アイコン 倒産危機VW 欧州でのディーゼル車普及 環境問題と高速性能が背景に

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1990 年には欧州全体でもわずか13.8%、94年ごろから97年までは20%強で横ばいの20%前後普及の背景には単に燃費が良いというだけではなく、排出ガ スがクリーンであることと、静かでパワフルというエンジンとしての成熟度が高まったことが大きな要因であるとされていた。

90年代以降のディーゼル車は、燃費よりもエンジンのパフォーマンスの向上が目立っている。90年にはリッター当たり約60kW(80PS)だった出力が、07年では87kW(117PS)まで増加している。

最近ではアウディが、V型12気筒のディーゼルエンジンまで実用化している。つまりディーゼル車のメリットは燃費性能だけではなく、その背景には自動車として快適にスピードを実現するという自動車の本質的な価値の進化があった。

環 境の時代でも、欧州においては高速走行が求められており「スピード」というパラダイムは普遍的なもの。こうして速度無制限というアウトバーンでも快適に安 全にさらに環境に優しく移動できる自動車が求められている。つまりどんなに排出ガスがクリーンでしかも燃費が優れていても、自動車が持つ価値そのものが 劣っていては普及へは結びつかない。

移動距離では日本より欧州は数倍の距離を走るユーザーが多い。欧州ではビジネスでも1,000キロ程度は極当たり前に自動車での移動距離、バカンスにおいても1,000キロ程度の距離は日常的に使われる距離。

倒産危機VW 欧州でのディーゼル車普及 環境問題と性能強化が背景に
1990年には欧州全体でもわずか13.8%、94年ごろから97年までは20%強で横ばいの20%前後普及の背景には単に燃費が良いというだけではなく、排出ガスがクリーンであることと、静かでパワフルというエンジンとしての成熟度が高まったことが大きな要因であるとされていた。
90年代以降のディーゼル車は、燃費よりもエンジンのパフォーマンスの向上が目立っている。90年にはリッター当たり約60kW(80PS)だった出力が、07年では87kW(117PS)まで増加している。
最近ではアウディが、V型12気筒のディーゼルエンジンまで実用化している。つまりディーゼル車のメリットは燃費性能だけではなく、その背景には自動車として快適にスピードを実現するという自動車の本質的な価値の進化があった。

環境の時代でも、欧州においては高速走行が求められており「スピード」というパラダイムは普遍的なもの。こうして速度無制限というアウトバーンでも快適に安全にさらに環境に優しく移動できる自動車が求められている。つまりどんなに排出ガスがクリーンでしかも燃費が優れていても、自動車が持つ価値そのものが劣っていては普及へは結びつかない。

移動距離では日本より欧州は数倍の距離を走るユーザーが多い。欧州ではビジネスでも1,000キロ程度は極当たり前に自動車での移動距離、バカンスにおいても1,000キロ程度の距離は日常的に使われる距離。

<90年代後半に高い普及率>影に日本勢のHV
 ヨーロッパでディーゼルが注目され始めたのは1990年代。地球温暖化問題が国際的な話題になり、ガソリン車両に比べ二酸化炭素(CO2)排出が少ないディーゼル車が普及し始めた。

 ここで注目されるのは、トヨタが環境車としてHVを1997年に、ホンダが1999年に市場投入した時期と重なる点である。
欧州では乗用車での搭載も3割前後普及していたディーゼル車の改良を選択した。
やはり、車両が重たく高速走行時に燃料を食うHVと逆に燃料を食わなくなるディーゼル車、日欧の道路事情や長距離運転度合いの違いが底辺にあった。また、欧州の自動車産業と各国政府がタッグを組み、日本勢の環境車に食われてしまう可能性もあった時期であり、ディーゼル車の環境性能の改良に取り組んだ結果でもある。(HVはこうした欧州における政策もあり、まったく売れていない)

ディーゼル乗用車の歴史は意外に古くメルセデスは1920年代に大型サルーンのディーゼル車が誕生しているが、戦後はオイルショックの70年代にVWがディーゼル車を開発した。その後90年代まで燃費性能だけが取り柄のディーゼル車は、欧州で10~15%の普及で安定していた。
ところが、デンソーが1995年にコモンレール技術(高圧で燃料を燃えやすい霧状に噴射して完全燃焼させ、電子制御で燃焼のタイミングを最適化させ、排出ガスを低減しながら、燃費や出力の向上を図る)を開発、ディーゼル車は、90年代中ごろから急速に人気が高まった。それまでのディーゼルが不得意としていた静粛性やクリーンさ、スピードをガソリン車並みに進化させることに成功させたのだった。(現在、VWにコモンレールシステムを独ボッシュ)

自己着火するディーゼルエンジンは、圧縮比を下げるほうが技術的にはむずかしい。圧縮比が低いと燃焼温度を下げることが可能となり、その結果、窒素酸化物の排出を抑えることができる。圧縮比が低いと、ディーゼル特有の音や振動も低減できるというメリットがある。150PSのエンジンは320Nmのトルクを発生するが、圧縮比が低いので静か低速でパワフルなディーゼルは使いやすい。低回転からパワフルで市街地でも使いやすく、高速移動でもストレスなく無給油で目的地まで到達可能なディーゼル車は、欧州の自動車社会にふさわしいエンジンと言える。

