アイコン 東芝/世界最効率の人工光合成技術開発 温暖化対策にも

東芝は26日兵庫県淡路市で開催されている国際学会で、植物が太陽の光を利用して水 と二酸化炭素からエネルギーを作り出す「光合成」の原理を応用した、いわゆる「人工光合成」の研究で、人工光合成を行う工程に、特殊な半導体や表面に加工 を施した金の触媒を使うことで、太陽光エネルギーからメタノールなどの原料である一酸化炭素を作り出す変換効率を1.5%に高めることに成功し、世界で最 も効率よく人工光合成を行うことができる技術を開発したと学会で発表した。

人工光合成は、太陽の光を利用して水と二酸化炭素からエネルギーを作り出す植物の光合成の原理を応用して、メタノールなどの燃料を人工的に作り出す技術で、世界各国で研究が進められている。
東芝によると、これは藻類に匹敵し、現段階では世界で最も高い水準。これまではパナソニックの電子材料が0.3%で最高だった。
実用化には、変換効率を10%程度にまで高めることが必要とされるため、東芝は技術の改良を重ねて、2020年代の前半をめどに実用化を目指すことにしている。

従来の技術では、太陽光を利用するのに酸化チタンなどの材料を使っていた。しかし、これらの材料では太陽光エネルギーのうち紫外線しか利用できないため、エネルギーへの変換効率を高めることが難しかった。
このため東芝は、今回、シリコンやゲルマニウムを重ね合わせた特殊な半導体を使うことで、紫外線以外の可視光も含めて、太陽光をより効率よく活用できるようになったとし、さらに、表面に微細な加工を施した金の触媒を使うことで化学反応を促進させ、二酸化炭素を一酸化炭素にする効率も高めたという。
人工光合成は、植物の「光合成」の原理を応用して新エネルギーを生み出すだけでなく、大気中の二酸化炭素を使うため、地球温暖化対策にもつながる環境に優しい技術としても期待されている。

このため、日本の大学をはじめ、トヨタ自動車やパナソニックも新たなビジネスチャンスを求めて実用化に向けた研究に乗り出しているほか、欧米や中国、韓国など海外勢との技術開発競争も激しくなってきている。
この技術を使って、人工光合成の実用化により、太陽エネルギーを利用して水から水素と酸素を作り、さらに水素と二酸化炭素から有機化合物を作ることが可能になる。例えば二酸化炭素を一酸化炭素に変換し、その一酸化炭素を化学的に処理することでメタノールを作り出せる。メタノールは、燃料だけでなく、医薬品やペットボトルなどの原料にもできるため、人工光合成が実用化されれば、幅広い産業への波及効果が期待されている。
 

[ 2014年11月27日 ]
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