時多発による消防力不足が懸念されることから、拡大防止が重点課題になる。そのためには、地震後の防火対策機能の維持が不可欠であり、当社は天井等の非構造部材の耐震化技術と併せ、スプリンクラー設備の破損防止、防火区画の変形追随性能向上を図る技術を早期に実用化する考えである。
一方の津波火災対策については、避難拠点となる建物の火災安全性を高め人命の安全を確保することが重点課題になる。
そのためには、シミュレーション技術を駆使し、隣棟との適切な距離の確保、建物周辺部への瓦礫集積防止、再避難ルートの確保といった各種の対策を提案していく考えである。
最終的には、単に部材や消火設備等の耐震性能を向上させるだけでなく、個々の建物の特性や地域特性、さらには対応する地震や津波の規模等を踏まえ、建物全体として地震時の火災安全設計の目標や目的を具体的に定めることで、顧客ニーズをより反映した建物を提供していく考えである。

以上

清水建設 

詳細な報告書は次のHPまで
http://www.shimz.co.jp/theme/earthquake/fire.html 

http://www.shimz.co.jp/theme/earthquake/index.html 
 

[ 2011年8月26日 ]
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