アイコン 破産した(株)千代田興産の大石智一社長  三菱東京UFJらから詐取逮捕

警視庁捜査2課は8日、架空のシネマコンプレックスの内装工事を受注したと偽って三菱東京UFJ銀行など5金融機関から融資金2億1千万円をだまし取った として、詐欺の容疑で、不動産デベロッパー(株)千代田興産(平成21年6月3日破産、東京都千代田区)の社長:大石智一(54)と妹で元取締役の大石薫 (47)の両容疑者を逮捕した。

逮捕容疑は20年8月中旬ごろ、大手シネコンが運営する広島市内の映画館の内装工事を受注したとする虚偽の工事注文書を同行に提出。同行を中心とする5つの金融機関から2億1千万円の融資金をだまし取ったとしている。
  同課によると、大石容疑者らは、平成18~20年、架空の工事受注を装って同行など7つの金融機関から計約100億円の融資を引き出し、うち40億円あまりが回収不能になっているという。大石容疑者らは「ローンについては思いだせない」として否認しているという。

<舞台となった広島の案件>
平成19・20年当時、鹿島建設が施設を所有する「広島サティ」(運営:マイカル、平成9年10月開業、広島市南区段原南1丁目)が、経営するマイカル本体も破綻(平成13年9月会社更生法申請)、スポンサーにイオンがなり、当施設はイオンリテールが運営を引き継いだ。
しかし、広島にもイオンモールやゆめタウンが出現していたことから経営が窮地に陥っていた。
平成22年になるとイオングループの再編で、「広島サティ」の経営難から閉鎖方針が打ち出され、存続が危ぶまれ、同年7月に「広島サティ」としては閉館した。しかし、イオンモールが引継ぎ、「広島段原ショッピングセンター」として大改装され同年10月再オープン、当シネコンも継続して営業している。
(「ワーナー・マイカル・シネマズ広島」の経営会社の(株)ワーナーマイカルは、タイム・ワーナーGとイオンリテールの合弁会社)

  詐欺事件の時期と「広島サティ」が大改装され、「広島段原ショッピングセンター」に生まれ変わる時期は異なるが、当時は存続について、紆余曲折していたことも事実である。

<破綻記事>(修正済)
高級分譲マンション「ザ・ドチェスター」シリーズや高級賃貸マンション「ドチェスター・レジデンス」シリーズを開発していた(株)千代田興産(旧商号:(株)グローバルエンタープライズ、所在地:東京都千代田区紀尾井町4-5、代表:大石智一)と持株会社の(株)港興産(旧商号:(株)グローバルホールディングス、社長:同)は、平成21年5月25日、東京地方裁判所へ自己破産申請、同年6月3日同地方裁判所において破産手続きの開始決定を受けた。破産管財人には、蓑毛良和弁護士が選任されている。
負債額は両社計で約83億円が見込まれている。

千代田興産は、平成19年7月米国のサブプライムローン問題が株式市場で表面化、日本でも加熱していた首都圏の不動産市況が急速に悪化。同社が開発していた分譲の億ションやファンド向け1棟売りの高級賃貸マンションも売れなくなり資金繰りに行き詰っていた。平成20年に入ると取引先への支払遅延も表面化、その後従業員を解雇して事業休止、平成215月25日の自己破産申請へ至っていた。

自己破産申請に至る過程で、金融機関から融資を受けるため、決算書を粉飾、シネコンの社印も偽造、当該のシネコンとの請負契約書を作成、金融機関から工事の繋ぎ資金として融資金を受けていたほか、薫容疑者が社長を務める会社の口座に融資金を振り込み、工事を下請けに出したように見せかけるなどの偽装工作をしていた。詐取した金は融資の返済に回すなど自転車操業を続けていたようだ。


【倒産情報】株式会社千代田興産

[ 2012年2月 9日 ]
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