アイコン TPPの影響は農業ばかりではない 他人事ではない建設業者

内閣府試算  TPPによるメリット
10年間で2兆,7,000億円
1年間で2,700億円のメリット
国内総生産額からしてみればメリットは皆無に近い
日本の2010年の実質GDP 539兆8,807億円
 
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、加盟国間で工業品、農業品を含む全品目の関税を撤廃し、政府調達(国や自治体による公共事業や物品・サービスの購入など)、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスなどにおけるすべての関税障壁を撤廃し自由化する協定です。
締結した国々の企業は、自由に加盟国間の仕事にあやかることができるというものです。そのルールとは、当然、輸出を5倍にするというオバマの米国ルールです。
TPPでは、日本は農業だけがクローズアップされていますが、問題となる産業は、農業のほか医療、日本特有の簡保・共済保険、電気通信、衛生植物検疫・官庁工事など多くの業界が関係してきます。

TPPは元々シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドと比較的小さな国々で結成され、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルー・マレーシアが参加表明、協議に入っているものです。(その後コロンビアも参加表明、カナダも参加表明していますが、酪農の市場開放が充分でないとして見直しを迫られています)

また、輸出依存度5割の韓国は、加盟は自国にとって不利益になるとして、アメリカとだけ2国間で調整が効くFTA(自由貿易協定)協定を締結しました。しかし、韓国ではFTAの締結でも農業が破壊されるなどとして大反対運動が生じています。今後、低価格の農産物がアメリカから大量に流入して農業が破壊されることになります。(破壊されてしまったら、それ以上に不利益になるところはなくなり、TPPに加盟してくるものと思われます。)

日本の輸出依存度は、高いように見えますが2割に過ぎません。TPPは8割の市場を狙った米国の野望に過ぎません。

ヌルヌルしてつかみ所のないドジョウ政権は、世界に君臨する農薬メーカー(ベトナムの枯葉剤)の米モンサントと長期協力関係を築いた米倉経団連会長(住友化学)とタッグを組み、TPP加盟をNHKはじめマスコミが御用学者・御用有識者を駆使して情報操作を行って推進させています。
今のドジョウは「交渉参加は私の判断で行う」とまで狂気に言い切り、11月10日にも表明の意向です。おまけに、2日のG20で公務員制度改革や国会議事堂の予算(議員予算)の大幅減額もせず、景気に悪作用しか働かない消費税の10%増税を勝手に国際公約するなど、言いたい放題・やりたい放題の牙を剥き出した松下政経塾一派の申し子なのです。

建設業界もTPPの導入は、他人事ではありません。
国や自治体の公共工事は、現在、WTOの協定により23億円以上の入札については、外国企業も参入できるようになっています。しかし、現実には、日本の入札制度の前になかなか入札に参加していないのが現状です。
例としては、福岡市で以前、国際会議場を鹿島JVで建設しましたが、JVの中にロッテ建設(韓国)が入っていました。その協定に基づいたものでした。
国や地方の23億円以上の官庁工事においては、外国企業が入札に参加する参加しないかは別にして、WTO(世界貿易機関)の入札様式に基づいて、入札を行うことが義務付けられています。

ところが、TPPでは、この23億円ラインが撤廃され、限度額が大きく下がります。NAFTAを締結している米国・豪州・ペルーでの入札限度額は約6億9,000万円となっています。関税から労働までも完全自由化を目指すTPPの批准においては、当然このルールに10年以内に従うことが条件となります。
TPP参加国が本格的に日本に営業店を設け、参入してきた場合、建設業界はテンヤワンヤになることは目に見えています。

<入札制度が根本から変わる>
これまでの日本の官庁工事における入札制度は、完全に反故にされ消滅させられてしまうものとなりましょう。
例えば、経営事項審査そのものや、自治体による格付、入札時の工事実績条件などはすべて撤廃されます。工事規模による一定の制限がなされる「条件付一般競争入札」もできなくなります。最低基準価格や最低調査対象価格なども撤廃されることになりましょう。
現在、地方自治体の入札制度では、地域経済の振興を図るため入札者の所在地要項を設けています。そのため、支店や営業所、出張所を設けている大手企業が多くあります。そうした日本固有の規制は、アメリカに受け入れられません。これも「内外無差別」の観点から撤廃されることになりましょう。
また、「分離分割発注」方式。例えば、現行の建築案件で行われている建築本体工事と電気工事や空調工事などの分離分割発注方式は、工事規模を小さくすることで、入札から排斥するものだとして廃止を求められることになりましよう。

今後、TPPに韓国が加盟したとしたら、即刻、隣国である韓国の建設業者が、全国の官庁工事の入札に押しかけてくる可能性もあります。(韓国はアメリカと2国間での自由貿易協定(FTA)を締結しました。そのため、TPPへの参入は、今後容易にできます。)

また、加盟国には、発展途上国や新興国が多くあり、自国の賃金の安い労働力を日本へ派遣して安い価格で入札してくることでしょう。

さらに、アメリカの建設会社が、加盟国の低賃金の労働者を使って日本の建設事業に本格参入することだって可能となります。

 結果、日本の建設業界は、官庁工事の入札方式や受注先が、根底から崩されるものとなります。

アメリカの経済戦略は、アジア太平洋経済協力(APEC)21加盟国(中国・ロシアなど一部を除き)を、TPPに移行または内包する計画にあり、消費好きで輸入に依存したアメリカ国民の借金体質及び金融資本で水膨れし破綻寸前の財政赤字を立て直すため、農業や医療分野などで、輸出を最大限増加させることを至上命題としているのです。官庁の建設事業発注工事の規制もすべて貿易障壁と看做(みな)され、撤廃され自由化の対象となります。

アメリカが日本に対して、FTAやTPP締結を求める本音は、日本の1億3,000万人の大消費と金融資産をターゲットにした何ものでもありません。

日本はよく洪水が起こりますが、自治体から緊急に刈り出されるのは、その道のプロである地元の土木業者の方々です。そうした地元との関係で建設事業もあります。しかし、そうしたことに関係ない外国企業が、日本の工事現場を格安で落札していったら、地元業者はどうなるのでしょうか。低賃金の労働者を海外から連れてきたら、そうした地元建設業者も壊滅しましょう。
ドバイの工事現場は、欧米や日本・韓国企業が元請となり、現場労働者は安いインドや東南アジアから人を集め建設されてきました。ドバイは人口も少なく、産油国のオイルマネーや世界から資金を集め、建設作業に従事する者などいません。日本は、ドバイとは全く違います。

TPP締結では、小さい建設業者だから関係ない、元請けが外国企業になった場合、下請工事がなくなることは明白です。
 それでもTPPを願いますか?
 

[ 2011年11月 7日 ]
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