アイコン 【広島】外国人労働者4人が2カ月で死亡 全員20代、製造業3人・建設業1人で労災相次ぐ

広島県内で外国人労働者の死亡災害が相次いでいる。広島労働局が2026年11月4日に公表した資料によると、8月から9月までの2カ月間に、技能実習生3人と特定技能外国人1人の計4人が労働災害で死亡した。いずれも20代の男性で、製造業が3人、建設業が1人だった。

死亡事故には、塗料製造用ミキサーへの挟まれ、ベルトコンベヤーへの巻き込まれ、工場新築工事現場での墜落などが含まれる。製造業で発生した2件では、被災者が1人で作業していたことも公表された。

広島労働局は死亡災害防止対策の徹底を求め、県内の事業者団体128団体、外国人技能実習生の受け入れを支援・指導する監理団体159団体の計287団体に要請を行った。

広島県では外国人労働者が5万人を超え、製造業や建設業などで重要な働き手となっている。外国人材の受け入れが広がる一方、危険作業における安全確保や、外国人労働者が理解できる方法での安全衛生教育が改めて問われている。

 



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外国人労働者4人が死亡、全員20代の男性

広島労働局が公表した「令和8年死亡災害発生状況(9月末現在)」によると、2026年8~9月に発生した外国人労働者の死亡災害は4件だった。

死亡した4人は、技能実習生3人と特定技能外国人1人。事故の内容は以下のとおり。

発生月 業種・在留資格 死亡事故の概要
8月 製造業
特定技能
船体に取り付ける飲料用タンクを研磨中、タンクが倒れて下敷きになった。
9月 製造業
技能実習
1人で塗料製造作業中、ミキサー内で首を挟まれた。
9月 製造業
技能実習
1人でコンベヤー付近に堆積した砂などを除去中、ローラーに巻き込まれた。
9月 建設業
技能実習
工場新築工事現場で鉄骨の組立作業中に墜落し、死亡した。

出典:広島労働局「令和8年死亡災害発生状況(9月末現在)」。対象者はいずれも20代の男性。事故概要は原資料に基づき要約した。

労働局の資料では、4人の経験年数がいずれも「0年」と記載されている。ただし、これは資料上の経験年数区分であり、入社日や実際の作業経験、安全衛生教育の受講状況までは明らかになっていない。

今回の4件について、受け入れ企業名や監理団体名、事故に関する法令違反の有無などは公表されていない。

ミキサーとコンベヤー、2件は1人で作業中の事故

製造業で発生した死亡災害3件のうち、特に注目されるのが、ミキサーとベルトコンベヤーに関係する2件だ。

9月の塗料製造作業中の事故では、技能実習生が1人で作業していたところ、直径1.5メートル、深さ1.5メートルのミキサー内で首を挟まれた。

別の事故では、技能実習生がベルトコンベヤー付近に堆積した砂などをシャベルで除去していた際、ローラーに巻き込まれた。この事故も1人での作業中に発生している。

いずれも機械設備の近くで作業を行う際に発生した事故であり、作業手順や機械の停止、危険箇所への接近防止などが、安全管理上の重要な確認事項となる。

労働安全衛生規則第107条では、機械の清掃、修理、調整などの作業で労働者に危険が及ぶおそれがある場合、原則として機械の運転停止を求めている。また、運転停止後は他の作業者による誤操作を防止する措置も必要となる。

ただし、今回の2件について機械が運転中だったか、運転停止措置が適切だったかなどは、労働局の公表資料からは確認できない。単独作業自体が違法だったと判断できる資料もない。

