岐路に立つ「井筒屋」百貨店/実質私的整理のガイドラインで再建へ①
井筒屋は、不況から売上減に陥り、自己資金も底を付き始めており、経営上非常事態と至り、金融機関から協調融資などにより支援を受けることになった。
創業来初めてとなる元旦営業を敢行した中村社長であるが、経営不振の引責辞任することも明らかになり、次期社長には影山執行役員が抜擢される。これまでの取締役は金融機関からの信任は難しいと見たのであろう。
中村社長は、1996年から2006年まで社長を務め、その後会長に就任していたが、営業不振から昨年3月再度社長に復帰して陣頭指揮を取っていた。
昨年は夏も冬もボーナス支給0という非常事態体制で臨み、本年は異例の元旦営業を敢行、元旦はオープン前から長蛇の買物客が列をなしたものの、3日間の売上高は昨年正月2日間の営業売上高の90%でしかなかった。
それほどまでに工場都市北九州市の消費者の懐具合が、不況による生活防衛のため締まっていることを反映した売上高だった。こうしたことから井筒屋は、12日社長退任や240名に及ぶ希望退職者を募るリストラ策などを盛り込んだ3ヶ年計画を発表する。
金融機関からは、当面の運転資金の融資と年間40億~50億円ある返済金の返済猶予を受ける。
決算年月/千円 | 平成13年2月 | 平成14年2月 | 平成15年2月 | 平成16年2月 | |||||
売上高 | 113,117,329 | 125,457,221 | 128,193,314 | 127,039,462 | |||||
経常利益 | 529,573 | 2,998,298 | 2,019,981 | 3,188,380 | |||||
当期純利益 | △5,537,737 | 765,016 | 1,720,936 | 2,126,229 | |||||
純資産額 | 298,769 | 1,059,647 | 2,450,202 | 4,695,509 | |||||
総資産額 | 105,023,891 | 107,656,893 | 101,757,490 | 95,118,082 | |||||
自己資本比率 | 0.3 | 1.0 | 2.4 | 4.9 | |||||
平成17年2月 | 平成18年2月 | 平成19年2月 | 平成20年2月 | 平成21年2月 | |||||
117,106,460 | 111,348,784 | 112,364,015 | 100,126,358 | 109,006,147 | |||||
1,234,724 | 1,142,451 | 1,603,180 | 695,133 | △ 156,054 | |||||
△536,311 | 50,725 | △307,453 | 2,772,133 | △ 4,888,059 | |||||
6,186,545 | 8,838,787 | 8,501,564 | 11,279,398 | 6,390,038 | |||||
87,080,534 | 83,363,257 | 89,328,850 | 79,747,427 | 80,537,956 | |||||
7.1 | 10.6 | 9.5 | 14.1 | 7.9 |
最近まで、今2月期の業績予想は、売上高1000億円、利益1億円を予想していたが、ここに来て、売上高956億円、当期利益は▲30億円の赤字になると発表した。これでは資金繰りができなくなるのも当然である。
[ 2010年1月12日 ]
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