大京研究、オリックスとの関係
大京の筆頭株主であるオリックスは、大京を本当に支援するだろうかという問い合わせが多い。
100億円出資して支援するとしたジョイントコーポレーションの破綻では涼しい顔したオリックスであったことから、大京支援も疑われ、またオリックスそのものの経営は大丈夫かという問題も指摘する問い合わせも多い。
オリックスは、戦艦でも海千山千であり大丈夫と思われるが、大京に至っては支援がない限り無理な状況であることは決算でも明らかである。
①決算
09年3月期決算
売上高 :3,516億23百万円
粗利 :▲ 66億12百万円
経常利益 :▲518億45百万円
当期利益 :▲564億14百万円
自己資本 : 627億37百万円
総資産 :3,675億21百万円
自己資本率:17.1%
有利子負債:1,823億74百万円
粗利段階から赤字で厳しい状況にあるが、自己資本もありまだ何とか持っている状態である。
借入金は (単位:百万円)
三菱東京UFJ | 21,044 |
住友信託 | 15,520 |
みずほ | 12,785 |
三井住友 | 7,275 |
あおぞら | 6,751 |
上位5行 小 計 | 63,375 |
借入金合計 | 139,074 |
上位5行の貸出率 | 45.5% |
社債:433億00百万円
②決算内容
同社の決算内容では、営業外費用及び特損において評価損は全く計上されていない。
販売用不動産: 48,308百万円(内、マンション完成品379億98百万円)
仕掛不動産 :105,588百万円
開発用不動産: 87,129百万円
こうした棚卸資産が、急激に値下がりしているため、評価損が不動産デベロッパーの致命傷になっているが、何故か大京に評価損が計上されていない。
③資本関係
大京の株式の40.89%をオリックスが所有している。そのほか優先株式も保有する。
09年3月期の取引は、オリックス不動産との間で67億95百万円とオリックスファシリティーズを大京が株券で購入しているだけである。
④オリックス人材
09年6月は取締役全員(11名)改選時期であるが、10名の改選となっている。それを見るとオリックス人材は、田代氏(社長、元オリックス専務)、西名氏、遠藤氏、木村氏がオリックスの直接人材であるが、4/10でしかない。そのほかの人材を調べたところ奥島氏(元早稲田総長)、尾崎氏(公認会計士)、宮原氏(元富士ゼロックス副社長)が、オリックスが支援体制を取った後、取締役に就任している。7/10となる。
大京プロパーは、栗原副社長、海瀬氏、山口氏の3名
役員人材から見る限り、同社はオリックスの支配下にあるようだ。
結 論、
業績は非常に難しい状況にある。前期、棚卸資産の評価損が計上されていない。棚卸資産の回転が速く評価損対象不動産がないとはいえないはず。何故なら不動産を取得して開発・販売するまでに2年~3年かかり、その間にサブプライムローン問題・リーマンショックで信用収縮が生じ大きな値下がりが生じている。
人材面はオリックスから役員に4名派遣されており、オリックス絡みと思われる役員も3名おり、オリックスの支配権が及んでいると見る。オリックス自体が問題ない限り当社も役員人事面からは安泰と見る。
しかし、今の世の中、何があってもおかしくなく、大京は今期も最悪な業績状況が続けば、ドライにオリックスから切られる恐れはある。
今期の業績予想は、売上高3300億円、営業利益76億円、経常利益36億円、当期利益36億円を予想している。