アイコン ルノーサムスン 撤退か残留か 構造調整のリストラ始まるか

 

 

ルノーサムスン自動車が9月の希望退職に続き2度目の構造調整に出る。

「生産の崖」が深化しており、生産職1800人のうち半分ほどが会社を離れる最悪の状況も発生する可能性があるという。
27日の自動車業界によると、ルノーサムスンは最近労組に来年度の生産計画を公開しながら3種類の追加構造調整案を検討していると説明した。
1案は生産職の年次休暇(最大30日)をすべて使わせ遊休人材を最小化する案。
2案は時間当たり生産台数を45台から35台に下げる案。
最後の3案は2交代勤務方式を1交代に変えることも検討中されるという。
 
ルノーサムスンが追加構造調整カードを取り出したのは来年の輸出量を確保できない場合、生産台数が大幅に減ることによるもの。
ルノーサムスン釜山工場の生産台数の半分ほどを占める年間約10万台の日産「ローグ」の生産が来年初めに終わる。(契約は9月までだったが、新型車の生産開始が遅れていることによるものだろう。欧州キャシュカイ、日本エクストレルと双子車)
<労組のストと「物量の崖」/ルノーサムスン、生産職の半分がリストラも>
24日、ルノーサムスン自動車の2019年賃金団体協約実務交渉で会社側代表は、「世界の自動車メーカーがみんな構造調整をしています。今、自動車産業の労使関係の話題は雇用です。雇用を守るためには労使が力を合わせなければならないという意味です」と話した。
「労組が、基本給を8%(15万3335ウォン)上昇要求を継続すると、「企業が利益のために工場移転を決める可能性があることをわからなければならない」と付け加えた。
労使対立が続けば本社である仏ルノーグループが撤退もしくは釜山工場の規模を減らすこともあり得るという「警告性発言」である。
 
作る車がないルノーサムスン・日産ローグ生産終了>
ルノーサムスンが史上最悪の危機状況に追いやられている。作る車がない「生産の崖」の危機。日産の米国販売用仕様車ローグの委託生産が来年初めに終わる。年間約10万台で釜山工場の生産台数の半分ほどを占める量。
 
ルノーサムスンは今年初めに後続の委託生産モデルを確保しようとしたが、ルノーグループが労使対立により納期に支障をきたしてきたことからこれに反対した。
今年も賃上げや諸条件を要求して時限・部分ストを繰り返し9月には全面ストも敢行している。しかし、ルノーが撤退する可能性もあり、労組員の労組破りも出て、生産減量はある程度緩和されていた。
 
ルノーサムスン労使は6月に2018年度賃金団体交渉を、年を越して終えたが、すぐに2019年の賃金団体交渉を始めなければならなかった。
当然、外注品も最低賃金の大幅な上昇に基づく各種部品コストも上昇しているものと見られる。
 
その間に、ルノーサムスンに割り当てられる予定だった年8万台規模の欧州輸出向け「XM3」をスペイン工場にも決定し、分けなければならない境遇で、割り当て時期も遅れている。
今、割り当てを受けても生産準備期間などを考慮すると来年下半期から生産に入れる。相当期間は内需向けで持ち堪えなければならないことになる。
分割は、ストにより生産が間に合わなければ販売機会を失うという企業にとっては最悪の事態を招くおそれがあることにも起因している。
 
<国内販売も低調>
ルノーサムスンの1~9月の内需販売台数は6万402台で前年同期の6万2343台より▲3.1%減った。2017年1~9月の7万5172台と比較すると▲19.6%減少した。
その上、一時ルノーサムスン内需販売の30%ほどを占めた「SM3」「SM5」「SM7」は生産が中断された。
業界専門家らは準大型「SM6」とスポーツ多目的車(SUV)の「QM6」だけで内需市場を攻略するのは容易ではないだろうと分析している。
以上、
 
ルノーサムスンは、韓国GMのように韓国政府の公金(借り入れだが郡山工場閉鎖に伴う退職金などに回された)が投入されておらず、しがらみなく撤退できる。
 
ただ、ルノーとしても撤退では、日産の低迷もあり配当金も多くを期待できず、最近では欧州市場も低迷しており、韓国撤退特損では本体の収益をさらに悪化させることから、簡単に撤退できない事情もある。
 
韓国GMもまた、労組との板ばさみになっており、先に発表した米国での工場撤退・縮小では労働組合が40日間もストを打ち、2000億円の損害が出たとされ、それもやっと終息した。ただ、韓国の場合は別会社であり、遠い他国でもあり、撤退しやすい環境にある。また、韓国の開発部隊を分離独立させ、GMの直轄子会社にしたことから、撤退に伴う知財保護もできるようにしている。
ただ、韓国GM車の販売とGM本体からの輸入販売車1万数千台も考慮する必要がある(米軍関係者向けが主力だろうが・・・、また、撤退では反米感情が高まるおそれもある)。
 
韓国の各労組は左派の文政権になり組織力を高め、以前から、企業の経営悪化は企業経営者の問題だとして、賃上げや諸条件を突きつけストを打つのが慣例化しており、さらに過激化している。
日本のように労働組合が連合に糾合され死滅化し、ダラ幹だけに形骸化し、今や存在悪になっているのもいかがなものかと思われるが、最低限、企業の経営あっての労働組合ということは前提条件だろう。
 
ローグのモデルチェンジ時期に来ており、また、ゴーン問題から欧米で日産は敬遠され売れていない。
ルノーサムスン 韓国内販売台数
 
2018年
2019年
 
前年比
前年比
1
6,402
-14.0%
5,174
-19.2%
2
5,353
-33.2%
4,923
-8.0%
3
7,800
-25.8%
6,540
-16.2%
4
6,903
-20.7%
6,175
-10.5%
5
7,342
-20.4%
6,130
-16.5%
6
7,120
-20.9%
7,564
6.2%
7
7,602
-4.1%
8,308
9.3%
8
7,108
1.5%
7,771
9.3%
9
6,713
-8.8%
7,817
16.4%
10
8,814
24.0%
 
 
11
8,407
1.3%
 
 
12
10,428
8.6%
 
 
合計
89,992
1~9月計
60,402
-3.2%
 
ルノーサムスン 世界販売台数(韓国含む)
日産ローグ含む
 
2018年
2019年
 
前年比
前年比
1
21,847
7.9%
13,693
-37.3%
2
15,994
-22.3%
11,721
-26.7%
3
27,057
7.0%
13,796
-49.0%
4
23,096
2.9%
13,720
-40.6%
5
16,101
-21.5%
14,228
-11.6%
6
21,921
-18.3%
18,686
-14.8%
7
18,565
-20.3%
15,874
-14.5%
8
12,733
-34.6%
12,987
2.0%
9
14,582
-44.3%
15,208
4.3%
10
18,630
-5.4%
 
 
11
18,601
-27.8%
 
 
12
42,424
-30.4%
 
 
合計
251,551
1~9月計
129,913
-24.4%
出典:マークラインズの原資料より作成
 
↓日産の国内工場と米工場などで生産されるローグ・キャッシュカイ(日本版エクストレイル)
ルノーサムスンへの委託生産なし
20年型フルモデルチェンジ車
1028_01.jpg

[ 2019年10月28日 ]

 

 

 


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