アイコン 米軍 シリア内戦へ軍事介入 早わかり 化学兵器

1、シリアの位置:
シリア:地中海に面し、北側でトルコに接し、東側でイラン、地中海側の南側からレバノン・陸側のイスラエル・その東側のイラク寄りでヨルダンに接する。
2、首都:ダマスカス
(同国南部でレバノン寄り、都市圏人口:400万人)、第2の都市ALEPPO(同国北部でトルコに北部で隣接、人口:167万人)
3、総人口 : 21百万人。
4、人種 : 90%がアラブ人、ほかクルド人、アルメリア人など。
5、宗教 : スンニ派70%、アラウィー派、ドゥルーズ派などイスラム他派20%、残る10%はキリスト教の東方正教会系。
6、産業: 石油資源に恵まれ、産業バランスの取れた計画経済国。
7、政治体制: アラブ社会主義復興党(バアス党)
8、政権の歴史: 
1946 年シリア共和国としてフランスより独立。1963年軍事クーデターでバアス党が政権奪取、1967年第3次中東戦争でゴラン高原をイスラエルが占領。内部 対立の末、1969年ハーフェズ・アル=アサド(現在のアサドの父)穏健派が勝利、1971年国民投票でバアス党のアサドが当選して大統領に就任、任期 中、台頭してきたムスリム同胞団などを大弾圧、独裁者として知られ、亡くなる2000年まで政権は続いた。

<現政権>
2001年前大統領の次男のバッシャール・ハーフィズ・アル=アサドが大統領に就任し、父親の独裁色を引き継ぐ。父親時代からの長期政権により政治腐敗・官僚腐敗がある。大統領直属の共和国防衛軍と国軍があり、反体制派へは弾圧を続けている。

<シリアの政府軍の軍事力>
1、) 陸軍:兵力22万人。シリア騒乱では反体制武装勢力の自由シリア軍およびアル=ヌスラ戦線との激しい攻防を展開している。ただ、離脱で現在の兵力は半分。
2、) 海軍:兵力5千人、第四次中東戦争やラタキア沖海戦でイスラエル軍と戦闘。
3、) 空軍:兵力7万人。戦闘機はロシア製。
4、) 防空軍:兵力4万人。ロシア製ミサイル等武器多数。
5、) 兵器:1000発のミサイル、365機の軍用機、650ヶ所の対空防衛施設、戦艦4隻
6、) 共和国防衛隊:兵力不明だがアサド直属の精鋭部隊でダマスカスに展開

9、内戦:
 元々宗教戦争(政府とムスリム同胞団)、(政府とスンニ派過激派)、(政府とクルド人過激派)、(サラフィー派とクルド人)などの抗争があったが、2011年1月のアラブの春により、政府軍と反政府勢力が軍事衝突。 政府軍のアスアド大佐が反旗を翻し、「自由シリア軍」を創設して内戦状態に、更に政府軍のハルムーシュ大佐も合流して内戦拡大、ムスリム同胞団も参戦して反政府組織の一大組織となっている。
スンニ派のクルド人の過激派、アルカイダ(元はムスリム同胞団系・スンニ派)など、内戦に関係する宗教(各派)・民族系など山ほどの組織が参戦しており、アサド政権が崩壊したとしても、その後はイラクのように更なる内戦状態に入る可能性が高いとされる。

10、難民: 国連による8月段階の難民数は約190万人と報告されている。難民避難国:レバノン37%、ヨルダン27%、トルコ23%ほか

11、国際情勢:
8月22日、化学兵器使用とのダマスカス発で報道され、 政府軍か、反政府軍か使用し、約1400名が死亡した。国連現地調査団が入り、8月31日に終了、約2週間で国連に報告される。
米情報機関はシリア政府軍がサリンを使用したと断定、オバマは、「化学兵器使用は罰すべき事項」とし、8月28日以降、いつでも限定攻撃する体勢にあった。しかし、米国の盟友の英国が参戦を議会から否決され、また、米世論調査での参戦への批判が多く、30日には議会に諮るとトーンダウン、攻撃は、議会の審議が始まる9月9日以降となった。

12、<<シリア内戦>>
(1)反体制組織
1、自由シリア軍
2011年アラブの春で、政府軍のアスアド大佐が反旗を翻し自由シリア軍を創設して内戦に、政府軍のハルムーシュ大佐も合流して内戦拡大、反政府組織となっている。 
(ただ、自由シリア軍はトルコにしばらく拠点を構えていたことから、トルコから大量に自由シリア軍に武器が渡ったと推量される。)
それにスンニ派のクルド人の過激派も加担、アルカイダ(元はムスリム同胞団系)も動いている。
2、ムスリム同胞団
以前からアサドから弾圧され、反体制闘争を繰り広げている。
1,2に共通するのは、スンニ派という宗教でまとまっている。
3、クルド族ほか
アサドに対して過激派と穏健派に分かれる。クルド人は弾圧続けるトルコとは敵対関係

(2)外部関係(利害と宗教により反政府組織もしくは政府軍へ援助)
敵対関係:トルコ、イスラエル、サウジ、欧米、イランなど。トルコはアサド政権を倒せと主張
友好関係:イラン、レバノン、ロシア、中国など

(3) 国連安保理事国
米国:これまで慎重姿勢であったが、シリア国内で化学兵器が使用され、米情報当局調査で、一方的にシリア軍が使用したと言明、28日にもシリア軍基地を攻撃しようとしたが、英国議会の参戦否決と国民アンケート調査で参戦反対が多く、米議会に諮るとトーンダウン、9日から始まる審議で可決されれば、即、攻撃に入ると見られる。
英国:キャメロン首相は参戦派だが、議会から否決された。国連報告で再検討か。
仏国:オラント首相も参戦派だが、英国の議会結果を受け、少しトーンダウン。
露国:シリア政府への武器売却国であり慎重姿勢。
中国:攻撃は化学兵器使用の国連調査団の報告を待つべきだと主張。

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図:AFP

米軍は、主要時間2日間で、化学兵器貯蔵施設などの限定攻撃を行うとしている。しかし、化学兵器貯蔵施設は、軍施設の未知数の各所+首相府などにもあり、限定攻撃を仕掛けるとしても、大量に集中攻撃するものと思われる。650ヶ所が防空防衛施設ならば、全部巡航ミサイルで破壊尽くすだろう。しかも、シリアが、地対空ミサイルや戦闘機により応戦すれば、軍施設及び隣接の民間施設も破壊しつくされてしまうことだろう。
更に、シリアが捨て作戦で、イスラエルへミサイルでも撃ち込めば、イスラエルの空軍部隊が出動、米軍も海上から限定的としながら上陸作戦を展開する可能性もある。
イスラエルは28日、すでに、全ミサイルの防御システムの発動を終えており、シリアが攻撃してきた場合、ミサイル攻撃や空爆の可能性も秘めたあらゆる措置をとると言明している。
しかし、たとえ、アサド政権を倒したとしても、宗教でまとまらない限り、自由シリア軍内部もバラバラ、ムスリム同胞団やクルド人もおり、イスラム原理主義過激派およびアルカイダも暗躍、政治的な混乱は内戦を伴い、続くものと思われる。

日本は、米軍に対して、英国や仏国・ドイツ・イタリアなどがそうであるように、集団的自衛権の法制化後は、世渡りが下手なことから、アメリカが軍事介入する内戦や仕掛ける戦争へは見境なしに全箇所、自衛隊を派兵することになる。多くの犠牲者が出て、国内で見直しされる可能性はある。靖国神社へ奉るのであろう。世渡りが上手になることを祈る。

[ 2013年9月 2日 ]
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