鴻池組研究(2)
一方、財務内容は、前期利益剰余金▲82億79百万円(累積赤字)を消し込むため、今期中(2010年6月)に、200億円の資本金を150億円減資して50億円とした。また5億円の増資も実行、それにガス配管工事を営む鳳工業(株)(09年9月期の売上高190億71百万円、経常利益4億82百万円、鳳コーポレーションの完全子会社)を株式交換により完全子会社化した。こうした一連の累損解消策により、純資産が約60億円増強効果が生み出された。
秘蔵っ子の鳳工業(株)を子会社した結果、同社の純資産は前期72億40百万円から今期130億61百万円の100億円台の大台に乗り、純資産率も5.06%から9.02%まで改善されている。
勘定科目 | 2009/9期 | 2010/9期 | 勘定科目 | 2009/9期 | 2010/9期 |
流動資産 | 94,278 | 93,734 | 流動負債 | 128,365 | 124,238 |
現預金 | 12,578 | 20,355 | 仕手・工事未払 | 64,577 | 62,723 |
受手・工事未収 | 59,916 | 49,644 | 短期借入金 | 43,990 | 40,981 |
未成工事支出 | 3,841 | 4,140 | 社債 | 10 | 360 |
販売用不動産 | 1,185 | 1,162 | 未成工事受入 | 9,706 | 9,675 |
不動産事業支出 | 2,132 | 1,974 | 工事損失引当 | 1,534 | 1,508 |
その他 | 14,626 | 16,459 | 固定負債 | 7,424 | 7,178 |
固定資産 | 48,751 | 50,744 | 長期借入金 | 2,298 | 1,116 |
有形固定資産 | 22,893 | 27,645 | 社債 | 285 | 675 |
建物+土地 | 21,205 | 26,172 | 退職給付引当金 | 4,474 | 4,526 |
その他 | 1,688 | 1,473 | 負債合計 | 135,790 | 131,417 |
投資その他 | 25,579 | 22,799 | 資本金 | 20,000 | 5,250 |
投資有価証券 | 15,868 | 14,102 | 資本剰余金 | 0 | 11,776 |
長期貸付金 | 3,820 | 3,822 | 利益剰余金 | -8,279 | 2,016 |
投資不動産 | 2,518 | 1,655 | 評価換算差額 | -4,479 | -5,980 |
その他 | 26,881 | 24,966 | 純資産 | 7,240 | 13,061 |
資産計 | 143,030 | 144,479 | 負債+純資産 | 143,030 | 144,779 |
同社の経営は、これで安泰かといえば、必ずしもそうはいえない。今回の一連の動きはメインバンクの三井住友銀行主導で動いたとは言い難く、オーナー家により処理されたものと思われる点である。増資の5億円も鴻池一季氏が出資しており、鴻池組の親会社の存在である鳳コーポレーション(不良資産管理会社の要素が大きい)も鴻池一族の持ち物となっている。新井組を無理矢理抱えさせられたのは紛れもなく三井住友銀行主導であったが、その新井組との縁も今では切っている。
三井住友銀行は、フジタの処理ではゴルールドマンサックスに株を抱えさせ、フジタは今では100%外資ゼネコンとなっている。鴻池組も三井住友銀行におもちゃにされる恐れがあり、鴻池組自体が財務健全化をはかり、生き残りを掛けているのであろう。
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