アイコン 電力源の多様化/京大と大阪ガス、地産地消型エネルギー循環モデルの実証開始

京都大学と大阪ガスは、「木質ペレット」と「太陽熱」を利用した空調システムを導入し、地元との連携による地産地消型エネルギー循環モデルの共同実証を進めている。
 京都大学は、大阪ガスと共同で、京都大学宇治キャンパス内に、日本で初めて「木質ペレット」と「太陽熱」という2種類の再生可能エネルギーをエネルギー源として用いる空調システムを導入し、経済性を考慮しつつCO2削減効果を最大化するための最適制御を行う共同実証を開始した。
 京大と大阪ガスは、平成22年5月19日に、エネルギー環境分野など多様な分野における技術開発や事業化の加速を目的とした包括的な連携協定書を締結しており、今回の共同実証は当協定書に基づく第一号の共同研究案件となる。

 近年、地球温暖化防止対策としてCO2排出量の削減が求められており、低炭素化社会へ向けて太陽熱・バイオマスなどの再生可能エネルギーの活用が重要になっている。
 そのなかで、京大では、京都市京北地域の「森の力 京都株式会社」が製造する木質ペレットの効率的な利用方法を検討するなど、再生可能エネルギーをはじめとする環境への取組みを推進している。
 一方、大阪ガスでは、従来より、太陽光・太陽熱などの再生可能エネルギーとガスを組み合わせたシステムの開発・利用促進に取り組んでいる。
一般家庭用のシステムとして平成21年4月から太陽光発電と家庭用コージェネレーションを組み合わせた「W発電システム」、平成22年5月から太陽熱利用ガス温水システム「SOLAMO」、また業務用の空調システムとして平成22年6月から「ソーラーナチュラルチラー(太陽熱回収型吸収冷温水機)」を販売している。

 この度、京大と大阪ガスは、共同研究の取り組みとして、同キャンパス北4号棟に、木質ペレットを燃焼させた熱をもとに冷暖房を行う「木質ペレット焚ナチュラルチラー(木質ペレット焚吸収冷温水機)」と、太陽で温められた熱を利用して冷暖房を行う「ソーラーナチュラルチラー(太陽熱回収型吸収冷温水機)」を組み合わせたシステムを導入した。当システムでは、太陽熱を優先的に利用し、天候等により太陽熱を利用できない時、あるいは、太陽熱だけでは空調需要に満たない時には木質ペレットを利用し、更に必要な場合にはガスでバックアップする制御を自動的に行う。
これらによりシステム全体の約45%を再生可能エネルギーでまかない、従来よりも年間119tのCO2を削減することを目指す。また、このシステムは、再生可能エネルギーを含む複数のエネルギー源を用いることができることから、エネルギーセキュリティの向上にも資するものである。

 両者は、今回の共同実証で、空調システムの実際の運用ベースでの省エネ・CO2削減効果を検証すると共に、木質ペレットの焼却残渣の肥料等への有効活用や、さらなるCO2削減の方策についても検討する。
 また、今後、実証のなかで、京都市内に加え、宇治市内の森林資源の活用も検討する予定である。

 これらにより、京都市・宇治市の森林資源の有効活用、温暖化防止およびエネルギーセキュリティの向上に貢献する、地域協働の地産地消型エネルギー循環モデルの構築を目指す。
 成果次第では一定地域の熱と電気を賄えるようになり、これまでにオール電化により電力会社が熱源の覇権を握ったが、こうした取り組みで電力会社の優位性は太陽光発電・海上風力発電も含め、刃毀れ状態になっていこう。家庭や地域で電気を作る時代に変わって行く。
 

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[ 2011年6月20日 ]
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