アイコン 倒産危機VW  マツダ方式とは異なるVW排ガスシステム 

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ディーゼルエンジンは、拡散燃焼(ガソリン車は気化燃焼)なので、黒煙やPM(微粒子)が発生しやすいうえに、燃焼室内が高温高圧かつ希薄燃焼域(軽負荷時は30:1から60:1)で酸素と窒素も過多であるためNOxも発生しやすいという欠点を持つ。

日 本のディーゼル車による大気汚染問題は、石原東京都知事が都心の大気汚染に、業界寄りの政府の大型車の環境規制に痺れを切らし、黒煙を上げるトラックの排 ガス規制を強化、当時20万円以上する触媒機器を取り付けなければ既存のトラックさえも東京都心に乗り入れを禁止すると発したことから急速に進んだ。その 結果、今では黒煙を吐くトラックやバスなどが道路からなくなった。

<排ガス分解システム>
ガソリンエンジンの場合は、燃料とする自動車の排ガス中に含まれる有害物質は、主に炭化水素 (HC) 、一酸化炭素 (CO) 、窒素酸化物(NOx)であるが、それをプラチナ、パラジウム、ロジウムを使用した触媒装置により同時に除去する。
HC炭化水素は、水と二酸化炭素に、CO一酸化炭素は二酸化炭素に、NOx窒素酸化物は窒素に、それぞれ酸化もしくは還元される。
効率よく酸化・還元をするためには、ガソリンと空気が完全燃焼し、かつ、酸素の余らない理論空燃比(ストイキオメトリ)であることが必要であり、このため排ガス中の酸素濃度を酸素センサー(O2センサー)等により絶えず測定して、この情報を元に燃料噴射量等をコントロールする必要がある。

<三元触媒>
「三元触媒」は通常、セラミックなどで生成された触媒担体を、貴金属塩溶液に浸して貴金属粒子を触媒材料の表面に固定(担持)するウォッシュコート法や、触媒基板に貴金属粒子を塗布するコーティング法などにより製作される。
形状としては、触媒コンバータ形状に合わせて成形され、ハニカム状構造で表面積を大きくしたモノリスが主流。また、担体素材としては安価なセラミックが用いられる事が多い。

VW

<三元触媒の欠点と対策の2つの除去方式>
理論空燃比(ストイキオメトリ)でないと効果がなくなる
高負荷運転時に燃料を過剰噴射(ガソリンの気化熱による冷却効果)する際には、理論空燃比から外れるため触媒の浄化能力が極端に落ちる。

ディーゼルエンジンは、拡散燃焼(ガソリン車は気化燃焼)なので、黒煙やPM(微粒子)が発生しやすいうえに、燃焼室内が高温高圧かつ希薄燃焼域(軽負荷時は30:1から60:1)で酸素と窒素も過多であるためNOxも発生しやすい。
排気対策をするにも、排気中の残留酸素が多い酸化性雰囲気(気体)では、三元触媒をそのまま使えないため、PMとNOx対策に別々の後処理装置が必要となり、ほかの触媒および尿素SCRシステムもしくはDOCとDPF併用システムが必要となる。

<VW・BMWの「尿素SCRシステム」>欧州・日本勢に多い
尿素SCRシステムは、ディーゼルエンジンの排気中の窒素酸化物(NOx)を浄化する技術。SCR(選択触媒還元、Selective Catalytic Reduction)は、尿素以外の還元剤を使用する物もあるが、そのなかで尿素水を使用するものが多い。
原理としては、アンモニア(NH3)が窒素酸化物(NOx)と化学反応することで窒素(N2)と水(H2O)に還元されることを応用したもの。
尿素水をタンクに入れて搭載し、これを排気中に噴射することにより高温下で加水分解させアンモニアガスを得、NOxを還元しN2(窒素ガス)とH2O(水蒸気)に分解して排出させる。

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<マツダのスカイアクティブDエンジンはDOCとDPFの併用方式>ロシア・豪勢に多い
ディーゼル車の排ガス処理として最優先事項なのがHC(炭化水素)とCO(一酸化炭素)。この2つの排ガスをクリアにできるのが酸化触媒(DOC、Diesel Oxidation Catalyst)。続いて、処理が求められているのがPM(パティキュレートマター=微粒子やスス)。
その対策としてはディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF、Diesel particulate filter)が使われている。
マツダSKYACTIV-DのNOx対策は、NOx発生原因の一つである高温燃焼を避けるためEGRによる燃焼温度の低温化。そのためのEGR、ターボチャージャー(加給器)の川上にある高圧のHP-EGRと排ガス処理の川下となる低圧のLP-EGRの2系統併用、NOx低減と燃費位の両立において欠かせないのがLP-EGR。
マツダは、そもそもEGRの効果によりNOxを出さないようにするといシステムであり、VWやBMWなど欧州勢が後処理でNOxを処理する吸着触媒や尿素を使った尿素水SCR(選択触媒還元)方式とは異なる。

VW

以上、

動力性能を上げたダウンサイジングのディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンより、高熱を発生し、それを冷やすためインタークーラーが必須、直噴システム、スーパーチャージャーやターボチャージャーなど加給機などを取り付ける必要があり、40万~50万円は高価になるとされる。
VWは、環境問題が厳しくなる一方の欧州規制に対して、トヨタのHVが脅威でならなかったものと見られる。
当然、HVも蓄電池を搭載するため既存同等車より価格は高くなるものの、プリウスの場合は、価格の高いリチウム電池は使用していない。
環境車とは、低燃費と排ガス規制基準のクリアであるが、EVやPHVは高価な蓄電池を要し、まだ、走行距離とインフラ整備問題を抱えコストパフォーマンスにも問題がある。

VWは2008年、HVに対抗するためディーゼル車(TDI、TSI)に、直噴、ターボチャージャー(加給器の一つ)をエンジンに取り付けることで、ダウンサイジング化させ、しかも動力性能を向上させ、環境車として目覚めさせた。(元々直噴、インタークー付ターボ車はスポーツ車用エンジンとして開発された)
元々欧州は石畳や丘陵地帯が多く、登坂力のトルク性能に利点があるディーゼル車の普及率が高かった。VWが開発したダウンサイジングエンジンの開発結果から、欧州の各メーカーが、次々に自社仕様のダウンサイジングのガソリンやディーゼルエンジン車を開発して、馬力やトルク性能、実燃費でHVを上回り、欧州において、HVの浸透は完全に食い止められた。

ところが、その排ガスの環境基準は、実走での検査を行わないシステムであった。また、VWは謳い文句の動力性能を維持するため、違法プログラムを仕組み今回の不正問題に発展した。
また、BMW車のようにディーゼル車全体が、実走段階で環境規制基準値が遵守されているのか、疑われるものとなっている。
実際は、NOx除去のため尿素SCRシステムを導入している欧州メーカーのディーゼルエンジン車の走行時のNOx量がどうであるのか、政治目線ではなく、当該の国民の目線で検査が求められている。

今のところ、マツダのクリーンディーゼルエンジンとは除去システムが異なるため欧州勢とは区別したい。
 
 

[ 2015年9月28日 ]
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