地方公共団体を貸付の麻薬漬にする地方銀行① 福岡銀行グループ
地方公共団体である殆どの県市町村が財政赤字となっており、緊縮財政で債務の減少努力はしているものの、税収不足も重なり、銀行からの借入を増加させることにより、延命している。バブル時代の行政方策が国と同様に開発一辺倒で野放図化したツケが、今日に至っているものであるが、肥大化した組織と行政サービスは、大幅な圧縮が求められている。
実質赤字比率 | ={繰上充用額+(支払繰延額+事業繰越額)}÷標準財政規模 | |
繰上充用額 | 歳入不足にため、翌年度歳入を繰り上げて充用した額 | |
支払繰延額 | 実質上歳入不足のため、支払をくりのべた額 | |
事業繰越 | 実質上歳入不足のため、事業を繰り越した額 | |
指標名 | 早期健全化基準(イエローカード) | 財政再生基準 |
国の基準範囲 | (レッドカード) | |
実質赤字比率 | 11.25%~15.00% | 20%以上 |
上記はあくまで国が地方公共団体を管理するための指標であり、企業が赤字続きでは破綻するように、黒字が基本である。そもそも地方公共団体は利益を出す組織ではなく、長期にわたる赤字経営そのものが異常である。地方債を発行して借金もして、あったら便利の箱物や人を維持し続け、食い繋いでいる。当HPの右に借金時計あり。
地方公共団体への融資残高推移
ふくおかフィナンシャルグループ | 10/3期/06/3期 | |||||
/百万円 | 06/3期 | 07/3期 | 08/3期 | 09/3期 | 10/3期 | |
熊本F銀行 | 11,967 | 18,969 | 22,774 | 32,972 | 36,855 | 308.0% |
親和銀行 | 113,012 | 109,595 | 140,130 | 143,762 | 193,506 | 171.2% |
福岡銀行 | 392,568 | 406,216 | 502,424 | 717,674 | 765,657 | 195.0% |
地方公共団体計 | 517,547 | 534,780 | 665,328 | 894,408 | 996,018 | 192.4% |
融資残占る割合 | 6.6% | 6.7% | 8.2% | 10.8% | 12.2% | |
国内融資残計 | 7,816,216 | 7,925,709 | 8,067,380 | 8,244,544 | 8,142,363 | 104.2% |
地方公共団体除く | 7,298,669 | 7,390,929 | 7,402,052 | 7,350,136 | 7,146,345 | 97.9% |
ふくおかフィナンシャルグループは、当5年間で国内向貸付残高の伸率が、4.2%しか伸びていないなか、地方公共団体への貸付残は92.4%と大幅な伸びを示している。国内貸付残に占める融資比率も06/3期の6.6%から10/3期には12.2%まで高まっている。
一般貸付金は▲2.1ポイント減少している。これは貸し剥がしに始まり、公共等の減少や不動産投資の過熱から、建設業及び不動産業界向け融資を減少させた結果である。
<ふくおかフィナンシャルグループの業種別融資残高比較>07年3月期と10年3月期
/百万円 | 07/3期 | 10/3期 | 10/3期/07/3期 | 比較 |
国内融資残 | 7,925,709 | 8,142,363 | 216,654 | 2.7% |
製造業 | 666,328 | 661,413 | -4,915 | -0.7% |
農業、林業 | 14,867 | 2,008 | ||
農業 | 11,990 | |||
林業 | 869 | |||
漁業 | 22,667 | 13,294 | -9,373 | -41.4% |
鉱業、採石業、砂利採取業 | 13,422 | 10,874 | -2,548 | -19.0% |
建設業 | 382,345 | 270,779 | -111,566 | -29.2% |
電気、ガス、熱、水道 | 61,614 | 66,575 | 4,961 | 8.1% |
情報通信業 | 48,565 | 51,108 | 2,543 | 5.2% |
運輸業、郵便業 | 265,363 | 309,239 | 43,876 | 16.5% |
卸売業、小売業 | 1,067,679 | 958,298 | -109,381 | -10.2% |
金融業、保険業 | 458,818 | 357,111 | -101,707 | -22.2% |
不動産業、物品賃貸業 | 1,204,057 | |||
不動産業 | 1,052,940 | 851270 | -201,670 | -19.2% |
その他各種サービス業 | 1,235,217 | 882,430 | -28.6% | |
地方公共団体 | 534,779 | 996,048 | 461,269 | 86.3% |
その他 | 2,103,113 | 2,346,270 | 243,157 | 11.6% |
※ 不動産業比較は10年3月期には、07年3月期他サービス業に入っていた物品賃貸業(リース・レンタル)が入っており、その他各種サービスが07/3期と10/3期と変わらないと仮定した場合の数値を入れている。
<減り続ける建設・不動産および卸・小売事業者向け融資>
上記表により、サブプライムローン問題が発生する前の07年3月期と10年3月期を比較した場合、不動産業者への貸付が大幅に減じていることが判明する。それに建設業、福岡の流通の要である卸売・小売業も減り、金融・保険業者向けも大幅に減じている。
金融機関の言い訳は、市場環境が悪く、借りる会社が減ってきているからとしているが、それは作られた言い訳である。下駄を外したに過ぎない。その証拠に金融モラトリアムで、多くの企業や個人が、返済猶予を金融機関に申し出、最近はその数も特に多くなってきている。
[ 2010年8月30日 ]
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