去年の11月ごろに、2度の不渡りを発生させ銀行取引停止処分を受け民事再生法の適用申請を行う予定だった、地場ゼネコンの(株)イトウ(長野県安曇野市穂高4486-8、代表:小林繁則)は2月17日、債務整理を鈴木正巳弁護士(電話03-3294-8251)に一任し、債務を整理し、事業を継続する意向の通知を債権者に送付した。
負債額は約32億円。
同社は昭和25年創業の土木建築工事業者。長野県内の安曇野市がある中信地区一帯を営業エリアに官庁工事を広く受注し、また、民間工事も商業施設、工場、住宅建築まで手がけ、分譲住宅の開発から販売まで手がけ、以前は30億円以上の売上高を計上していた。
しかし、令和元年5月期には19億円台まで売上高が落ち、競争から採算性も悪化するなか、大口の回収難が発生、信用不安から建築工事の契約解除などもありさらに信用低下、これ以上、金融機関の支援も受けられず、抜本的に財務内容を改善するために、今回の債務整理となった。
追、民事再生を申請予定だったが、民事再生手続き中の約1年間は官庁入札から締め出されることから、債務整理を選択したものかもしれない。
しかし、民事再生を申請しなくとも再生支援機構など使わなければ金融機関のカットは難しく、一般債権者からだけのカットになれば協力業者に不満が蓄積する可能性もある。同社には財務内容を債権者に開示して再建を進めてもらいたいものだ。
同社は昨年11月末に決済難に陥り、経営不振を表面化させていた。再建の動きも時間とともに財務内容や信用が毀損するおそれもある。
(株)イトウの財務内容と業績 平成30年5月期/千円
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流動資産
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1,323,260
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流動負債
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1,330,361
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固定負債
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209,963
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固定資産
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712,815
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自己資本
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495,751
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(資本金)
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30,000
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総資産
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2,036,075
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負債+資本
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2,036,075
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売上高
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粗利益
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経常利益
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自己資本率
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1,598,213
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200,466
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6,446
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24.3%
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・建築・土木工事業ほか地場ゼネコン
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