アイコン 米リチウム電池大手のA123システムズ/破産法適用申請 万向集団買収失敗 

米大手リチウムイオン電池メーカーのA123システムズは16日、デラウェア州の裁判所へ米連邦破産法11条の適用申請(日本の民事再生)を行った。

A123システムズは、BMWやGM、フィスカーオートモーティブなどにHV車やPHV用の二次電池として、リチウムイオンバッテリーを納入。その他BMWのアクティブハイブリッド5、GMのシボレーボルト、フィスカーカルマのリチウムイオンバッテリーを納入していた。
同社のこうした自動車関連事業については、米大手自動車部品メーカーのジョンソンコントロールズ社が7,250万ドル(約57億円)で事業譲渡を受け引き継ぐことが決定している。

<2012年8月8日版ロイター記事>
 中国の自動車部品メーカー万向集団(売上高:130億ドル)が、資金難に陥っている米リチウムイオン電池メーカーのA123システムズの過半数株式取得に向け覚書に署名したことが8日、明らかになった。
A123によると、万向集団はA123システムズに最大4億5000万ドルの投資を行い、最大で80%の株式を取得する。投資額にはつなぎ融資、およびシニア転換社債とワラントの買い入れが含まれる。
両社は法的拘束力のない覚書に署名。A123は「近い将来に」契約をまとめたいとしている。万向集団のWeiding Lu最高経営責任者(CEO)は、A123との長期にわたる合意を結ぶことは「同社が米国で確立した基礎を発展させ、同社の能力を国内外で拡張させることに貢献する」と述べた。

A123システムズは、オバマ政権が設置した環境に優しい技術を持つ企業に対する支援プログラムを通して2009年に2億4900万ドルの助成金を受けた。
独BMWの他、米プラグインハイブリッド・スポーツカーメーカーのフィスカー・オートモーティブにも自動車用電池を納入している。米ゼネラル・モーターズ(GM)の小型車「シボレー・スパーク」の電気自動車(EV)バージョンにも同社の電池が搭載される予定。

A123システムズは第2四半期に▲8,290万ドル(1株当たり0.56ドル)の損失を計上。前年同期の5,540万ドル(同0.44ドル)から赤字が拡大した。売上高は▲53%減の1,700万ドルだった。
第2四半期末の手元流動性は4,770万ドルと、前期末の1億1,310万ドルから大きく目減りした。同社は前月(2012年7月)、手元流動性が4~5ヶ月分しかないことを明らかにしている。
万向集団は、中国の非国有企業のなかで最大の規模を持つ企業の1つで、年間売上高は130億ドルを超える。中国杭州と、米国のシカゴ郊外に電気自動車子会社を持つ。
以上。

こうしたA123システムズの状況に、万向集団はシャープにおける鴻海のように、安い買収価格で良いとこ取りしようとしたのであろう。A123システムズと万向集団は本契約にも至らず、当然万向集団から繋ぎ資金も入らないまま、資金繰りに行き詰まり、結果、A123システムズの技術ノウハウは、万向集団に入らなくなった。

A123システムズは、手元流動性からして、あと1ヶ月は持ちこたえられたと思われ、米国を代表するリチウムイオン電池のメーカーの1社だけに、技術流出防止をはかる米政府により、ジョンソンコントロールズ社による買収という画策がなされた可能性もある。
 

[ 2012年10月18日 ]
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