アイコン 三井ホーム/準耐火建物2,942棟違反施工  問題では・・・

国交省は、耐火建物等の大臣認定仕様品が、時の経過と共に、かってに変更さ れ、耐火基準を満たしていないとして、当初、ニチアスが耐火ボード製品の認定基準不足で、認定取り消しや基準仕様に改修命令がかけられ、その次に三和 シャッターの電動耐火シャッター問題、その後、準耐火住宅用の樹脂サッシメーカー製品が認定違反と指摘されてきた。
今回は、そうしたメーカーの大臣認定の準耐火製品を使用するハウジングメーカーの準耐火仕様認定施工違反問題となっている。

国交省は、ハウジングメーカーの建築物に関し、準耐火住宅の大臣認定施工方法につき、認定基準違反が生じていないか、業界団体を通じて自己申告させている。(国交省担当者は、以前、耐火・準耐火の大臣認定品などに関し順次検査をやっていくと話しており、その一環で行われているもの。国交省の業界通知による自己申告制度採用は、調査に時間がかかり面倒くさくなったのであろう)

準耐火住宅仕様大臣違反を最初に問われた住宅メーカーはアキュラホーム、続いて住友林業、東日本ハウスとなっていた。

準耐火構造住宅の大臣認可建物につき、今回違反が判明した三井ホームの場合は、既定仕様ビスを使用しなかった点だけである。これまでのハウジングメーカーの施工では、認定規格違反である胴縁を入れず施工(不適合施工)及び不適合ビスの使用であった。三井ホームの場合は、2×4であり、パネルそのものは工場で生産されることから、こうした胴縁問題は発生していない。

1.概要
三井ホーム(株)が施工中の枠組壁工法の木造住宅(準耐火建築物)において、国土交通大臣認定の仕様と異なる仕様で施工され、建築基準法違反であることが判明した。また、同社によると、自社及び関連会社が施工した同様の違反の疑いのある対象物件数は2,942件とのこと。

1)枠組壁工法とは、いわゆるツーバイフォー工法のことで、壁全体で支える構造工法のこと

2)準耐火建築物とは、主要構造部が準耐火構造またはそれと同等の準耐火性能を有するもので、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備を有する建築物のこと。なお、1時間準耐火構造は、木造の3階建て共同住宅等に用いられる。

3)関連会社とは、三井ホームが出資する販売施工代理店のことで、同社からの人材や技術供与を受けて、同一仕様で施工している。

4)2,942件の内訳は、東京都が1,674件で最も多く、次いで神奈川県529件、大阪府120件など、41都道府県で施工している。

2. 内容
・国土交通大臣認定の不適合施工の内容は、以下の通り。
工法 部分 認定番号・認定取得者 不適合施工の内容
対象物件数枠組壁工法

(1)間仕切壁(45分準耐火構造)
QF045BP-9071※、(社)石膏ボード工業会
※平成14 年5 月16 日以前は、準耐火(通)W1001
(1)・ねじの種類の不適合:2,874件

(2)間仕切壁(1時間準耐火構造)
QF060BP-9072※、(社)石膏ボード工業会
※平成14 年5 月16 日以前は、準耐火(通)W2001
・ねじの種類の不適合:68件

国交省は、三井ホーム(株)から、大臣の認定を受けた仕様に適合しない疑いがあるとの報告を受け、施工中の物件を関係特定行政庁へ情報提供し、調査依頼していたところ、建築基準法違反が確認されたため、是正措置を講じるよう、特定行政庁を通じて指示した。

<是正措置>
改修等の必要な対策を講じること又は施工された仕様について性能確認を行うことが考えられる。
・同様の違反の疑いがあると同社から報告を受けた物件については、今後、国交省から関
係特定行政庁へ情報提供し、調査依頼する。

国交省は、これらの案件についても、特定行政庁で違反が確認されれば、早急に是正措置を講じるように指示する。

3.今後の対応
・三井ホーム(株)及び関連会社に対して、相談窓口を設置し、適切に対応するように指示した。また、他に建築基準法違反がないか徹底した調査を指示するとともに、再発防止策の提出を求めていく。

・公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター(愛称:住まいるダイヤル)に次の消費者への相談窓口を設置して、相談に対応している。
【窓口】電話番号:0570-016-100相談時間:10 時~17 時(土日祝日を除く)

・また、建築士について違反行為が確認された場合は、関係行政庁と連携し、処分に向けた必要な手続きを進めていく。
・なお、国交省から、住友林業(株)及び三井ホーム(株)が所属する(社)日本ツーバイフォ
ー建築協会に対して、他会員から同様の不適合施工の有無についての報告を求めるよう要
請した。

<問題となる気になる話>
:こうした一連の問題で、新たに認定機関の検査により、大臣認定の性能をキープしておれば、改修施工はしなくても良いとの報道が一部に流されている。
そのため、メーカーは施主に対して「認定施工とは異なりますが、性能には問題ありません」と説明して了解を求めているという。
大手のハウジングメーカーであり、(ハウジングメーカーを信用して)ビスだけならばそれなりの強度と耐火性能は持ち合わせていようが、胴縁未施工では、建物の強度不足、耐震性能不足も懸念され、耐火性能だけを取り出して認定機関が問題なしとするのは、如何なものかと思われる。
何かおかしい。非常におかしい。
以上、一部の報道が事実だったらの話である。
国交省は8月10日、住友林業の準耐火性能不足の発表のなかで、こうした性能不足建物については、是正措置が求められるとしたうえで、改修等の必要な対策を講じること又は施工された仕様について性能確認を行うことが考えられるとしていたことも事実であり、抜け道を用意していたようだ。

当然、こうした工事を改修するには膨大な費用が生じるが、それはコスト削減ばかりをはかる企業側のコンプライアンスの問題であり、その代償は膨大な費用を使用しての改修工事となる。特に胴縁不足や胴縁なしの工事の分はなおさらのことである。

国交省も自主申告させていることで、業界やメーカーの言い分を安易に聞いている可能性もある。認定機関ではない専門家によるチェックが必要だろう。
(筆者は住宅やマンションの内装工事の経験5年あり、一言・二言)

 

[ 2012年9月 5日 ]
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