鴻池組研究(1)
鴻池組、時々経営不安説が流れる同社であるが、リーマンショックを受けて、2010年3月、2010年9月期から2012年9月期までの中期事業計画を策定している。それによると(1)選別受注の強化(2)更なる原価低減(3)販管費の圧縮により、まず平成22 年9 月期には当期純利益の黒字化を達成するとしていた。結果は計画どおり4億32百万円ながら利益を計上した。前期は▲23億77百万円の赤字であったことから、今期は大幅に改善されたともいえる。内容を見てみよう。
売上高は世情を反映して前期2,252億円から今期は▲13.7%減の1,943億円となった。しかし利益面は、売上高が2桁の落ち込みながら、原価率が前期に比し94.3%から92.8%と1.5ポイント改善。また、販管費も11.2ポイント前期より大幅改善させた。そうした結果、営業利益は前期28億78百万円から今期51億43百万円と率にして1.3ポイント改善させ、大幅に増加させている。
そのため経常利益も前期13億83百万円だったものが、今期は41億12百万円と27億29百万円増加させた。しかしながら、当期利益は特別損失が37億54百万円あり4億32百万円にとどまった。それでも前期▲23億77百万円であったことから、計画通り黒字回復を果たしている。
特別損失が前期は35億25百万円、今期も37億54百万円あり、その主たるものは貸倒引当金であるが、まだその候補を残しているのかどうかは判然としない。同社が非公開企業であるため見えないところもある。現に表面化している焦げ付きはね、大和システム3億0741万円と引当済と思われる関西ゴルフ倶楽部の2件だけしかない。ところが決算では37億54百万円を引当処理しており、デベロッパーとのジョイント開発などが頓挫した結果とも思われる。
2010/9期 | 売上高比 | 2009/9期 | 売上高比 | 09/10比 | |
売上高 | 194,360 | 225,213 | 86.3% | ||
売上原価 | 180,282 | 92.8% | 212,271 | 94.3% | 84.9% |
粗利 | 14,077 | 7.2% | 12,941 | 5.7% | 108.8% |
販管費 | 8,934 | 4.6% | 10,063 | 4.5% | 88.8% |
営業利益 | 5,143 | 2.6% | 2,878 | 1.3% | 178.7% |
営業外収益 | 1,002 | 0.5% | 968 | 0.4% | 103.5% |
営業外費用 | 2,033 | 1.0% | 2,463 | 1.1% | 82.5% |
経常利益 | 4,112 | 2.1% | 1,383 | 0.6% | 297.3% |
利別利益 | 423 | 258 | |||
特別損失 | 3,754 | 3,525 | |||
当期利益 | 432 | -2,377 |
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