不動テトラ/ゼネコンランキング株価編W11
同社の株価は業績を反映して凋落してきたが、昨年50円を底に現在57円となっている。
同社は、行き詰っていた不動建設の再建策で04年3月、不動建設の建築部門をナカノコーポレーションに譲渡してナカノフドー建設。土木部門だけとなった不動建設を、テトラが割当増資を引き受け親会社になった。06年10月には親会社のテトラと合併して現在の不動テトラがある。
テトラはテトラポットでお馴染みである港湾土木事業者で、財務内容も優秀な会社であったが、公共投資の減少から不動建設に色気を出したもの。しかし公共投資の減少は土木全般に特に厳しく、受注競争も激しくなり、また材料費の値上がりもある上に、同社にはのれん代償却もあり赤字が続いている。合併に伴うのれん代128億11百万円を07/3月期計上、08/3期半分落とし、09/3月期残りの64億13百万円を償却したため大幅赤字となっている。
同社の得意とする分野は、土木工事、地盤改良工事およびテトラポッド事業であるが、仙台空港や羽田の護岸工事など大型工事も受注してきた。しかし、2010年3月期はのれん代償却もなく、売上高が前期に比し殆ど減少していないにもかかわらず、営業利益は5億円の黒字予想である。これまでも殆ど営業利益が出ていなかったことを物語っている。
また自己資本も、これまでのれん代相当分だけ減少して、07/3期251億円あった自己資本が09/3期には123億円まで減じている。
テトラの経営戦略ミス。
財務内容から危険性はないが、利益は今後も殆ど期待できず、株価の上値は重い。
連結/百万円 | 07/3期 | 08/3期 | 09/3期 | 10/3期予 |
売上高 | 67,085 | 72,677 | 71,937 | 70,000 |
営業利益 | -1,673 | -3,956 | -5,420 | 500 |
経常利益 | -1,902 | -4,287 | -5,346 | 400 |
当期利益 | -2,468 | -5,275 | -6,394 | 100 |
総資産 | 67,205 | 55,188 | 48,558 | |
自己資本 | 25,121 | 19,245 | 12,329 | |
資本金 | 5,000 | 5,000 | 5,000 | |
有利子負債 | 8,400 | 8,517 | 10,166 | |
自己資本率 | 37.40% | 34.90% | 25.40% |
<2010年度から2カ年の新中期経営計画>・・希望退職者を募る計画/3月19日発表
基本方針「急激に縮小する市場環境に適応するため、利益率重視の経営へ転換する」。
最終となる11年度の受注高は561億円、売上高は611億円に設定した。
同社は、民間設備投資の急激な冷え込みや公共事業予算の削減などから、10年度を最終年度とする現行の中期経営計画を1年前倒しすることを決定。
主要施策は、事業戦略の転換と財務体質の改善の2本柱。
事業戦略の転換では、利益率を重視した選別受注の徹底による土木事業の抜本的な採算性の改善、同社の強みである地盤改良事業とブロック事業は受注規模と採算性を維持し、安定した経常利益を確保する。
財務体質の改善では、売り上げ規模に応じた生産体制と販管体制構築のため、希望退職者募集などによる人員削減を実施。さらに役職員の報酬賃金カットを継続し、保有資産売却による借入金の圧縮も図るとしている。
財務体質の改善では、売り上げ規模に応じた生産体制と販管体制構築のため、希望退職者募集などによる人員削減を実施。さらに役職員の報酬賃金カットを継続し、保有資産売却による借入金の圧縮も図るとしている。
[ 2010年4月 1日 ]
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