アイコン 米国 シリア反体制派への武器供与承認 さらに泥沼化必死か

今回の米国上下議会のシリア反体制派への武器供与承認は、エジプトとの関連で決定したものと見られる。アラブの春は、チュニジアのジャスミン革命から、エジプト、リビア、シリアへ飛び火、飛び火するごとに内戦状態は深刻なものとなっている。
無 欠クーデターだったエジプトは、表向きエジプトの民主化を標榜するアメリカの思惑通りには行かず、過去イスラエル批判を展開したムスリム同胞団のモルシュ 氏が選挙で政権をとってしまい、オバマ大統領はその後の米国への訪問も断り、エジプト大統領と会うことすら拒絶した。 
理由は、モルシュ大統領が過去、反イスラエルを唱えたことに起因している。そこでアメリカは、今回、昔から関係が深いエジプト軍を動かし、エジプトでも反ムスリム色が強いカイロで情宣活動(CIA工作)を先行して展開させ、軍事クーデターを敢行させたもの。
しかし、その結果、エジプトの経済は麻痺したまま、1000万人以上(エジプトの人口81百万人)とされるムスリム同胞団は、軍事政権や暫定政権に抵抗を続け、多くの死者も出し、泥沼化することが懸念されている。

ムスリム同胞団は、武装闘争を拒否、穏健なスンニ派の流れの宗派である。ヨルダンやシリアなどアラブ各国に根を張っているが、王族支配のサウジは一番嫌っており排外している。ジャスミン革命のチュニジアもムスリム同胞団系が現在政権を取っている。
ただ、ムスリム同胞団でも、シリアでは、過去、アサドの親父が、虐殺含む壊滅的大弾圧をしたことから、その後武装闘争を行っており、今回のシリア内戦でも反体制派の中心勢力の一つ、アサド政権(シーア派のイランと密接)を軍事的にも苦しめてきた。
ところが、ムスリム同胞団の本拠地エジプトが、政権の座を追われ水面下で行われていたシリアのムスリム同胞団への軍事支援が打ち切られたことから、シリア情勢に対する勢力図が大きく変動してしまうことになった。(アサド政権支配地域は、最近では比較的安定しているとされている)

そうしたことから、ムスリム同胞団以外の反体制派に対し、アメリカが今回表立って軍事支援を行うことを表明したものと見られる。

イスラエルと対峙するパレスチナの過激派イスラム組織ハマスは、ムスリム同胞団の流れを組んでいることから、これまで水面下で古い武器を提供してきたアメリカが、最新兵器をシリア反体制派に本格投入されれば、当然、シリアのムスリム同胞団へも流れ、そこから、ハマスへ最新兵器が流れ込むことになる。
アメリカは、ムスリム同胞団のエジプトを切り捨て、その代わりに、表向きはムスリム同胞団以外のシリア反体制派へ武器を供与する。(ヨルダンのイスラム過激派ヒズボラはシーア派でアサドに近い)

ただ、シリア内戦は、宗派だけの内戦ではないため、反体制派へ武器が流れれば、アルカイダなどのイスラム超過激派へ最新武器が渡り、アラブ全体をさらに危機に陥らせることが懸念される。当然、その武器は、今後、アラブ各国で軍事介入している、するアメリカ軍の脅威にもなる。(米製地対空ミサイルの携帯型スティンガーを今やいくらでもイスラム過激派が所有しているように)

アメリカ軍のシリア直接介入は、ロシアや中国が、何じゃと国連で問題視してくることからできない。そうしたことから、間接介入も飛行禁止空域を設定するだけになるものと見られる。それでも、当初5億ドルかかり、その後も毎月10億ドルの費用がかかるという。国防予算が限られている中、シリアへの間接介入でも大きな費用がかかり、また最新武器が超過激派へ流れるリスクが増大するとデンプシー米統合参謀本部議長は警告を発している。(予算縮小で、米軍は高給取りの将校を減らすと報道されるほど)

今でも、イスラエルから、ミサイルがシリアのアサド派拠点へ飛んできている。アメリカとしてもイスラエルを巻き込むシリア内戦の拡大だけは避けたいところである。しかし、打ち込まれた国は、このままでは終わらないだろう。
アメリカは、表向きは綺麗ごとで塗り染めるが、自国の利益しか考えないお国。その運命共同体がイスラエルであり、イスラエルに歯向かう者は、敵としてどこの国でも叩くことになっている(アメリカの政財界はユダヤ人が昔から圧倒的な力で牛耳っている)。
イスラム世界を、アラブの春で主導したキリスト教の欧米文明であるが難題が続く。また、その影響下で殺し合いをするのは、やはりアラブ人同士、シーア派×スンニ派の宗教戦争を仕掛けさせている。

[ 2013年7月29日 ]
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