アイコン 牛丼戦争終焉 ゼンショーホールディングス/中間期利益大幅減額修正

安値競争の客収奪牛丼戦争は3社とも痛み分けで終焉を迎えたが、過去、ファミ レス業界は、長らくすかいらーくとロイヤルホスト、フォルクスなどが雄であった。バブル崩壊を前後として、そこへセントラルキッチンを駆使して価格破壊の 殴り込みをかけたのが、ジョイフルであった。
大分を本拠とするジョイフルは、ロイヤルホストの本拠地の福岡を制覇、返す刀で東京へ進出し、瞬く間にファミレス市場を制覇していった。

当時業界№1の東京のすかいらーくはこれに驚き、このままでは大変だとばかりにジョイフルの価格破壊レストランに対して、値下げで対抗した。しかし、品質を落とすことができず、これでは経営できないと「ガスト」業態を導入して、自ら価格破壊レストランに参入した。全国にあったすかいらーくの店舗を、矢継ぎ早に「ガスト」業態に変更させ、今ではすかいらーく店舗は全くなくなった。
一方、ロイヤルホストもすかいらーく同様、値下げで対応した。しかし、価格差もあり、客が多くなったわけでもなかった。そのため、経営は苦しくなる一方。ロイヤルホストの経営陣が困り果てたところに、当時、隠居していたオーナーの江頭氏が、陣頭指揮を執るべく、最高顧問格で再登場、店舗運営の改善に乗り出した。

徹底した現場主義で、メニューを刷新させるとともに値も元の価格に上げ、味覚同様にサービスを従業員に陣頭指揮して徹底させた。ジョイフル等価格破壊レストランがアメーバのように拡がるなか、江頭氏は2年以上かかったものの、見事ロイヤルホストの収益を回復させた。江頭氏はまた隠居生活へ戻って行った(平成17年に82歳で永眠された)。
ロイヤルホストは今も息づいている。
その当時の状況と牛丼戦争は似ているが、特に元々安い牛丼戦争は理念なき守銭奴の消耗戦だけのくだらない戦いであったようでならない。

<ゼンショーH中間業績>
同社は現在4314店舗展開しているという。各県に100店舗開設しているくらい多い。店舗群の中で核となるのが牛丼の「すき家」で1,783店舗あるという。また同じ牛丼の「なか卯」も490店舗構えている(前期末)。
すき家と松屋及び吉野家の牛丼御三家が、三つ巴の牛丼価格戦争に明け暮れてきた。その影響を一番受けたのが、2社の調達価格より高く、旨しいというアメリカ産牛肉を使用する吉野家であった。この戦争に大赤字を出した阿部氏も会長から社長に復帰して陣頭指揮を取り再建をはかった。
すき家と松屋はアメリカ産より安い豪州産牛を使用しており、吉野家より価格競争力を持ち、価格戦争に付いていけなかった吉野家から客が引いた。

牛丼戦争が始まったのは、平成21年4月すき家が380円を330円に値下げしたことに始まった。その秋の11月には松屋がその下をいく320円を打ち出した。それからこんにちまで牛丼戦争が繰り広げられてきた。
その結果、すき家の業績に戦争で疲弊した姿が浮き彫りになってきた。注目は営業利益率である。材料費が高くなったとも言われるが、そんな感じはしないが、前年同期比より2.19ポイントも急激に下落している。

同社の場合、1ポイントは20億円を意味する。
また、更なる値下げキャンペーン戦争に明け暮れてきたが、客も慣れっこになり、今では反応も薄くなっている。こうしたことから、店舗増もあったものの、1店舗当たりの売上高は、前年同期比確実に落ちた結果となっていることも事実だ。(決算書ではないためはっきり見えないが、営業コストアップは、これまでの超合理化による結果、深夜1人営業店舗の強盗事件が多発、2人以上にするよう警察当局から何回も指導がなされている結果かも取れない?)
これが噂どおり牛丼離れや下り坂になった場合、多くの店舗を持ちこれまで力を発揮してきたすき家にとって、逆にこれまでの店舗拡大が大きなマイナス要因ともなる。落ち込まないようにするには、有名タレントを使いTV-CMをこれまでどおり強力に流し続けるしかないだろう。

すき家の大将は吉野家で5年ほど修行した身でもある。今や業界ダントツの№1、それ位はするだろう。
なお、通期の純利益拡大は、営業利益が前期より減少するものの、前期までは買収を重ねた会社ののれん代の償却特損計上や、店舗減損処理した額などが多く、最終利益が経常利益に比し、大幅に減っていた。しかし、今期はそうした特損計上額が大きく減じることから、最終利益が前期より大幅にアップする見通しとなっている。
しかし、営業利益率の改善は、通期(4.49%)でもさほど改善されない見通しとなっている。前期実績が異常に高かったのかもしれない。

連結/百万円
売上高
営業利益
営業利益率
経常利益
当期利益
13年3期第2四半期前回予想
216,756
14,085
6.50%
12,736
6,324
13年3月期第2四半期今回予想
205,618
8,917
4.34%
8,146
3,176
前回予想比
94.9%
63.3%
 
64.0%
50.2%
12年3月期第2四半期実績
198,308
12,956
6.53%
11,850
3,675
今回予想/前期第2四半期比
103.7%
68.8%
 
68.7%
86.4%
13月3月通期予想 今回修正
410,440
18,412
4.49%
16,560
6,695
今回通期予想/前期実績比
101.9%
87.7%
 
85.8%
218.2%
12年3月期実績
402,962
21,005
5.21%
19,300
3,068
11年3月期実績
370,769
17,660
4.76%
15,791
4,735
10年3月期実績
334,172
12,539
3.75%
11,114
3,506
 
[ 2012年11月 2日 ]
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