アイコン 厚労省 TPPを念頭にネオニコチノイド系農薬残留大幅緩和へ

ミツバチが大量死したり、消えてしまったりした原因はネオニコチノイド系農薬と目されている。
今後、TPPにおいて農薬の残留濃度は、大幅に緩和されることになる。その尖兵として今回、ネオニコチノイド系農薬の残留濃度を大幅緩和したものと見られる。

厚生労働省は19日、ネオニコチノイド系農薬のクロチアニジン、アセタミプリドに関する食品残留基準を緩和した。クロチアニジンの場合、ほうれんそうで従来の13倍(40ppm)に引き上げられると報道されている。
同残留基準の見直し過程で、国は2度にわたりパブリックコメント(国民からの意見募集)を実施。合計で約2千件が集まり、その大半が緩和に反対する意見だった。

環境NGOのグリーンピース・ジャパンは同日に声明を発表。「残留基準の引き上げにより、政府は危険なネオニコチノイド系農薬の摂取を増加させている。同農薬が人や環境へ及ぼしうる悪影響に関する科学的証拠や、世界で次々とネオニコチノイド規制を導入する国が増えている流れに逆行している」と批判した。

ネオニコチノイド(Neonicotinoid)は、クロロニコチニル系殺虫剤の総称。ニコチン様物質を意味し、イミドクロプリド、アセタミプリド、ジノテフランなどが該当する。急性毒性は低いとされているが、昆虫に選択的に毒性を発揮し、人など哺乳類には低濃度で単独使用した場合には比較的毒性が低いとされているが、有機リン系農薬と併用した場合には頭痛や湿疹、ADHD(注意欠陥多動性症候群)に似た症状などが発生する場合がある。一般家庭のガーデニング用から農業用、シロアリ駆除、ペットのシラミ・ノミ取り、ゴキブリ駆除、スプレー殺虫剤、新築住宅の化学建材など広範囲に使用されている。現在、農薬として世界100カ国以上で販売されている。

ネオニコチノイドは、シナプス部分(神経細胞間)の後膜に存在する神経伝達物質アセチルコリンの受容体「ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)」に結合し、神経を興奮させ続けることで昆虫を死に至らしめるとされている。
また、アセチルコリンは、昆虫のみならず、ヒトでも神経伝達物質として自律神経系、神経筋接合部、中枢神経系において作用していることから、ネオニコチノイド系農薬のヒトの脳への影響、とりわけ胎児・小児など脆弱な発達中の脳への影響が懸念されている。

ミツバチ大量死は、2010年現在、カナダやアメリカ、中国、台湾、インド、ウルグアイ、ブラジル、オーストラリア、そして日本など、全世界的な広がりをみせている。
特にEU諸国では、ミツバチ大量死事件を受けて、その主要原因物質と考えられるネオニコチノイド系農薬を使用禁止にするなどの対策が講じられている。
特に迅速な対応を行ったのは農業国のフランスで、EU諸国では、ミツバチの被害拡大を防止するために、原因究明に精力的に取り組む一方、予防原則に基づいて、ミツバチ大量死の主要原因と疑われるネオニコチノイド系農薬について迅速な対応が講じられている。
ネオニコチノイド系農薬3種(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)は2013年12月より2年間暫定的に、EU全域で使用が原則禁止となっている。
その結論を待って日本は、緩和の有無を検討すべきであろうが、TPPにおいて、農薬の残留問題はアメリカ様からいろいろお達しがなされているものと見られる。TPP締結に向け、最大の反対組織である農協の組織解体政策を執行し、農協の息の根を止めた政権であり、何でもありだろう。
 

[ 2015年5月20日 ]
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