アイコン 日本エスコン/第②四半期 開発事業頓挫でADR 春日やっと動き出す

福岡春日プロジェクト(春日フォレストシティ)は、商業地部分がテナントのケーズデンキ、ナフコ、ミスターマックス(3社とも上場会社)によりそれぞれ建設が進められており、今秋11月にもオープンする。同開発地もやっと軌道に乗る見通しであるが、膨大な住居用地部分は今後となる。
当商業施設は、交通問題を別にすれば、近隣に、同一地に3社の業態が入居した大型施設はなく、注目されている。
同社は、ADRが成立して3ヶ年借財の返済を猶予してもらったものの、取り巻く事業環境は不安定であり、3ヶ年の延長も考えられる。同社の大規模開発はそれまで三井住友銀行が全面的に資金のバックアップをして来たことから、同行だけが責任を負うべきADRである。

連結/百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
09年12月期第②四半期
10,933
-3,519
-4,382
-8,034
10年12月期第②四半期
6,723
609
164
1,740
前第②四半期比
61.5%
 
 
 
10年12月期予想
22,200
1,500
800
2,400
09年12月期実績
27,235
-7,424
-9,155
-8,685
10年12月期第②四半期
総資産
純資産
自己資本
自己資本率
 
56,812
4,648
4,648
8.2%

ADR成立案の概要(平成19年10月29日)
1.事業再構築のための方策
(1) 事業の選択と集中
景気下降局面でアセット開発事業のたな卸資産を増加させ、大規模開発を複数着手させたことから過剰債務となった反省を踏まえ、以下の通り、事業セグメント毎に、既存プロジェクト及び未着工プロジェクトの区分に沿って方針を明確化する。
① 分譲事業(分譲マンション事業に事業集中)
ネバーランドブランドは関西での知名度も高く、また、ファミリータイプの住宅は景気の変動に拘わらず底堅い需要が見込めます。永年の事業展開によりブランド価値は評価いただけるものと考え、今後ともコア事業として経営資源を集中する。
(a) 未着工プロジェクト
経済合理性に基づき、各プロジェクトの担保権者と協議の上、素地売却又は事業化を決定。資金的なご支援を仰ぎながら平成22 年度から着工を行い、2 年半後の事業収益(竣工販売)
を目指して、事業を推進する。
(b) 新規プロジェクト
2 年半程度の事業期間を要する分譲事業をコア事業として存続を目指す当社としては、平成22年度には仕入れを開始する必要がある。ネバーランドブランドという実績はあるものの、事業再生ADR申立後の事業展開であり、資金的なご支援を仰ぎながら、良質の物件を厳選して仕入れに着手、2 年半後に事業収益を目指して、事業を推進する。
② アセット開発事業
 
(a) 福岡春日プロジェクト
大規模開発案件であり、開発途上に景気下降局面を迎えたことから、外部売却見込価格が当初予定より大きく低下、当社として前期(平成20 年12 月期)においてたな卸資産評価損を計上、資産の健全化を図っている。しかしながら、昨今の景気環境において売却を急ぐのは損失を拡大することに繋がるおそれがあり、追加投資を抑えながら、資金化を目指す。巨額の資産なので、価値の毀損を回避することに集中、拡大ではなく、確実な売却による資金回収に経営資源を投入する。
(b) 開発済みプロジェクト
賃貸マンション物件に関しては高い入居率を維持し、商業施設に関してはバリューアップを図りつつ事業展開することにより、一定の賃貸収入を確保できており、「賃貸収入により、固定費である一般管理費をまかなう」という事業目的の実現に寄与しているが、当社の経営が困難な状況に陥った原因として、事業期間と借入期間との間に不一致があったため、借入期限が到来した時点で、資金調達環境の悪化から資金負担が発生したことや、外部売却環境の悪化により当初予定していた売却案件が未実現となったことが挙げられる。そこで、資産規模を適正規模(500 億円を目処)にまでスリム化するため、外部売却を推進する。一方、現状では不動産の価格相場が低迷しており、売却を急ぐのは損失を拡大することに繋がることから、資産規模・賃貸収入・売却益を勘案しながら、適正規模まで資産のスリム化を実施することに経営資源を投入し、追加資金は原則バリューアップ・メンテナンスに限定して、安定収益を確保していく。
(c) 未着工プロジェクト
原則として、新規に資金を投下して事業化を推進しない。当社の経営が困難な状況に陥った大きな原因の一つがアセット開発事業の拡大にあることから、既に仕入れを行っている物件については資金投入を行わず、損失の拡大を抑える方向で、売却を優先事項として経営資源を投入、外部売却により資産のスリム化を図る。
 
2.事業再生計画における対象債権の弁済の基本方針
事業再生計画における対象債権の弁済の基本方針は、以下の通り。
「一時停止時」における対象債権の元本については、原則として、約3 年後まで弁済期限を猶予、残高を維持していただく。
② 担保目的物については、担保権者への弁済額が最大化するよう、適切な時期に適正な価格で売却するものとし、①の定めに関わらず、その売買代金のうち一定割合を運転資金のために留保させていただき、残余の金額を弁済原資として、売却時弁済、完売時弁済、引渡時弁済、収益弁済、配当弁済に分けて、その被担保債権を繰り上げ弁済する。
③ 約3 年後以降の6 ヶ月毎に、各時点における当社の預金残高のうち本計画に定める一定の金額を超える部分を弁済原資として、②の定めに基づいて運転資金のために留保した額の残高に応じた優先弁済を行い、優先弁済を完了した後、無担保債権額の残高に応じた無担保弁済を行う。
④ 残高維持期間における対象債権元本に対する利息の金利は、一定の短期変動金利とし、毎月末日限り翌月分を支払う。
⑤ 既存公募社債については、会社法その他の法令・契約に従い、社債権者集会等の決議のうえで、原則として、約3 年半後まで弁済期限を延長し、その後、分割して弁済する。ただし、社債権者から社債を額面未満の一定金額で売却する旨の申し出があったものについては、当社は手元資金、増資資金及び金融機関からの借入等により買入資金を調達して買入れるものとする。
以上。
[ 2010年8月18日 ]
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