アイコン ラウンドワンのビジネスモデルに陰りか

同社は、5月の売上高状況を次表の通り発表した。それを見ると昨年より▲15.1%ダウンしている。4~5月の累計で見ても▲12.3%減となっている。 昨年は東日本大震災の影響から同社は、震災月の2011年3月こそ前年同月比マイナスとなったが、4月5月とイベントの自粛ムードの中、家族連れなどで大 幅に売上高が増加し、その傾向は昨年9月まで続いた。
しかし、10月になると一転して、全店ベースで0.6%の売上高増にとどまり、既存店では▲4.0%減となった。その後、全店の売上高も僅かな伸び率にと どまり、既存店ベースはマイナスが続いた。やっと今年3月に、前年震災の3月はマイナスであったことから全店8.1%増、既存店5.4%増と共に増加し た。

<既存店の売上高減少に歯止めはかかっているのか・・・>
同社は、今4・5月の売上高の減少について、上述のとおり前年4・5月の反動としているが、昨年10月~今年2月まで続いた既存店のマイナスを見れば、何か同社のビジネスモデルに陰りが見えてきているようでならない。
ここまで、大きくなれば、少々新規店舗を増加させても全社の売上高の伸び率には、大きく左右しなくなる。また、現在111店舗を国内に展開しているが、スクラップ&ビルドも必要となっていると思われる。スクラップすれば、当然特損計上が発生し、同社の利益を圧迫することになる。もし、不採算店舗をスクラップしなければ、業績の足を引っ張り続けることになる。そのためにも拡大期にスクラップ化を積極的に行うのであるが・・・。

<借入状況>
同社は大型の店舗を拡大し続けてきたが、一方、有利子負債は2010年3月期末1,388億円に達していた。その後、減少傾向にあり、2012年3月期末には1,109億円と279億円減じている。主たる減少の要因は、責任財産限定分の借入れであり、2ヶ年で471億円も減じている。その差額は、新たな借入金によりカバーされている。279億円の減少は大きい。
同社は本年3月鹿児島の宇宿店を売却して、そのまま賃借、資産の流動化をはかった。しかし、今後とも資産の流動化を積極的に進めた場合、低金利で資金調達しての資産であり、家賃を支払うことにより、利益を圧迫することも予想される。
同社は、駐車場を用意した都心近郊に大きな施設を展開してきた。不動産価格が上昇していった不動産ミニバブル時代にも多くの施設を開発してきた。しかし、これまで大きな評価損は計上されていない。都心近郊であった分、評価損が発生しなかったかもしれないが、評価損(時価が半分以下になった場合計上)は、実質は発生していると思われる。2011年3月期▲126億73百万円の赤字を計上したが、その原因は評価損ではなく、これまでの大型店での出店見直しに伴う出店変更損失として214億51百万円計上したことによるものである。
経営は、これまでに蓄えた分も含め自己資本が798億円(自己資本率35%)もあり問題はないが、昨年10月から(今年3月を除く)続く、既存店の売上高減少に、いつ歯止めがかかるのか注目されるところである。
 最大顧客のジャリタレも親の不況などの影響を受けている。しかも、客寄せに有効な手段であるTV-CMも最近減っているような気がしてならない(昔のようにインパクトのあるCMが流されていないのかもしれない)。

 ラウンドワン    /百万円
5月
全社実績
全社前年比
既存店前年比
ボウリング
2,612
△15.6%
△18.5%
アミューズメント
3,119
△7.6%
△13.5%
カラオケ
651
△9.0%
△12.7%
スポッチャ
914
△2.5%
△12.7%
その他
257
△8.5%
△10.6%
総売上
7,555
△10.1%
△15.1%
平成25年3月期5月までの累計売上高(4月~5月)
ボウリング
5,038
△13.3%
△15.3%
アミューズメント
5,844
△7.6%
△12.1%
カラオケ
1,262
△7.7%
△10.3%
スポッチャ
1,693
1.80%
△5.3%
その他
493
△7.0%
△8.5%
総売上
14,332
 △8.7%
△12.3%
2012年3月期の通期実績
3月期実績
全社実績
全社前期比
既存店前期比
ボウリング
32,334
4.5%
0.4%
アミューズメント
36,127
3.1%
△1.1%
カラオケ
8,134
22.0%
15.8%
スポッチャ
9,403
7.5%
7.5%
その他
3081
18.4%
1.3%
総売上
89,082
6.1%
1.7%
 
ラウンドワンの売上高の月別状況
 
全社売上高前年同月比
既存店売上高前年同月比
2011年3月)
-1.7%
-4.0%
2011年4月
11.5%
6.5%
5月
13.8%
9.0%
6月
10.8%
5.8%
7月
8.7%
4.3%
8月
7.8%
4.2%
9月
8.7%
4.1%
10月
0.6%
-4.0%
11月
1.8%
-2.9%
12月
-0.2%
-4.8%
2012年1月
1.1%
-2.9%
2月
0.1%
-4.3%
3月
8.1%
5.4%
2012年3月期
6.1%
1.7%
4月
-7.0%
-9.1%
5月
-10.1%
-15.1%
 
ラウンドワンの有利子負債の比較
連結/百万円
2010年3月
2012年3月
比較
1年未満償還の社債
913
1,413
500
短期借入金
862
1,238
376
1年未満返済の長期借入金
6,298
15,166
8,868
1年未満返済の長期借入金(責任財産限定)
17,496
1,804
-15,692
社債
8,254
10,026
1,772
長期借入金
65,758
73,406
7,648
長期借入金(責任財産限定)
39,306
7,861
-31,445
合   計
138,887
110,914
-27,973
・責任財産限定とは、債務の元本・利息の支払原資が特定の資産に限定される債務
 
ラウンドワンの業績推移
連結/百万円
2010年3月期
2011年3月期
2012年3月期
2013年3月期予
売上高
82,113
84,303
89,568
90,000
営業利益
12,031
11,416
16,036
14,100
経常利益
7,848
6,929
11,481
10,000
当期利益
3,396
-12,673
2,781
1,000
総資産
251,240
252,106
228,236
 
自己資本
85,629
79,028
79,882
 
資本金
20,924
25,021
25,021
 
有利子負債
138,887
136,159
110,914
 
自己資本率
34.10%
31.30%
35.00%
 
 
[ 2012年6月11日 ]
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