アイコン キプロス問題  財政不安定なEU各国の銀行から大量流出の予感

ギリシャ財政破綻でギリシャ国債を大量に有していたキプロスの連鎖財政危機問題で、キプロス政府から支援要請を受けたEUが、100億ユーロの支援の条件として突きつけたのは、キプロスの銀行預金者から巻き上げる方法(=預金課税)であった。
預 金者から預金額の最高9.9%巻き上げる(52億ユーロ)もので、国民も議会も猛反対。しかし、EUから支援を取り付けたいキプロス議会は、交換条件とし て、行き詰っているキプロス第2位のポピュラー銀行を潰し、不良債権をバッドバンクに、良質債権をグッドバンクに移すとともに、第1位のキプロス銀行の傘 下に置き処理するとした。また、預金者には預金保険が利かない10万ユーロ以上の預金に対して30%から40%をカットするというものであった。これで 40数億ユーロがカットされることから、EUも合意した。

しかも、こうしたキプロスでの預金税導入や金融機関の破綻のさせ方は、今後のユーロ圏銀行で行き詰っている銀行の再編のビジネスモデルとなるとユーロ圏財務相会合のダイセル議長が記者会見して述べ、キプロス問題がユーロ圏銀行のリスク問題に飛び火した。こうしたユーロ圏銀行のリスク回避でユーロが売られ、円が上昇、円は対ドルでも上昇している。
25日のNY市場では、一時ドルが93円台、ユーロが120円前半まで売られ、大幅な円高となっていた。

ロシアは、キプロスに190億ユーロ預金しているとされ、破綻させ、カットさせられるロシアの被害は甚大。預金課税よりその被害額は拡大するとされる。
プーチンは25日、政府に対して既存融資の再編に着手するよう指示している。また、首相のメドジェージェフは外国預金者から「盗みが続いている」と批判している。

(キプロス議会が預金課税を否決した後の22日に、キプロス政府は、ロシアに対して50億ユーロの融資を申し込んだが断られ、2011年に受けた25億ユーロの融資についても、2016年となっている返済期限を延長することと金利引き下げを求めたが、これも断られていた。)

なお、タックスヘブン国のキプロスの預金総額は700億ユーロ。約半分を外国勢が預金、全体の39%、190億ユーロがロシアの客となっている。

以上のことから、今回のキプロス処理において、ユーロ圏の財政不安定な国の銀行やユーロ加盟国の経営悪化している銀行から、外資の預金が早期に引き揚げられる可能性が指摘されている。
 

[ 2013年3月26日 ]
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