建設現場でも死亡事故、工場新築工事中に墜落

建設業では9月、工場新築工事現場で鉄骨の組立作業を行っていた20代の技能実習生が墜落し、死亡する事故が発生した。

鉄骨工事などの高所作業では、作業床や手すりの設置、墜落制止用器具の適切な使用など、作業条件に応じた墜落防止措置が必要となる。

ただし、今回の事故で具体的にどのような安全設備が設置されていたのか、墜落制止用器具の使用状況や事故原因などは公表されていない。

建設現場では元請企業、下請企業など複数の事業者が工事に関わる場合があるが、今回の事故における施工会社の関係や安全管理上の責任についても確認できない。

広島県の死亡災害は9月末で9人、外国人の事故が短期間に集中

広島労働局によると、2026年の県内の労働災害死亡者数は8月末時点で5人だったが、9月に4人が死亡し、9月末時点で累計9人となった。

8~9月に死亡した5人のうち4人が外国人労働者だったことを受け、労働局は外国人材を受け入れる企業などの安全衛生対策を重要な課題としている。

一方、広島県内の全労働者を対象とする死亡災害は、前年の2025年9月末時点の15人に対して、2026年9月末は9人となり、前年同期より6人少ない。

そのため、県全体の死亡災害が前年を上回って急増したわけではない。今回の特徴は、外国人労働者の死亡事故が8~9月の短期間に集中した点にある。

なお、9人は2026年9月末時点の速報値であり、年間の確定値ではない。

広島県の外国人労働者は5万1,821人、製造業が43%

広島県では外国人材の受け入れが増加している。

広島労働局が2026年1月に公表した外国人雇用状況によると、2025年10月末時点の県内外国人労働者数は5万1,821人で、前年の4万8,351人から3,470人増加。外国人を雇用する事業所数も7,121カ所と過去最多となった。

業種別では製造業が2万2,471人で全体の43.4%を占め、建設業は4,892人で9.4%。両業種を合わせると外国人労働者全体の約53%に上る。

項目 人数・事業所数
県内の外国人労働者 51,821人
外国人雇用事業所 7,121カ所
製造業の外国人労働者 22,471人
建設業の外国人労働者 4,892人
技能実習 19,369人
特定技能 9,273人

※2025年10月末時点の外国人雇用状況。特定技能は「専門的・技術的分野の在留資格」の内数。2026年の死亡災害統計とは集計時点が異なる。

県内では、外国人を雇用する事業所の62.4%が従業員30人未満の規模となっている。

外国人材は大手製造業だけでなく、中小企業でも重要な働き手となっている。受け入れ企業の規模や業種を問わず、作業に伴う危険を把握し、適切な安全対策を講じることが求められる。

ただし、外国人労働者の人数が多い業種で死亡事故が発生したという事実だけで、その業種の事故発生率が高いと判断することはできない。

全国の外国人労働者の死傷災害は7,124人、技能実習生の発生率は平均を上回る

外国人労働者の労働災害は、全国でも増加している。

中央労働災害防止協会が厚生労働省の統計を整理した資料によると、2025年の外国人労働者の休業4日以上の死傷者数は7,124人で、前年の6,244人から880人増加した。

このうち技能実習生の死傷者は2,046人で、前年の1,874人を上回った。

労働者1,000人当たりの年間死傷者数を示す「死傷年千人率」は、2025年の全労働者平均が2.3だったのに対し、外国人労働者は2.8、技能実習生は4.1となっている。

区分 死傷年千人率
全労働者 2.3
外国人労働者 2.8
技能実習生 4.1

※2025年の休業4日以上の死傷災害に関する統計。死亡災害だけの発生率ではない。外国人労働者数は雇用状況届出の集計に基づく。

技能実習生の死傷年千人率は全労働者平均を上回っているものの、就労する業種、作業内容、経験年数などの構成が異なるため、在留資格だけを事故発生の原因とすることはできない。

全国の監督指導でも機械の安全基準違反が上位

外国人労働者の安全管理をめぐっては、国の監督指導でも課題が確認されている。

厚生労働省が2026年9月15日に発表した2025年の監督指導結果によると、技能実習生を使用する事業場では、監督を実施した1万3,148事業場のうち9,619事業場(73.2%)で労働基準関係法令違反が認められた。

