アイコン 2010年における建設業の倒産状況/帝國データバンク 

帝国データバンクは2010年の建設業倒産は、自民党政権下で打ち出された「公共工事の前倒し施行」に加え、「金融円滑化法」と「緊急保証制度」という2つの金融支援政策の効果から小康状態が続いた。しかし、業界環境が好転したわけではない。公共事業の減少に伴い確実に進行している市場の縮小に加え、「緊急保証制度」においては2011年3月末をもって終了が決定している。また、2011年4月には「経営事項審査」の改正が始まるなど、建設業を取り巻く環境は依然として厳しさを増している。 

建設業の倒産件数の推移を見ると、2010年夏場には潮目が変化し、前年同月を上回る月が見られ、前年同月を下回る月においてもその減少幅は縮小基調にある。2011年以降において、市場の縮小と各施策効果が薄れていく中、建設業の倒産増加がいよいよ現実味を帯びてきた。

<調査結果>
 2010年の建設業者の倒産は3136件(前年比▲8.9%減)発生したが、件数、負債総額ともに前年を下回った。しかし、ここ10年では2008年、09年に次いで3番目の高水準となっている。2010年1月から始まった公共工事の前年同月比減少を受け、2010年8月からは一転して前年同月を上回る月が見られ、また前年同月を下回る月においても、その減少幅は縮小傾向にあり、公共工事の前倒しで減少していた倒産は反動増の様相を呈し始めているとしている。

帝國データバンク資料

コメント、
セーフティネット資金の借入で多くの企業が救われた。しかし、受注環境は悪化するのみ、そうした環境下に亀井大臣が発した金融円滑化法により、銀行からの借金返済も一定期間猶予してもらうことが可能になり、多くの企業が申請している。ただ、受注環境は悪化するのみで、景気回復には程遠く、何らかの手を打っていかなければ、こうした支援策は淘汰の先延ばしに等しい。最近、民事再生中の企業が、民事再生を断念して受注難から破綻するケースが増加している。金融円滑化法によるカンフル注射では、企業の根本的な問題の解決にはならず、自らが明日を切り開いていくしかない。
 

[ 2011年1月14日 ]
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