アイコン 消費低迷・可処分所得は社会保険料と税負担増で伸び悩み/日本総研

スポンサード リンク
 

家計の手取り収入にあたる「可処分所得」が、安倍政権の経済政策アベノミクスが始まる前の2012年から横ばい水準にとどまっていることが2日、日本総合研究所の試算で分かったと報道されている。
賃金の総額を示す「雇用者報酬」は増えたものの、所得税や社会保険料の負担も増加したため、それらを差し引いた可処分所得は伸びていなかった。
政権は企業の賃上げをアベノミクスの成果と強調しているが、一方で、社会保険料や税の負担増がはかられ、また、円安から物価高に至り、買い物などに使える可処分所得が増えていないことが、個人消費低迷の原因と日本総研は指摘している。
日本総研は、内閣府の国民経済計算を基に、雇用者報酬などの12年の平均を100として四半期ごとの動きを算出している。

アベノミクス「3つの変調」/日本総研
1、円高による企業収益への下押し圧力増大、
2、消費の低迷長期化、
3、インバウンド需要の陰り・・・(耐久消費財の爆買い一巡、中国経済低迷、円高による割安度消失)

<円高と企業収益>
(1)年初からの円高進行で、16年度企業利益は頭打ち
購買力平価との対比でみると、異次元緩和を拡大した2014年秋以降、ドル円相場は購買力平価を大きく超えて円安が進行。こうした大幅な円安の進行は、大胆な金融緩和を中心としたアベノミクスがもたらす景気・物価の押し上げ効果を過大評価していたことを示唆。昨年末からの円高は、行き過ぎた円安の是正という側面も。(購買力平価の参考とされるマクドナルド指数では、日米ではかなりの開き(=円安)となっている)。

足許では、英国のEU離脱を巡る国民投票の結果(離脱派が勝利)を受け、マーケットでのリスク回避の動きも強まっており、為替相場が購買力平価を大幅に上回るような円安水準への復帰は、当面、期待し難く、むしろ円高地合いが長期化する公算大となっている。

(2)円高の企業収益への影響
日銀短観の経常利益計画を基に試算すると、2016年3月時点での1ドル=117円という想定為替レートのもとでは、2016年度は増益も見込まれたものの、足許の円高水準が定着すれば下方修正は不可避で、現在のように105円を割り込む水準での推移が続けば、前年度比減益となる公算。

(3)英国のEU離脱の影響
英EU離脱については、輸出や海外現地法人売上高に占める英国のシェアを踏まえると、直接的な影響は限定的とみられるものの、英国・EU間の離脱交渉が難航するとみられるなか、マーケットでの円高・株安の動きが、企業の景況感や消費者マインドの重石となる見込み。
こうした影響により、2016年度のわが国実質GDP成長率は▲0.2%ポイント程度下押しされる見込み。
加えて、中期的にみると、英国をEU地域の戦略拠点としている企業は、事業戦略の大幅な見直しを迫られる可能性もある。

<消費低迷の背景>
可処分所得の伸び悩みが消費を下押し
(1)個人消費
個人消費は、低迷が長期化。雇用情勢の改善は続き、賃金も小幅ながらプラスに転じたものの、消費統計は、需要側、供給側ともに横ばい圏内で推移。

(2)個人消費低迷の背景
低迷の背景については、循環的・一時的要因から、まず、昨夏以降の株価の伸び悩みを指摘可能。2013年から2015年半ばにかけて、家計部門全体で毎期平均前年差49兆円にのぼる株式評価益が発生していたものの、2015年下期に失速し、2016年1~3月期には同29兆円の減少に。これに伴い、これまで消費を押し上げてきた資産効果が減衰し、足許では、消費を下押しする逆資産効果が発生。

(3)長引く補助金制度の影響
加えて、家電エコポイント、消費増税前駆け込み消費などによる耐久消費財需要先食いの反動も残存。家計部門の実質主要耐久消費財のストックは、エコカー補助金などの制度が始まった2009年以降、従来のトレンドから大幅に上振れ。2014年時点では2割以上上回る水準に。

(4)可処分所得
一方、個人消費低迷の構造的な要因としては、年金・医療保険料などの社会負担や税負担の増加に伴う可処分所得の伸び悩みを指摘できる。
家計の収入の大部分を占める雇用者報酬は、アベノミクス始動後、着実に増加したものの、家計の収入から税や社会保険料などの支払いを差し引いた可処分所得は、負担増を反映し伸び悩んでいる。
以上、
消費者の購買意欲などを示す6月の消費者態度指数は、雇用情勢が改善したことなどから2ヶ月連続で前月を上回った。しかし、現実の所得階層別指数は次のとおり。

 
消費者態度指数
単位/円
6
5
4
3
300万未満
37.6
36.6
35.4
37.0
300~400万円未満
42.7
41.3
40.1
40.8
400~550万円未満
43.3
42.8
42.0
42.7
550~750万円未満
43.2
42.8
42.6
42.6
750~950万円未満
45.2
43.8
43.1
44.8
950~1200万円未満
45.2
44.6
44.1
43.8
1200万円以上
45.8
45.9
44.7
45.4
総合
41.8
40.9
40.8
41.7
・総合は季節調整済、内閣府による全国8400世帯の調査数値、なお、当調査は英EU離脱(=円高=株安)投票前に行われている。
・50Pが景気判断の境目であるが、低次元の攻防

 

[ 2016年7月 4日 ]
スポンサード リンク
 

 

コメントをどうぞ

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   
スポンサード リンク
 


PICK UP


PICK UP - 倒産

↑トップへ