西日本鉄道3月期決算 大幅増益 (続、西鉄研究)
①運輸鉄道部門:バス事業で、景気低迷の影響や高速道路の休日特別割引の影響に加え、昨年9月末のバスカードの発売終了に伴い、主として移行したIC乗車券との収益計上方法の差による減収等があったことや、貨物運送業で取扱高が減少したこと等により、営業収益は921億75百万円(前年比▲6.9%減)、営業利益は11億85百万円(前年比 ▲39.5%減)。なお、旅客人員は鉄道事業で▲2.4%減(前年比)、バス事業(乗合)で▲6.8%減(前年比)。
②流通部門:ストア事業は、商品単価の下落等による売上高の減少や㈱スピナの事業区分の変更、その他流通業での軽油販売価格の下落等により、営業収益は882億1百万円(前年比▲13.1%減)、営業利益は12億85百万円(前年比▲11.2%減)。
③不動産事業部門:不動産賃貸業で、ホテル業(ビジネスホテル)を当社の直営としたことにより、同事業からの賃貸収入が減少した一方で、㈱スピナの区分変更に伴う増収や、不動産分譲事業での販売戸数の増加等により、営業収益は503億80百万円(前年比 14.3%増)、営業利益は81億80百万円(前年比 5.8%増)。
④レジャー・サービス部門:利用運送事業(国際物流利用運送事業(国際物流事業)における取扱高の減少、ホテル業や旅行業等での景気低迷の影響等により、営業収益は840億96百万円(前年比▲15.4%減)、営業損益は10億8百万円の営業損失。
⑤建設等その他部門:自動車製造業、建設関連の事業等での受注減等により、営業収益は410億27百万円(前年比▲19.9%減)、営業損益は13億46百万円の営業損失。
連結/百万円 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 |
09年3月期実績 | 345,147 | 10,843 | 9,185 | 1,030 |
10年3月期実績 | 313,853 | 8,918 | 6,817 | 2,873 |
11年3月期予想 | 314,800 | 10,200 | 8,200 | 3,200 |
同社が目玉にしている事業が3つある。
一つは国際物流事業であるが、これまで景気の波に乗り好調に推移してきたものの、前期は売上高が(前々期比)▲19.3%減の543億02百万円にとどまっている。航空貨物便等の物流ネットワークを世界に広げているものであるが、世界同時不況による影響を大きく受けてしまっている。
2つ目の流通スーパー部門は、北九州のスピナを買収して西鉄ストアーとともに北部九州で一大勢力となってきたが、前期は▲14.6%減の711億33百万円の売上高に終わった。
3つ目はホテル事業である。東京以南にビジネスホテルを建ててきたが、ここに来て不況からビジネスマンや観光客の移動が少なくなった影響を受け▲15.9%減の156億41百万円となった。
以上のように同社がこれまで力を入れてきた上記3つの部門が挙って不況の影響を10%以上受け、仕切り直しの様相である。
国際物流部門は、世界にネットワークを広げるのは良いが、地元物流企業の買収や資本参加・業務提携などにより強い地域を作り上げる必要があろう。それがアジアなのか、アジアのどの地域なのか、それとも欧州なのか・・・
スーパー部門は、近隣生活者に非常に役に立っている。しかし、ディスカウンターのルミエール・トライアル・鮮度市場など価格勝負の店舗と競合してきており、強力な独自性の演出が必要と思われる。西鉄ストアーの強いものは何だろうか?と。
ホテル事業は、資本力にもの言わせて各地にビジネスホテルを展開してきたが、前期は前々期比▲15.9%のダウンは痛い。その対策に先般、各地の鉄道事業者等とホテル事業に関し業務提携したが、効果は未知数ともいえる。
同社のホテル事業は、西鉄グランドホテルとソラリアホテルはシティホテル、新宿など11ヶ所のビジネスホテル、九重のリゾートホテルで構成されている。どの部門が悪かったのか不明であるが、グランドホテルやソラリアホテルは、宿泊稼動率や宴会数を上げるためには殿さま商売では限界があろう。企業への営業やCMなどが少なすぎるようである。ビジネスホテルも然りである。
[ 2010年5月 2日 ]
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