大成建設は、札幌市中心部の放送局跡地に建設中の26階建の高層ビル「(仮称)札幌北1西5計画」(発注:NTT都市開発)の建設工事をめぐり、鉄骨組立工程で施工不良が見つかったため工事をやり直すことになり、それに関連する費用として、約240億円の損失を計上すると発表した。
当高層ビルでは、3月、鉄骨の柱や梁を組み立てる工程で基準を超えるズレが複数見つかったほか、発注元の企業に対して、鉄骨組立の精度について虚偽の数値を報告していたことが明らかになっている。
全体の3割以上進んでいた工事は、最初からやり直すことになり、大成建設は17日、追加費用として約240億円の損失を計上すると発表した。
こうしたことを受け、今年3月までの決算の最終利益の見通しについて、グループ全体で670億円から471億円に下方修正した。
また、業績の見通しを下方修正した経営責任を明確にするため、今年6月までの3ヶ月間、相川善郎社長の月額の報酬を50%減額するほか、社外取締役をのぞく取締役の月額の報酬を30%減額する。
大成建設本体(個別)の当期業績予想は、
売上高は、国内の土木・建築事業において、当期の売上計上予定工事が想定通り受注に至らなかったことなどから、前回予想を950 億円下回る見込み。
営業利益については、国内の建築事業における売上高の下方修正に加え、不良工事やりなおし 及び主に東京オリンピック・パラリンピック関連の大型案件一巡後、戦略的に受注した複数の国内大型建築工事において、原価低減や追加工事の獲得に伴う収支改善以上の建設物価上昇により、収支が悪化する見込みとなったことを主な要因として、工事損失引当金の計上や手持工事の利益率が低下したことに伴い売上総利益が未達となったことから、前回予想を364億円下回る見込みとなり、営業利益の下方修正に伴い、経常利益は324億円、当期純利益は 191億円、各々前回予想を下回る見込みとしている。
なお、完成工事総利益率は7.4%(土木20.4%・建築3.6%)となる見込み。(前回予想は 9.7%(土木18.1%・建築7.3%))としていた。
以上、
大手ゼネコンは全国の公共工事において、入札拒否、1社入札などにおいて公共工事の利益が最大化するように画策してきたが、今だ公取委は黙認し続けている。
JR東海のリニア開発工事は、ABCの仲良しクラブ「四季の会」(実質主催者:葛西氏)で、これまでの新幹線開発の鉄道開発機構から一転して、私営のJR東海が発注することを内定=決定(開発資金は国がJR東海に巨額貸付)、しかし、ゼネコン側のお話し合いの問題が発生、公取委ではなく、検察によりトップクラスの逮捕沙汰にまで発展した。しかし、JR東海が子会社のJR東海建設に複数案件を発注した現場もあり、これ以上はすべて目が瞑られ、情報開示も発注が私企業として最小化された経緯がある。
全国津々浦々官庁工事の土木工事は利益の源泉となっている。
スクロール→
大成建設の業績推移/百万円
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連結
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売上高
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営業利益
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経常利益
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株主利益
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営利率
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16/3期
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1,545,889
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117,468
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117,703
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77,045
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7.6%
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17/3期
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1,487,252
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140,822
|
144,591
|
90,566
|
9.5%
|
18/3期
|
1,585,497
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181,859
|
185,349
|
126,788
|
11.5%
|
19/3期
|
1,650,877
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153,323
|
157,936
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112,571
|
9.3%
|
20/3期
|
1,751,330
|
167,755
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173,347
|
122,087
|
9.6%
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21/3期
|
1,480,141
|
130,516
|
135,937
|
92,554
|
8.8%
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22/3期
|
1,543,240
|
96,077
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103,247
|
71,426
|
6.2%
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23/3期の予想修正
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修正前
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1,770,000
|
97,000
|
100,000
|
67,000
|
5.5%
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修正後
|
1,642,000
|
54,700
|
63,100
|
47,100
|
3.3%
|
減少額
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-128,000
|
-42,300
|
-36,900
|
-19,900
|
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減少率
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-7.2
|
-43.6
|
-36.9
|
-29.7
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前回記事:
「大成、札幌で建設中の再開発高層ビルで施工不良 役員2人辞任 建物概要と完成予想図」
https://n-seikei.jp/2023/03/post-89634.html