アイコン 日本の官民ファンド 仮面を被った巨額補助金組織の実像

Posted:[ 2020年1月 7日 ]



官民ファンドは、名ばかりの国の巨額助成金・補助金をファンド形式にした政府ファンドであり、元々利益など考慮されていないのが実態。たまたま運よくプレミアムつきで回収できたファンドもあるが、手が切れないファンドは泥沼に陥っている。

『産業革新機構(現INCJ/投資残7300億円/現、産業革新投資機構の子会社)』は官民ファンド、政府が3,060億円(95.6%)、民間企業26社が140億円(4.3%)で拠出したファンド。
中西経団連会長の日立製作所は、日産の電池購入再編により、傘下のHV車両用リチウム電池事業会社の日立ビークルエナジーを経産省ファンドに売った。安倍首相への世耕(当時の大臣)の忖度だったのだろうか(なぜかマクセルと共同購入)。
(当時の日産ゴーンは、開発するより購入した方が安いとして、NECとの合弁会社のEV用電池会社を中国企業に叩き売っている。最先端技術、米政府がよく知らぬふりしたものだ。日産の志賀氏がINCJのCEOという関係もある、仲間うちで適当に売ったり買ったりしている様相は否定できない)

経産省ファンド(産業革新投資機構)での役員総退陣のイザコザで明らかなように、実態は、ボロ企業に対する国の救済ファンドでもあり、最終損失は膨大になることが予想されている。投資額は今後も含め何兆円にもなるファンドでもある。



例えば、中国台湾企業に叩き売りl予定のJDIへは巨額出資(累計3500億円以上)に対しデューデリを実施すれば、疑いようのない事実。経産省ファンドに損失が現実化しないように出資し続けている可能性すら否定できない。

INCJの出資先JOLEDについては、世界初の印刷方式による有機EL製造技術で生産を開始し、有望株であるが、大画面用は生産しておらず、すでにLGはロール型の大画面を開発しており、安価に8K・精細さなどを立証しなければ勝ち目はないと見られている。常に攻撃的なマーケティングを行うTVやディスプレイ市場は完全に韓国勢が有し、日本勢の有機EL-TVもLGから供給を受けている現実もある。

<クールジャパン機構>
クールジャパン機構にしても2017年末までに▲98億円の赤字を出している。
政府と民間が資金を出して運営する官民ファンド「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」が出資した事業のうち、少なくとも7件が機構の株主企業6社に関連している。
公的資金が、株主企業に還流された形で、機構の中立性が揺らいでいる。

機構の投資先を決める内部組織に投資先企業の役員がいたことも判明している。公的投資の名目で私企業の利益を図る「利益相反」の疑いがある。
機構が2014~2019年に公表した出資32件の内容を事業報告などから調べ、株主6社に関係する出資を計7件確認した。
総額は196億円。出資全体の3割にあたり、株主の出資額の20倍超を支援した例もある。
なんでもありの政権であり、当然のことだろう。

機構は2014年9月、中国・寧波への商業施設出店事業に110億円の出資を決定。この事業は、機構に5億円を出資する株主の「エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング」(阪急・阪神百貨店G)が中心を担っている。

利益相反が疑われる出資は、マレーシアにある日系百貨店の改装事業への10億円。機構株主の三越伊勢丹ホールディングス(HD)の子会社が事業を請け負った。
機構が出資を決めた2014年9月当時、投資先を選ぶ内部組織「海外需要開拓委員会」の委員長を三越伊勢丹HDの社外取締役が務めていた。

政府は、口先だけは官民ファンドに中立的な投資を求めている。
海外需要開拓支援機構法は、同委員会の運営に関し「特別の利害関係を有する委員は議決に加わることができない」と定めている。

経産省クールジャパン政策課の三牧純一郎課長は、株主が関わる事業への出資7件を認めた上で、決定に際しては政策的意義や収益性といった政府の支援基準を守っていると本紙に説明。「機構株主と出資先の企業が同じだからといって、ただちに問題があるとの認識はない」と語った。

利益相反の指摘に対しては、「出資者を含む利害関係者は支援決定の議論や議決から外れることになっている。マレーシアの案件も当該取締役は議論・議決の場にいなかった」と述べた。

官民ファンド問題では「5億円の出資で110億円の支援を受けるのは公金の還流だ」と投資の中立性に疑問を呈されている。

慶応大大学院の小幡績准教授(企業金融)は、「官民一体という構造上、政府が機構の株主に一定の配慮をしなければならず、結果的に利益相反が生まれる。公金が使われる以上、国民に疑問を持たれる余地があってはならない」と語った。

クールジャパン機構は、日本文化の発信で成長が見込める企業に投資。昨年9月現在、政府が756億円、民間23社が計107億円を出資している。

<官民ファンド>
リスクが高く、民間だけでは資金を調達できないが、成長が見込めそうな企業の株を買う機関。
株の売却益や配当が出れば出資者に配当するが、事業の失敗で資金を回収できないこともある。2012年発足の第2次安倍政権が成長戦略に掲げ、全14のうち10ファンドを新設。クールジャパン機構は2013年11月に発足。業績不振が指摘され、2018年度末の累積損失は▲179億円。

官民ファンド「農林漁業成長産業化支援機構(A―FIVE)」=農業ファンドも出資先「食の劇団」が破綻し、▲98億円赤字に陥り、新規出資は行わず、回収後、廃止を決定している。
A―FIVEには、国が300億円出資し、企業が19億円出資している。
 
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官民ファンド (いくつあるのか不明)
ファンド
所轄
ファンド額
 
(株)民間資金等活用事業推進機構
内閣府
93億7,500万円
 
(官民連携インフラファンド)
 
国立大学法人評価委員会官民イノベーションプログラム
文科省
不明
 
(株)海外需要開拓支援機構
経産省
600億円
98億円赤字
(クール・ジャパン機構)
(2013年計画)
一般社団法人環境不動産普及促進機構
国交省
不明
 
(Re-Seed機構)
環境省
 
日本政策投資銀行競争力強化ファンド
財務省
最大3,150億円
 
産業革新投資機構+(旧)産業革新機構
経産省
最大約2兆円
 
 
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
 
PEZY脱税事件
独立行政法人中小企業基盤整備機構
5,191億円
 
(株)地域経済活性化支援機構
内閣府
約1兆2,000億円
 
(株)農林漁業成長産業化支援機構
農水省
318億円
92億円赤字
 
(株)海外通信・放送・郵便事業支援機構
総務省
 
25億円赤字
海外交通・都市開発事業支援機構
 
 
46億円赤字
科学技術振興機構
 
 
 
官民イノベーションプログラム
 
 
 
中小企業基盤整備機構
 
 
 
グリーンファイナンス推進機構
 
 
 
環境不動産普及促進機構
 
 
 
特定投資業務(政投銀)
 
 
 
競争力強化ファンド(政投銀)
 
 
 
地域活性化支援機構
 
 
 
・ほとんど天下り用の組織だろうか
 
 

 


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