長崎市は港湾都市として栄え、昔から三菱長崎造船所に代表される造船業のほか商業・観光都市として栄えてきた。長崎市の地形は港町特有の山間部が迫った平地が限られた地形であり、住宅開発地が非常に少ない。そのため周辺都市への拡がりが見受けられる。
長崎市都市圏の分譲マンション市場は、これまで地元勢より福岡のデベロッパーが開発してきたといえる。地元勢のデベは小規模事業者しか育っていないのが現状である。福岡のデベの特徴はどっかが長崎市に進出して開発して売れていると知るや大挙して押しかける習性があり、その後長崎市都市圏で完成在庫が増えれば、開発が極端に減少することを繰り返している。
しかし、現在、福岡のデベが総崩れするなか、現在の長崎市都市圏の開発は、福岡から銀行お墨付きの作州商事、バブル化しない北九州の大栄産業、全国で開発して不思議に頑張っている広島のマリモが開発しているほか、先般まで支店を設けていた穴吹工務店や大和ハウスおよび地元勢が開発にあたっている。昨年までに完成した物件は、開発中の物件も含め13棟のなか2棟にとどまり、売れ行きは堅調な地となっている。しかし、販売中の物件11棟の内6棟が本年完成しており、その売れ行き次第では、現在販売中で建設中の5物件もあり、今後調整局面に入る可能性もある。
　長崎市内は平地が少なく開発用不動産、特に好立地の場所が限られ、開発には事前のマーケティング調査が必要である。

　佐世保市は、吉井町、世知原町、小佐々町を平成の大合併の一環で編入しており、ハウステンボスのある針尾地区から沿岸伝いに北部小佐々町までの細長く市街地は形成されている。
　佐世保市の人口は251,749人。広域では西海市31,782人、川棚町14,706、波佐見町15,063人、佐々町13,576人、鹿町5,038人、松浦市25,339人も入り、合計では357,253人の佐世保経済圏を構成している。佐世保市は1883年東郷平八郎が軍港として利用してから栄え、　
現在は東シナ海を睨み、米海軍や海上自衛隊の大部隊が駐屯する。佐世保市は基地を中心に商工業都市として発達してきたが、工業は浮沈の激しい造船業中心であり、人口は減少傾向を辿っている。
交通は、佐世保市まで高速道はあるが、延伸の西九州道建設も部分的に行われており、佐世保市北部地区の交通網はかなり整備されつつある。
これまでの分譲マンション開発は、JR佐世保駅周辺に限られ開発されてきた。佐世保市の行政はイオンの大型店進出に待ったをかけるなど、地元中心部のアーケード街中心に商業地は形成されてきた。佐世保駅裏は埋立地であり、民間での開発が動き出しているが、サブプライム問題以降、実態は頓挫している状態である。駅前も最近再開発され、分譲マンション等が立ち並んでいる。福岡のデベによる開発であったが、販売には苦戦していた。
地元勢の1社は、親和銀行によりパイプを切られ開発できない状態になっており、好立地での小規模マンションは可能かと思われる。現在建築中であるマリモの116戸（市中心部のアーケード街に近接）の分譲マンションの販売状況が、今後の佐世保市における新規開発のバロメーターとなろう。