アイコン ドバイショック/デフォルト①/1度あることは2度ある

ドバイ 
2009年11月26日、ドバイ政府は、欧米系の金融機関に対して、政府系不動産開発会社の「ナキール」社(海を中心に開発)とその持ち株会社の「ドバイ・ワールド」社の債務約590億ドル(約5兆円)について支払い猶予を求めると発表した。
そのため「ドバイ・ワールド」社並びにドバイ政府自体の債務不履行と併せ、欧米系銀行の債権焦げ付きが懸念され、ユーロが売られるなど「ドバイショック」と呼ばれる事態となった。※このため関係ない円が独歩高して一時84円台に突入した。
 
これに対し、UAEを構成するアブダビ首長国高官は、28日、ロイター通信に対して、首長国連邦のドバイ首長国による政府系持ち株会社などの巨額債務返済延期要請について「ドバイの債務内容を精査した上で時期や対象を決め、財政的な支援に乗り出す意向」を表明している。ただ、債務の全面的な引き受けは否定したという。
 同高官は「われわれはケース・バイ・ケースで話し合う。アブダビが彼ら(ドバイ)のすべての債務を引き受けることを意味しない」と言明。その上で、「事態が明確になるまで、さらなる投資決定を下すのは非常に難しい」と述べている。
以上のことにより、ドバイ自体はデフォルト状態に陥り、完全にUAE=アブダビ次第になったことが明らかになった。
 ドバイ
2007年7月に起きたアメリカのサブプライムローン問題により、これまで急激な勢いで伸び続けてきたドバイの経済成長は、07年約6兆円あったGDPも09年には4兆円切ると予想されるほど陰っている。
外国金融機関の投資引き上げや地元企業の資金繰り悪化と、それに伴う多数の建築工事や計画の中断が報じられ、またその結果起きたインド人を始めとする外国人労働者の失業や経済低迷に伴う観光客の大幅減少など、今後も経済的大混乱が予想される。
2007年10月現在、ドバイには46ヶ所の大型ショッピングモールがある。2008年10月31日には世界最大規模のショッピングモール「ドバイ・モール」が正式オープン。現在、世界最大のテーマパークである「ドバイランド」が、2015年から2018年の開業に向けて建設中である。しかしこれらに対する投資金が集まらなければ、工事半ばにして頓挫する。 
ナキール・タワーは地上228階建、尖塔高1,400m・屋上1,250m・軒高850mの建設を着工したが既に中断している。ダウンタウン・ブルジュ・ドバイの超高層建物群は、リーマンショック後建造中のものは中断しており、これまで開発に当っていた世界の一流メーカーの建設機械・重機も中古として売り出されているが、近隣諸国からも買い手もつかない状況である。
UAEがロシアとアメリカのハゲタカとが結託して再度原油価格を上げれば資金は集まろうが、世界経済が低迷している限り、ドバイの今後は見えてこない。
中東の金融センターとして開設されたドバイの証券取引所も、ドバイ金融市場(DFM)の上場企業数は65社にとどまり、全上場企業の時価総額は2009年11月現在、437.76億ドル(約4兆円)であり、東京証券取引所のほぼ1%の規模程度である。
 
ドバイには、世界一高いブルジュ・ドバイを開発している陸のエマール社(政府系不動産開発会社)もあるが、世界経済はアルマーニどころの騒ぎではなく、オープンしても客はアラブの王侯貴族と少なくなった欧米の成金に限られよう。エマール社が資金に行き詰った場合は、ナキール社どころではない。
 以前、福岡からもドバイへの視察旅行者が多かったが、福岡もドバイも今では祭りの跡である。
[ 2009年12月 1日 ]
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