アイコン 高松組の陳述書③、建設会社社長の総括

  具体的には、(銀行から)逐一支払明細書等の提出を求められ、融資の際にも他の銀行への返済などは自己資金で返済するように、ということで、とうしゃが申し入れた融資金額から実際に融資される金額が減額されたりというような事態が発生するようになりました。

(2)  通常の経済状況で、受注が順調であれば、次の受注工事の融資で不足分を補っていくということも可能で在ったのですが、受注は減少しているうえに、入り口となる融資が厳しく監視されるようになりましたので、当社の有している借入依存体質・また建設業者の特質である施工現場の多くにおいて入金より支払いが先行するという問題点が噴出してしまい、徐々に毎月の資金繰りに窮するようになってまいりました。


(3)  リーマンブラザーズの経営破綻前後から、不動産投資ファンド会社が日本各地で経営破綻することが目立つようになり、一時期のいわゆるミニバブル状況は完全になくなってしまい、目に見えて市況は悪化してまいりました。当社の受注件数も営業努力にもかかわらず減少してしまいました。平成20年3月期の決算と平成21年3月期の決算を比較すると、繰越工事の金額は30億円減少していることになっていると思います。

また、当社におきましても、不動産投資ファンドの経営破綻が大きく資金繰りにも影響しました。当社が注文者ユニカとの間で(仮称)香椎浜3丁目A棟新築工事を請負代金総額金1,558,700,000円で受注しておりましたが、ユニカは株式会社リプラスという不動産投資ファンド会社に売却をすることを予定しておりました。
ところが、平成20年9月24日に同リプラスは破産の申立を行いました。ユニカが注文者でありますので、直接の関係はなく、毎月の打ち合わせにいて、ユニカは株式会社リプラスに変わって当該物件を購入する会社を探しているとのことでもありましたが、工事完成となる平成21年3月の段階でになると、ユニカはリプラスにかわる不動産投資ファンド会社を見つけることが出来ず、すなわち事業主不在を理由として、工事代金支払日である平成21年6月5日には支払不能となることが打ち合わせにおいて明らかとなってきました。

同香椎浜3丁目Å棟新築工事の物件については、当社において所有権表示登記の手続等を行っておりますが、本計画はそもそも1年から1年半前に計画されたものであり、リーマンマンショック以後の市況の悪化に鑑みますと、想定しているような価格での販売は困難であると言わざるを得ません。
 

(4 ) また、リーマンショック以後の市況の悪化により、当社の保有している株式等の有価証券および投資信託その他所有している財産の価値も下落してしまっております。
投資信託においては、リーマンショック以後約5,000万円減少しており、株式についても役1億7,000万円価値が減少しております。すでに担保として提供しているものが大多数でありますが、金融機関から新たな融資を受ける際に担保として利用することができませんし、担保に入っていないものについていわゆる損切りをして現金化しても資金繰りの足しにもならないうえに財務内容がますます悪化してしまいますのでますます金融機関からの融資を今後受けることも困難になってしまいます。
当然のことながら資金計画の中で当社所有財産を売却していわゆる損切りをして資金を捻出することを検討しましたが、一時しのぎに過ぎず、やはり受注が増えなければ金融機関からの借入れができなくなって資金ショートするという構造は改善できませんでした。
 

続く

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[ 2009年6月11日 ]
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