アイコン 富士通⑧/偽装情報で辞任へ追い込み 徐々に明らかに

次はダイアモンド社の野副元社長関係者への取材記事からの抜粋である。
野副前社長が辞任した9月25日、定例の取締役会は午前9時から開催予定。
出席準備をしていた野副前社長は、8時30分頃、本社32階にある来賓会議室に呼ばれた。

そこには、間塚会長、かつて社長および会長を務めた秋草直之取締役相談役に加え、社外取締役非常勤監査役法務本部長、そして山本卓眞元名誉会長合計6人が集まっていた。野副前社長の辞任取り消し要求文書には、富士通の公式発表とまったく異なり、取締役会の開催前に「取締役を辞任するよう強要され、やむなくこれを受諾した。しかし辞任届を作成した記憶はない」。(会社側に辞任届け偽造の疑いもあり)

 同席した社外取締役と非常勤監査役らから、野副前社長に対して次の指摘あり。
1.反社会的勢力がついているAファンドと付き合いがある。
2.ニフティの売却交渉先(C社)の背後にもこのAファンドがいる。
3Aファンドについて、ある大手証券会社が“ブラック”なファンドと認定している。
 そして、「企業のトップが反社会的勢力と付き合った場合、上場廃止の危険が生じかねない。それを避けるため辞任していただきたい」と強く糾弾された、とされる。
 これに対し、野副前社長はAファンドと親しい関係などにはない(社長就任以降、Aファンドの経営者とは2回食事をしただけ)としている。反社会的勢力であることなど知らないと反論した。だが、知らないこと自体に責任が生じると切り返され、およそ1時間のやり取りのすえ、辞任をのみ込んだという。明らかな密室の解任劇である。
 
大手証券会社は、09年5月22日(解任劇はこれ以前に練られていることになる)、役員および担当部長が、ニフティ社の依頼を受けて富士通を訪ね、秋草取締役相談役、顧問弁護士、法務本部長に対し、(間塚会長は同席していない?)
     AファンドとC社との関係はわからない、
     AファンドやC社が違法行為を行ったり、反社会的勢力と関係しているという事実は知らない、
     Aファンドについては、レピュテーション(風評・評判)リスクがある、
以上の報告をしたとしている。
 
Aファンドの代表2人は、投資銀行勤務時代に富士通のM&A(企業買収・合併)やIR(投資家広報)にかかわった実績を持っていて、富士通の一部首脳陣には知られた存在とされる。
 
 9月25日の解任劇の日、富士通社内ではニフティ社売却案件にかかわっていたとして野副前社長の側近幹部4人に対し、同様の理由によって降格などの左遷人事もあったとされる。
 Aファンドの代理人である「のぞみ総合法律事務所」の矢田次男弁護士は「仮にAファンドないしAファンド関係者が反社会的勢力に関係があるがごとく語られ、そうした認識が広がるならば、まったくの事実無根であり、法的措置を検討せざるをえない」としている。
「はる総合法律事務所」の早稲本和徳弁護士は、野副前社長の主張が事実であれば、「Aファンドが反社会的勢力であると実証できないならば、(取締役会前の来賓会議室での辞任要求は)虚偽の事実の告知になる。富士通が上場廃止になりかねないという指摘は、虚偽の事実の告知および害悪の告知となる。野副前社長が辞任の意思表示をしたのは、上場廃止になるという錯誤に陥らせるとともにに、辞任の要求についてそうせざるをえないという恐怖心を抱いたからであり、民法96条の取り消し要件を満たす可能性が大いにある」としている。
    
次表の中から9月25日の密室参加者が2人(社外取締役1名、社外監査役1名)

富士通の社外取締役と社外監査役
社外取締役
野中 郁次郎
一橋大学名誉教授
社外取締役
伊藤 晴夫
富士電機H社長
社外取締役
北川 正恭
元衆議・三重県知事、せんたく代表
社外監査役
石原 民樹
元第一勧銀副頭取、現清和綜合建物㈱特別顧問
社外監査役
山室  惠
現東大教授
社外監査役
三谷  紘
元検事正、弁護士

野副氏の弁護士の証言が事実ならば、この中の2人が、野副社長に虚偽の事実の告知により、恐怖心を抱かせ、辞任に追い込んだことになる。
 
[ 2010年3月10日 ]
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