日本の排出ガス対策はNOxを重視してきた。都市部での光化学スモッグの発生を抑えるために大気中のNOx濃度を低下させることが当時の環境技術の大きな課題であった。しかしながら、ディーゼルエンジンではNOxの排出を抑えるとPM(粒子物質)が増加するというトレードオフの関係があり、当時の技術では、PM規制値を譲ってまでNOx規制を強化してきた。

<VWがTDIエンジン投入でさらに普及>
VWは2009年前後から新開発の(問題の)TDIエンジン搭載車が販売され、さらに2010年に欧米などに投入された6代目のブルーモーションモデル=1.6TDIディーゼルエンジンと7段デュアルクラッチ(DSG)変速機を装着車(ジッェタなど)が投入され、停止から時速100kmまで達するのにかかる時間は11.7秒、最高速度は時速190km。公認燃費リッター当たり22.2kmに達し、二酸化炭素排出量も1kmあたり121gと高い動力と環境性能に売れまくった。

ただ、ヨーロッパで販売される乗用車のうちディーゼル車の比重は、2011年を頂点に少しずつ後退している。ヨーロッパ自動車工業協会(ACEA)の資料によると、2000年にヨーロッパ連合(EU)に登録された乗用車のうちディーゼル車の比重は32.8%だったが、2011年には56.1%まで上がった。

リーマン・ショック後の経済対策でエコ補助などの結果でもあるが、経済低迷はその後深刻になり続け、アイスランド、アイルランド、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、イタリアへと拡大し続け、燃費が安く、走行距離も伸ばせるディーゼル車の需要は拡大した。だが、2012年に55.6%、2013年に53.8%、2014年に53.6%と少しずつ減り続けている。
今回の事件を経過し、2015年・2016年の販売台数が注目されるものとなってしまった。

フランスでは、2008年に販売された乗用車のうちディーゼル車の比重は77.3%に達したが、2014年は63.9%まで減少している。
フランス政府は、ディーゼル車による大気汚染を減らすため軽油に税金を賦課し、老朽化したディーゼル車をガソリン・ディーゼルの新車、EVなど、よりエコ車に買い替える場合に補助金を出すなどして、旧式のディーゼル車抑制策を施行している。

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<実際の排出量は大きいと指摘されていた>
しかし、窒素酸化物(NOx)と微粒子状物質(PM)の有害性が指摘されだし、ディーゼル車の排出ガス問題が注目されるようになった。
ユーロ5(ヨーロッパ連合が定めた軽油車排出ガス規制)はもちろん、これを強化したユーロ6基準を充足させる車種も、実際の道路を走行する時に認証基準値を大きく上回る排出ガスを出しているという研究結果が相次いで出されている。

英紙ガーディアンは9月22日(現地時間)、「ヨーロッパは1990年代に二酸化炭素削減に乗り出し、ガソリンよりディーゼル車両を広めたが、その結果深刻な大気汚染を体験している」と評した。
欧州連合(EU)では、実際の道路を走る状況でディーゼル乗用車排出ガスを測定して管理する規制を2017年から実施する計画となっていた。

<問題発覚>
今回の不正を暴露した米国の非営利団体の国際親環境輸送委員会(ICCT)は、VWのディーゼル車が実験室と実際の道路で出す排出ガス量の差がかなり大きいことに注目した。しかし、VWは昨年「車両の問題だ」としてリコールで対応した。ところが、リコールで改善されたはずの車両もまったく同じ結果が出た。電子制御プログラムのよるものとしか考えられず、何回にもわたり執拗にVW側を問い詰めたところ、VWは違法プログラム搭載を白状した。
(検査場などの固定型、走行中の小型機などの排気ガス計測装置は、堀場製作所が世界シェアの7割を有する。当走行試験では堀場製作所も協力している)

ガーディアンによると、同団体は「他の自動車メーカーも(フォルクスワーゲングループと同じ行動をしているのか)問いたださねばならない」と主張している。

米環境保護局は、VWの排ガス不正は、燃費(認可数値)や動力性能をカタログ数値に沿うよう、排ガスの触媒装置を実際の運転では切っていたのだろうと判断している。しかも米国どころか世界中の販売車で2009年~2015年までと長い間不正プログラムを搭載し続けていた。

<問題の追及拡がる>
これに先立ちフランスと英国政府は、ヨーロッパ議会で、ディーゼル車排出ガス調査を求めたと主要外信が報じた。
フォルクスワーゲングループがあるドイツの自動車コラムニストのイワン氏は「緑の党のような野党は、ヨーロッパ連合次元の調査だけでなく、自動車企業等に対する管理・監督責任があるメルケル政権に対する調査も進めなければならない状況にある」と伝えた。
こうした状況により、実際の走行状況で現れるディーゼル車に対する排出ガス規制基準が厳格になると英紙フィナンシャルタイムズは展望した。
以上、報道参照
 

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[ 2015年10月 5日 ]
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