アイコン 岐路に立つ「井筒屋」百貨店/実質私的整理のガイドラインで再建へ④

<参考事例「岩田屋」>
福岡の百貨店を見る場合、福岡市の1754年創業の「岩田屋」(現在伊勢丹傘下)の経営状況が参考になる。
 

岩田屋 平成17年2月 平成18年2月 ※19年3月期 平成20年3月 平成21年3月
売上高 105,783 105,830 106,396 105,353 99,315
経常利益 1,497 2,178 1,322 966 △1,348
当期純利益 1,858 2,005 820 414 △1,703
※ 平成19年3月期の数値は決算月変更のため、18/3~19/3までの13ヶ月間の数値を13で割り、12 
ヶ月間換算した数値を仮計上している。
平成16年3月伊勢丹傘下の下、現在の本館(旧Zサイド)・新館(NHK跡地)でスタート、いきなり1000億円の売上高を計上したが、その後鳴かず飛ばずで、前期は1000億円の大台すら割り込んでしまった。九州各県から集客する福岡市天神の中核百貨店である岩田屋にも不況の波は確実に押し寄せている。
こうした百貨店の売上高不振は、九州だけのことではなく、全国の百貨店に共通した問題である。三越さえ伊勢丹の軍門に下ったことでも明らか。平成10年ころからハゲタカファンドを導入した国の政策により、その後不動産ミニバブルが生じ、また労働者派遣業解禁らよりこの間輸出産業は大儲けした。しかし、百貨店が対象とする一般消費者の懐は、可処分所得が景気回復に関係なく減少し続けていたことが、百貨店の苦悩になっている。
こうした事態が続いていけば、消費者も「あったら便利」「あったら格好いい」から、現在がそうであるように当面の実需買いしかしなくなる。これでは百貨店の存在意義すらなくなってしまう。
長引く消費者側の不景気で、購買活動の心理も変化が生じている。いい物をより安くというCMによりユニクロが成功しているように、消費者が百貨店のバッグやメーカーブランドに固執しなくなっているなど大きな変化が生じている。売上高減少から利益に苦しむスーパーもそうした対策から、利益率の高い自社ブランド商品を拡大させている。百貨店もそうしたところに利益を見出すことも必要であろう。
近い将来、景気が良くなれば、百貨店の売上高も回復しようが、それまで地方の百貨店の経営が持つかどうか、再編が進む中央百貨店とは異なり、再編など殆ど考えられない地方百貨店にとって、これまで以上に厳しい冬を迎えている。
福岡県では、ここ数年大型商業施設の合計売上高が変化ない。しかし、大型商業施設のイオンなどが超大型店を作り続けている。こうした超大型商業施設の乱立は、パイの喰い合いでしかなく、その余波を都心部の百貨店が受けている。あくまでパイの奪い合いであり、決してイオンが成功しているわけではない。

[ 2010年1月15日 ]
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