福岡の8月のオフィス需要動向/三鬼商事月例参照
8月の福岡ビジネス(博多駅~天神・薬院~赤坂門)地区のオフィスの空室率は、15%以上あった前年より2~3ポイント下落、空室率は13.83%となったと三鬼商事は月例調査速報で報告している。
福岡では、リーマン・ショック後も着工中の大型オフィスビルなどが供給され続け、一時は少ない需要とのバランスから、空室率は大きく悪化していたが、さすがに最近は好転してきている。
8月に供給された新築オフィスビルは、NTTアーバンネット天神(4,486坪)及びちくぎん福岡ビル(高砂、1,665坪)の2棟であった。この2棟の空室が、前月より0.17ポイント全体で悪化させている。
福岡の場合、景気の底入れ感から、少しはオフィスニーズも高まっているものの、依然として高水準の空室率には変わりない。(一般的に福岡では9%を切ってきたら、場所によっては玉不足となり、賃料も上昇するといわれている。)
「博多駅前」の空室率が17.28%と大きいのは、九州新幹線開通需要などを見込んだオフィスビルにあり、1年以上経過した空室率の高い新築物件が多く存在しているためである。
地区別では空室率が一番低い天神南の「薬院・渡辺通り」地区は、天神地区に比べ平均賃料が895円(/坪)安く、大通りに面した土地にも限りがあり、空室率が9.14%と10%の大台を切っている。九電本館跡地が改築されており、また、九電前の再開発事業地(渡辺通り+春吉)にオフィスビルが計画どおり建てば、更に同地区のニーズは高まるものと思われる。
8月の福岡都心部の空室率 % | ||
地 区 | 空室率 | 前月比 |
赤坂・大名 | 11.68 | ↑ |
天神 | 13.67 | ↑ |
薬院・渡辺通り | 9.14 | ↑ |
祇園・呉服町 | 12.88 | ↓ |
博多駅前 | 17.28 | ↑ |
博多駅東・駅南 | 14.98 | ↑ |
合 計 | 13.83 | ↑ |
福岡都心部のオフィス価格/単位:円 | ||
地 区 | 坪当たり単価 | 前月比 |
赤坂・大名 | 9,161 | -36 |
天神 | 10,788 | -10 |
薬院・渡辺通り | 9,893 | 0 |
祇園・呉服町 | 8,959 | 0 |
博多駅前 | 9,497 | -7 |
博多駅東・駅南 | 8,470 | 0 |
福岡では不動産ファンドバブルにより、都心部に多くのオフィスビルが建設された。しかし、バブル崩壊後にその多くが完成、そのためガラガラ状態が続き、テナントを埋めるために都心のオフィスビルに多くのコールセンターが入居している。コールセンターなどは交通の利便性さえあればどこでもよく、オフィスビル業界も、価格より入居してもらうことが第一と割り切って入居させている。こうしたコールセンターは大きなスペースを利用しており、賃料も公称と実質ではかなりの開きがあるともいわれている。三鬼商事のオフィスの平均賃料にこうした実質価格が反映しているのかは不明である。

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