特定技能外国人を使用する事業場でも、監督した8,082事業場のうち6,179事業場(76.5%)で法令違反が認められている。

主な違反項目では「使用する機械等の安全基準」が、技能実習生関係で22.8%、特定技能外国人関係で20.7%となった。

ただし、これらは監督対象となった事業場の集計であり、全国の外国人受け入れ企業全体の7割以上に違反があることを意味するものではない。

また、広島県で発生した4件の死亡災害について、同じ法令違反が認定されたという事実も確認できていない。

広島労働局が287団体に要請、監理団体にも対策徹底求める

相次ぐ死亡災害を受け、広島労働局は県内の事業者団体など128団体に対し、死亡災害防止の取り組みを徹底するよう要請した。

さらに広島労働局と外国人技能実習機構広島事務所は、技能実習生の受け入れ企業を支援・指導する監理団体159団体に対しても、連名で安全衛生対策の徹底を要請した。

要請に際しては、外国人労働者向けの安全衛生教育に利用できるマンガ、動画教材、マニュアル、母国語による安全表示の作成支援ツールなども案内している。

外国人技能実習生の受け入れに関わる監理団体にも要請した点が今回の特徴で、受け入れ企業だけでなく、実習実施者を支援・指導する立場にある組織にも安全対策の徹底を求めた。

外国人労働者が理解できる安全教育、企業に求められる対応

労働安全衛生規則第35条では、事業者が労働者を雇い入れたり、作業内容を変更したりする際、機械設備の危険性、作業手順、安全装置の使用方法などについて必要な安全衛生教育を実施することを定めている。

また、厚生労働省の外国人雇用管理指針では、安全衛生教育について、母国語や視聴覚教材などを活用し、外国人労働者が内容を理解できる方法で実施するよう求めている。

重要なのは、単に説明を行ったという記録だけでなく、労働者が危険箇所や作業手順を理解し、安全に作業できる環境を整えることである。

機械設備を使用する製造現場では、危険部分への接近防止や清掃・調整時の安全措置が必要となる。建設現場では、高所作業における墜落防止など、現場ごとの危険性に応じた対策が欠かせない。

今回の死亡事故について、外国人労働者の日本語能力や教育内容が事故原因だったと認定する資料はない。一方、死亡事故が相次いだ事実を受け、広島労働局は受け入れ事業者と監理団体に対し、安全衛生対策の徹底を呼びかけている。

外国人労働者の受け入れが広がる中、製造業や建設業を中心に、言語や国籍にかかわらず危険な作業から労働者を守る管理体制の整備が求められている。

広島県の外国人労働者死亡災害・関連データ

項目 内容
発表機関 広島労働局
発表日 2026年11月4日
外国人労働者の死亡者数 4人(2026年8~9月)
内訳 技能実習生3人、特定技能外国人1人
年齢・性別 全員20代の男性
死亡事故の発生業種 製造業3人、建設業1人
県全体の労災死亡者 9人(2026年9月末速報)
要請先 事業者団体等128団体、監理団体159団体
県内外国人労働者数 51,821人(2025年10月末)
県内外国人雇用事業所 7,121カ所(2025年10月末)

※2026年の死亡災害は9月末時点の速報。外国人雇用状況は2025年10月末時点。統計の対象期間は異なる。個別事故の原因や法令違反の有無については、確認できた公表資料の範囲で記載した。

参考資料
広島労働局・外国人労働者の死亡災害多発に関する発表(2026年11月4日)
広島労働局・2026年死亡災害発生状況(9月末現在・PDF)
広島労働局・外国人雇用状況(2025年10月末・PDF)
厚生労働省・技能実習生・特定技能外国人使用事業場への2025年監督指導結果
中央労働災害防止協会・外国人労働者の労働災害統計
厚生労働省・外国人労働者の安全衛生管理

 

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