アイコン 倒産危機VW ディーゼル車の欧州における普及と今後の問題

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2008年のユーロ5に準拠したVWの「EA189」型と呼ばれる2.0リットル直列4気筒直噴ターボディーゼル「TDI」エンジン搭載車が不正プログラムを搭載していた。
VWは2009年前後に不正プログラムの搭載車販売開始、後追いで正規プログラムに戻すこともなく2015年まで続けられていた。米国がNOxについては一番うるさい。NOxは窒素酸化物で光化学スモッグや酸性雨の原因とされる。

欧州では、米国や日本より規制値が緩いのは、ドイツを中心とした政府が自動車産業の要請に基づき、急激な規制強化を回避、聞声の良い地球温暖化対策のCO2排出基準(燃費走行距離を兼ねている)を中心に規制しているためとされる。
米国への輸出車や現地工場生産車での不正プログラム搭載ならば、規制値逃れも主張?できようが、世界で販売するVW-G主力車のすべてに搭載させていたことは、低燃費性能や動力性能が、実際は、排ガス除去システムを機能させた場合、悪化した数値だったことになる。

米国での検査では、ディーゼル車特有の排ガスを後処理する除去装置を稼動させず、その排ガスNOx量は、走行場面により10倍から40倍とされており、実際は0.44~1.76を排出していたことになる。
当然ながら、欧州のEURO5の基準も大きく超過しており、過去、大規模公害やスモッグに見舞われ、酸性雨による大規模森林破壊喪失などを経験して環境意識が高い欧州人を、欧州の自動車産業が各国政府を巻き込みCO2削減で誤魔かしていたことになる。
しかし、今回の問題は、これまでもダウンサイジングディーゼルエンジン車も排ガスは多いという噂が現実のものとなり、また、ディーゼル車に対する経年検査なども含めた検査強化は今後疑いようがないものとなっている。

BMWやベンツなど高額で販売できるダウンサイジングディーゼルエンジン車では、両社の車両は高級車、重量ももともと重たく軽量化することは比較的簡単、排ガスの後処理にお金をかけても目立つこともないが、大衆車であるVWの車両では、致命的なものになる可能性がある。
VW車は、最近ダウンサイジングガソリンエンジン(直噴ターボ搭載)性能も上昇しているが、大衆車でありながら価格も高くなっている。

現在販売されているVWの新型のTDIエンジン(Dがディーゼル車を表記、TSIエンジンのSがガソリン車を表記している)搭載車は、こうした不正プログラムを搭載せず、米国の環境基準にも適合しているという(米国検査)。.

 

新車排出ガス規制
 
 
CO
NOx
PM
NMHC
新長期規制(日本)
2009
0.630
0.080
0.005
0.024
ユーロ5(欧州)
2008
0.500
0.180
0.005
0.068
ユーロ6(欧州)
2014
0.500
0.080
0.005
0.068
Tier 2 Bin 5(米国)
2007
0.003
0.044
0.006
制限無し
NMHC = Non - Methane hydrocarbons ( 非メタン炭化水素 )
 
ユーロ6はNOx削減が主眼となっている。
 
欧米日のNOx排ガス規制基準
EU連合
米国
日本
EURO5 2009~
0.20
Tier2/bin5
0.044
ポスト新長期
0.08
EURO6 2014~
0.08
(2007~)
 
(2009~)
 
 
 

<欧州における総登録台数とディーゼル車の割合の推移>
米国と日本は窒素化合物を有害視するのに対し、欧州では二酸化炭素の排出量を重要視。 同排気量で比較した場合、排ガス除去装置などで販売価格が高いディーゼル車の方が、燃焼効率が良いため少ない燃料で走れること(長い走行距離)、また二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない事という利点があり、燃料価格も概して安く、年間走行距離も日本より5割以上1.5万キロ超走るため燃費で元がとりやすい事、低速からのトルクが大きく日常使用で乗りやすく、長距離運転による高速性能も高いといった使用上の理由や環境性能も良いことからディーゼル車の購入層が増えた。各国政府のエコカー補助も普及に拍車をかけた。

 
1005_01.jpg

1005_02.jpg

<米環境保護局発表のVW-G 不正ソフト搭載車のエンジンは「EA189型」>
(米国における)VW-G ディーゼル車 排ガス不正車
メーカー
車両名
タイプ
年式
VW
ゴルフ
 
2010~15年式
 
ゴルフ
スポーツワゴ
2015年式
 
ジェッタ
 
2009~2015年式
 
ジェッタ
スポーツワゴン
2009~14年式
 
ビートル
 
2012~15年式
 
ビートル
コンバーティプル
2012~15年式
 
パサート
 
2012~15年式
Audi
A
 
2010~15年式
対象台数
482,000
制裁金最大⇒
18億ドル
 
VW-G 不正プログラム搭載メーカーごとの生産台数
VW-G 2014年各社販売台数
不正車
 
/万台
シェア
/万台
割合
VW
612
60.4%
500
45.5%
Audi
176
17.4%
210
19.1%
ポルシェ
19
1.9%
 
 
シュコダ(チェコ)
104
10.3%
120
10.9%
セアト(スペイン)
39
3.8%
70
6.4%
MAN
12
1.2%
 
 
スカニア
8
0.8%
 
 
VW商用車
44
4.3%
180
16.4%
 
1,014
100.0%
1,080
 
 ・同社資料および報告による。
1,100
 
 
 
<VW-Gの不正プログラム搭載車の各国販売台数>2015.10.3現在
VW-G 不正ソフト搭載「EA189型」TDIエンジン                            各国販売状況 2015.10.3現在
/万台
VW-G
VW
Audi
ショコダ
米国
48.2
 
 
 
ドイツ
280.0
 
 
 
英国
119.0
50.8
39.3
13.1
フランス
94.8
60.0
19.0
6.5
スペイン
68.4
 
 
 
イタリア
65.0
 
 
 
オーストリア
36.4
 
 
 
スイス
13.0
 
 
 
韓国
12.1
9.2
2.8
 
ルクセンブルグ
4.0
 
 
 
ポルトガル
 
 
 
 
カナダ
 
 
 
 
インド
 
 
 
 
ロシア
 
 
 
 
 
 
 
 
 
中国
1946
 
 
 
中国は輸入車のみが対象、VWの中国生産車はガソリン車のみ

10月3日までの判明分の報道では合計744万台しかならず、残り350万台あまりが残りの欧州各国などへ販売されていることになる。市場販売データはVWが地域販社を子会社として有しており、持っているはずだが、なかなか開示しない。しかし、韓国のようにVWコリアは6万台としたにもかかわらず、VW-G本体から韓国当局に対する報告では12.1万台という数値と大きな違いも出ている。

[ 2015年10月 5日 ]
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