コンプガチャ問題はテレビ局=報道機関と消費者庁にあり
9日、携帯電話向けの交流型ゲームで急速な成長を続けてきたネットゲーム大手のグリーやディー・エヌ・エー(DeNA)など7社は、社会的な批判の強まり を受けて、収益源であるコンプガチャの「探検ドリランド」「聖戦ケルべロス」(グリー)、DeNAの「ワンピースグランドコレクション」「ガンダムカード コレクション」(モバゲー=DeNA)などのサービスを打ち切ると発表した。
課金制のくじ引き方式により数種類の特定アイテムを揃えるというもので、揃えたら希少性の高いアイテムが入手できる仕組みとなっている(なかなか集められない確率のシステムとなっている)。
子供がアイテム集めに興じ、親が高額な料金を請求されるトラブルが相次ぎ発生して社会問題化していた。
このたび、消費者庁が「景品表示法違反の可能性がある」(松原仁消費者担当相)として、規制対象とすることを視野に調査を開始した。そのため、グリー、DeNA、NHNジャパン(本部:韓国)、サイバーエージェント、ドワンゴ、ミクシィの6社とKLabが9日、コンプガチャを月内に自主的に終了するとともに、6社は業界のガイドラインを作成すると共同で発表した。
<コンプガチャを助長させた背景>
平成20年9月発生したリーマン・ショックにより、テレビ局は、最大のCM先であった自動車業界やキャノンなどの電子機器業界など大手輸出業者からのCMが急減した。
慌てふためいた放送業界は、番組制作の下請先への発注単価を大幅に落としたほか、下請け切りを強行、CM=利益の減少を食い止めようとした。
そこに救世主が登場、SNSゲームのプラットホーム会社のグリーやディー・エヌ・エーであり、また通販会社であった。まさにコンプガチャの大量のCMは、TV業界にとって、家電業界のCMが大幅に減少するなか新たな金のなる木であった。
規制緩和も進み、消費者を保護するために設置された消費者庁が、自民党政権から民主党政権に変わり、消費者保護行政を牽制する政党がなくなり大きく後退した。(消費者庁の担当大臣がマルチ業界と仲良しであったことも含め、こうした新興の業界は、民主党議員たちの得意先ともいわれている)
グリーは、無料の携帯ゲームを提供するCMを大量に流し続け、会員数はうなぎ昇りに上昇、有料ゲームへと誘導、売上高や利益を急伸させた。
更に、集まった客(グリーでは昨年9月段階で会員2500万人)に対して、利益を貪るため、コンプガチャと呼ばれるプレミアムカード取得ゲーム(ガチャで指定されたカード8枚を引く)を導入した。
深みに嵌ったゲーマーは、子供も含め1ヶ月間に数万円から何十万円も請求される事態となった。また、その超レアカードが、本来違法であるはずの売買が、ヤフオクなどで堂々と売買されるいわゆる「RMT(リアルマネートレード)」に至り、これまた社会問題化した。
また、SNSでは、ゲーマー間のメールのやり取りが可能で、児童が出会い系同様に釣られ、被害児童が増加するという問題も引き起こしていた。
SNSゲームの中でもコンプガチャが問題なのは、それまでのゲームは定額課金制であったものが、コンプガチャになると、アイテムごとの課金制を導入、客から金を吸い上げるシステムとなっていた。そのためこうした問題が発生、課金システムそのものを規制する必要に迫られているといえる。
グリーの業績(下記表あり)において、前期実績から今期の業績の伸びの殆どがコンプガチャによるものと見られている。
そうした高額請求などによる問題から、日経など一部の大手マスコミがやっと取り上げ始め、消費者庁もやっとこさ重い腰を上げた。(残念ながら、可能な限り業界の自主性に任せたいなど、ここに至ってもぬかしている)
(今の消費者庁は、消費者からの問題提起を隠蔽する組織、即廃庁すべき庁である。この間、何回取材しても、他の問題も含め こうした問題が消費者から寄せられているのか尋ねてもあるのかないのか一切解答しない。これでは、情報を消費者庁自身がコントロールしているとしか言いようがなく、発表するかどうかの判断は、政権政党の担当大臣の所管になってしまっている。
マスコミもCM収入との関係で取り上げないことからどうなるのかと恐ろしくもなる。日本では、新聞社とテレビキー局が、実質経営面で一体化しているところに最大の問題点がある。マスコミはこうした問題に対して「報道しない自由」を満喫している)
同庁はまた、通販の薬事法違反問題もすべてなおざりにしてきた。大手の広告が減少するなか、なかなか放映時間帯が取れなかった通販のTV-CMが、今や24時間フルタイムで放映されるに至り、アメリカのマルチ健康食品までCMで流れる始末。
「旧、茶のしずく石鹸」問題では、厚労省から同庁が、アレルギー発生問題の通知書を受け取ったにもかかわらず、注意書面をなくし(意図的に隠蔽した可能性大)、悠香が旧製品を全面リコールすると発表した昨年5月20日までの半年以上にわたって被害を拡大させた消費者のためにならない庁であることも明確となっている。廃庁すべし)
グリーの業績推移
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連結/百万円
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売上高
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当期純利益
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特記事項
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2005年6月期
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22
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1
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2006年6月期
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107
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-15
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2007年6月期
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323
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-100
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2008年6月期
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2,937
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582
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2008年5月TV-CM開始
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2009年6月期
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13,945
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4,467
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4月会員数1000万人突破
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2010年6月期
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35,231
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11,505
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2011年6月期
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64,178
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18,239
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2010年10月CM回数第2位
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2012年6月期予
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170,000
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50,000
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2011年7月「探検ドリランド」投入
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日本テレビ網の業績推移(TV代表)
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連結/百万円
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売上高
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当期純利益
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特記事項
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2007年6月期
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343,651
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18,331
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2008年6月期
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342,188
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10,625
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2007年7月サブプライムローン
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2009年6月期
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324,563
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5,622
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2008年9月リーマン・ショック
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2010年6月期
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296,933
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16,595
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2011年6月期
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297,894
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21,048
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2012年6月期予
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300,500
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19,300
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リーマン・ショックにより、自動車業界・電子機器業界・不動産業界の広告が激減した。
その後、エコポイント導入で関係企業の広告は幾分回復した。その代わり、通販の広告やSNSゲームの2社の広告が激増。またTV局はCMの放映の仕方も変え、放映本数を増加させ、大手の広告減少をカバーしている。
(注、2011年6月期から連結数値、今期予想は最大値掲載)
問題は、コンプガチャ=アイテムごとの課金システムに問題があるといえる。
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
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