ボーイングでは７３７ＭＡＸ機の問題が後を絶たない。

航空業界や航空貨物業界が活況に転じ、受注は急回復（２３年１２月３６９機受注）してきたが、ドア落下問題からか、今年１月はなんと受注は３機にとどまり、別途３機のキャンセルが生じ、実質０だったとＣＮＮが報じている。月間受注３機は新コロナ下の２０２０年６月の１機以来だそうだ。
会社全体では軍需企業でもあり、ウクライナ＋イスラエル特需などから、好調のようだが・・・。

１、ＭＡＸ８型機の２０１８年・１９年の２回の墜落事故後、ボーイングの信用は失墜、２０ヶ月飛行停止に追い込まれた。当然、同社は信用回復に万全を期しているものと世の中の人たちは思うだろうが、アメリカ＝ボーイングは体質的に奢り高ぶりが続いているようだ。

２、２０２４年１月５日、ＭＡＸ９型機が飛行中に非常ドアや胴体パネルが吹き飛ばすというアクシデントが発生、当該機種は世界で飛行停止・点検に追い込まれた。結果、多数の機でボルトの未装着や緩みが発覚していた。
当問題は協力企業のパネル取り付けが杜撰だったとされているが、ドアのボルトの締め問題や納入後のボーイング社の全体検査が杜撰だったことを裏付けている。
当問題については、米国家運輸安全委員会（ＮＴＳＢ）と米連邦航空局（ＦＡＡ）が対応している。ボーイング社は機体製造過程での安全管理対策の怠慢行為だと批判された。

３、２０２４年３月になると、ＭＡＸ８型機で今度は方向舵の問題が浮上している。
今年２月、ユナイテッド航空の同型機が着陸準備で定められた手順を踏んでいる際、方向舵ペダルが「作動しない」事態に襲われたという。
米国家運輸安全委員会（ＮＴＳＢ）は、その後の整備士による試験飛行も含め、冷温中、飛行を自動操縦していて、手動に切り替え着陸態勢に入り、冷温でペダルの油圧が機能しなかった可能性があると見ている。
ＣＮＮによると２０１９年にも７３７型ＮＧ機（原型機／運用開始は１９６８年）で同じトラブルが２件発生、部品を交換して問題を解消していたという（発生季節は不明）。
７３７型機（ＮＧ機）では方向舵制御不能により１９９１年と９４年に２機墜落している。　
潜む根本問題が解決されないまま方向舵の機器システムを使用している可能性もある。

★２０２０年１２月、ボーイングの中型機「７８７」（ドリームライナー／２００～３００人乗り）で、炭素繊維複合材をつなぐ作業の精度が低く、結合部から小さな亀裂が生じて構造的な劣化が早まる恐れがあるという。

★２０２１年１２月、イタリアの検察当局は、米ボーイングの中型機７８７（ドリームライナー）に製造上の問題が見つかったことを巡り、同国の部品メーカーが基準に満たない部品４０００個以上を２０１６～２１年にボーイング機向けに製造していたとする暫定報告書をまとめた。
この部品メーカーは、マニュファクチャリング・プロセス・スペシフィケーション（ＭＰＳ）。ＭＰＳもしくはその前身で経営破綻したProcessi Specialiが欠陥のあるチタン製部品を製造し、３５機の７８７に取り付けられたという。
ＭＰＳは、ボーイングの貨物機７６７向けの部品も製造していた。７６７は米空軍の空中給油機のベースとしても使われている。

★２０２４年１月５日、年初から問題となったアラスカ航空機の非常ドアを覆うパネルが飛行中吹っ飛び、ドアも４ヶ所で螺子がなかったという問題。同機は別途、１２月に３回、「自動与圧不具合ライト」が点灯したという。手動に切り替え対応したが、警告灯が点灯した原因はまだ判明していない。

★２０２４年１月１８日、アメリカ南東部のフロリダ州マイアミの空港でアトラス航空のボーイング社製７４７－８型の貨物機が空港を離陸直後、(３分後)エンジンから出火し、引き返し午後１１時に緊急着陸、乗員５人が乗っていたがけが人はいないという（飛行時間は全１４分間）。

★２０２４年３月、２月に方向舵問題が発生している。上述参照。

☆株価は２３/１２月１日では２６０ドルだったが、問題噴出で３月８日は１９８ドルまで下落。