アイコン カネボウ美白化粧品問題  被害者1万人超へ

カネボウ化粧品が7月4日「医薬部外品有効成分「ロドデノール」 配合製品」の自主回収発表以降、販売する「美白効果」を謳った化粧品を使った人の中に、肌がまだらに白くなる白斑などの症状が大量に出ている問題。
美白効果があるとされる「ロドデノール」配合の8ブランド、54製品は、デパートやドラッグストアなどで広く販売されていたことから、被害者が増加し続けている。

<一昨年10月問題発覚、本年5月医療機関からの指摘>
カネボウ化粧品によると、白斑の被害が広がっていると気が付いたのは、本年5月、医療機関の指摘がきっかけだったという。
ところが、さかのぼって調べたところ、顧客が販売店を訪れて被害を訴えたり会社の窓口に電話で連絡してきたりしたケースが合わせて33例あったことが分かった。
最も早い被害の訴えは一昨年10月で、会社側が1年半にわたって対応を取っていなかった事実が明らかになった。

<被害者1万人超の訴え>
被害の訴えは、その後も増え続け、今月4日の時点で会社側に症状が出たと連絡してきた人は1万人を超えているという。

<使用停止で回復へ、しかし・・・>
化粧品の使用をやめることで多くの人は回復するとみられているが、専門家によると、中には1年以上白斑が消えない人もいるという。
  ただ、7月19日現在で、すでに「3箇所以上の白斑」「5cm以上の白斑」「顔に明らかな白斑」のいずれかの症状ありとする重症者が2,250名に上っているとカネボウが報告している。

<美白化粧品 3種類以上の併用試験せず>
問題となっている美白成分を含む化粧品について、実際の使い方を想定した安全性の試験が十分にできていなかったことが分かってきた。
問題となった化粧品についてカネボウ化粧品は、「化粧水」、「乳液」、「ナイトクリーム」、「顔に貼るマスク」、「日焼け止め」の5種類をシリーズ商品として販売し、併用すれば、より効果が得られると推奨していた。
女性は、夏の日ざしから肌を守るために化粧水、乳液、日焼け止めを併用して使ったり、夜、寝る前に肌を整えるために乳液、マスク、ナイトクリームを併用したりするなど3種類以上を併せて使うことも多いが、そうした美白成分の量がより多くなる試験は行っていなかったという。
これについて、長年、大手化粧品メーカーで化粧品の開発などを手がけてきた東京工科大学の前田憲寿教授は、「化粧水やクリーム、パックなどを併用すれば、当然、皮膚内の美白成分の濃度も高くなる。3種類以上の化粧品を使うことも想定した試験を行って安全性をきちんと確認すべきだった。実際の使用方法を踏まえた配慮が必要だったと思う」と指摘している。

また、カネボウ化粧品は、「今回の事態を重く受け止め、今後はさらなる自主基準の設定などを見直し、強化を図っていく必要があると考えています」と話しているという。

美白成分が含まれる化粧品は、医薬部外品として効果をうたうことが認められている一方、長い期間にわたって毎日使い続けるだけに、副作用がないか事前の試験できちんと確認する必要がある。
白くきれいな肌を手に入れたいという「美白ブーム」を背景に、メーカーがより強い美白効果を追求していったことが今回の問題につながったと指摘する専門家もいて、国の承認制度やメーカー側の試験の在り方に改善すべき点がないかさらなる検証が求められる。

(医薬部外品や医薬品については厚労省の認可が必要であるが、原則、国の補償対象となる医薬品に対して、医薬部外品については国の保証はない。ただ単に一般的な製品と同じく製造者責任が問われるものだけとなっている。そのため審査基準も甘くなっている)

以上、参考文面:カネボウHP、NHKなど、

カネボウは、8月4日現在の当該化粧品の回収および回収率について、個人からの回収は約523千個(回収率116.2%)、店舗からの回収616,345個(回収率106.3%)と報告している。

<生かされない過去>厚労省に問題あり
医薬部外品石鹸「茶のしずく」問題でも問われたように、問題が発覚した時、速やかに回収していれば、被害者は今より少なかったものと思われる。「茶のしずく」問題ではリコールが半年遅れた。
利益を追求する企業としては、直接的に大損害を被り、致命傷ともなりうるイメージダウンにもつながり、リコールをなかなか出せないというのが本音であり、厚労省が認可しているだけに、厚労省が医療機関や学会と連携して問題公表および強制的してリコールを発表させるべきである。

ただ、「茶のしずく」問題では、医療機関⇒厚労省側からの通知を消費者庁が通知書をなくしたとの理由で、消費者庁が把握したのは、リコールと同時、厚労省からの通知から半年以上遅れた時点であったという。(2010年10月15日に厚労省は、製品名、製造会社名を意図的に記載せず、石鹸等の小麦成分によるアレルギー問題を発表していた。)

医薬品・医薬部外品については、石潰しの消費者庁はこれまでの経緯からしても、取り扱い外とし厚労省が所管すべきであり、発表すべきである。何でもかんでも消費者庁が消費者にかかわる問題を取り扱うようになったことから、その大きな弊害が生じた。
今回も、カネボウは医療機関から5月報告を受けながら、各種確認の理由をこじつけ、リコール発表は7月4日となった。
同社が、リコール後に判明したという、それまでの問題ありの33件にしても、あまりに少なすぎると思われる。
ただ、厚労省が7月4日発表した美白化粧品問題については、東京都からの通知に基づくものであったとしている(なお、当通知内容について東京都は報道発表していない)。
厚労省には、狸が何匹も住み着いており、医療機関がカネボウに対して問題報告した時点で、厚労省も当然把握していたと思われる・・・。その時点で、所轄省であり強制的にリコールを促せば、被害者が少なかったと思われる、しかし、すべてカネボウの責任とした。医薬部外品であれ、厚労省の認可製品である。東電の福島原発水素大爆発のとんでもない後始末を国として動かない現在の国の有り様と酷似している。

<メディア=マスコミの責任>
こうした化粧品は、メディアのスポンサーであるため、なかなかメディア=マスコミが取り上げないのも実態である。
超大型の宣伝をしていた「茶のしずく」石鹸では、2010年10月20日同社はHPで一部の客に問題があったとの注意喚起の文面を掲載した。先立つ同年10月15日に厚労省は小麦成分のアレルギー問題を発表した。しかし、石鹸名や製造会社名はなぜか伏せられ、関係する部署が製造会社に通知するよう依頼する文面を公表していた。
一方、メディアは翌年の2011年2月までTV宣伝を大量に流し続け、3月になるとTV-CMをピタッと止めた。5月20日悠香からリコールが発表された。メディアは広告費で生活しており、そういうもの。カネボウにいたっては、今後のカネボウの宣伝のほか、親会社の花王の宣伝にも影響してくることから、メディア=マスコミは、カネボウが発表する内容に基づき後手後手にしか対応していないのも実情である。

[ 2013年8月19日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
スポンサード リンク

コメント

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   


PICK UP

↑トップへ

サイト内検索