アイコン 台湾の総統府前"黒服"と"ひまわり"の市民50万人溢れる 中共寄り馬総統にダメージか

参加者は「黒服」に身を包み、手に「ひまわり」を持っている。「黒服」はサービス分野市場開放協議が「黒箱(密室での調印)」だという批判を表し、「ひまわり」は「不透明な協議決定に光を」との主張を示している。

<経過等>
2014年3月17日に立法院で、台中間のサービス分野の市場開放を目指す「サービス貿易協定」の批准に向けた審議を委員会で行っていたが、与党・中国国民党の立法委員(議員)が、時間切れを理由に一方的に審議を打ち切ったため反発が広がった。
これに対して、学生ら18日、サービス貿易協定を批准すれば、台湾の多くの中小企業の経営が成り立たなくなるとして、立法院(国会)に突入占拠した。
別の学生一派は23日に行政院(内閣)に突入。しかし、行政院の学生たちは24日までに警察により強制排除され、流血の事態となった。
学生らは30日正午現在も立法院議場(国会)などの占拠を続けている。立法院長である王金平氏は、「サービス貿易協定」の進め方で馬英九と反目しており、学生の排除にも否定的であるとされる。

30日、反発を強めている学生や市民らは、台北市内の総統府前で大抗議集会を開催、当初10万人を予定していた集会が、なんと50万人(主催者側発表、メディア推計40万人)に膨れ上がった。

一方、当局側は29日夜から軍事警察 SWAT チームの「夜鷹部隊」と呼ばれる特殊部隊を投入するなどで厳戒態勢を取っている。総統府に突入を試みる者が出た場合には、実弾射撃も辞さない構えとされていた。
 
30日の総統府前の集会には、台湾メディアによると、学生など若年層だけでなく、学生らの父親に相当する年代の40・50代や70歳を超えた高齢者の姿も多く見られたという。
学生市民の動きは、馬政権のこうした個別の政策に対してだけでなく、政権側による力ずくの弾圧が顕著として、「非民主的」、「ヒトラーと同じ」などと、馬英九総統そのものに対する非難へと、事態はエスカレートしつつあるという。

馬英九総統と呉敦義副総統、江宜樺行政院長(首相)は27日、両岸サービス貿易協議は、その後に続く両岸商品貿易協議に関わるものであり、些細なことが全局に影響を及ぼしかねないとの見方を示している。(サービス貿易協定は些細なことと発言している)
30日の集会について、李登輝元総統は、学生らの行動について、国家への情熱や考え方、未来の追求など、台湾の民主的な力を全世界に向けて示し、国への希望を見せてくれたと評価、国是会議の開催を呼びかけたと報じられている。(追、記者の叔父が、李元総統と2月お会いしたばかりだ。土産話はまだ聞いていないが・・・)

以上。

馬総統は、中国寄りで知られる人物、中国は台湾に対し、大きな懐の意のままに経済交流を深め、同質化を測っている。その先には、政治体制の統一であることはいうまでもない。中国による1国2制度は当然ながら過渡的なものだ。
こうした馬総統の政治姿勢に対して、台湾の学生や市民が反旗を翻している。中国に対する台湾のサービス分野の経済開放に対して、国内のサービス産業が、中国の巨大資本に飲み込まれてしまうと懸念を表明、一機に学生による国会占拠となった。
これに対して、頑なに対話を拒絶していた馬政権であったが、24日の流血事件に至り、増加する一方の抗議活動の勢力にも押され、対話することを表明した。
馬総統は、学生たちの4つの質問に対して、説明を行ったものの、協議撤回には応じられないと要求を拒絶した。
もしも、今回の総統府前の集会が暴徒化し、馬政権が特殊部隊の「夜鷹部隊」に対し実弾射撃を命じた場合、中国天安門事件の再来となるものであった。

自由のない中国、政権批判は記事であっても100%カットされ、もしも書こうものなら、別事案を捏造され、記者は即抹殺されてしまう。ネットでは、10万人いるともされるネット専門監視員により、中国共産党=政治批判記事は瞬く間に削除され、そのほとんどが陽の目を見ない。海外報道機関の記者でも政権の意にそぐわない記事を掲載すれば、直ちに国外退去、属する報道機関も制裁を受ける。これが中国の元老統制の現実だ。

香港では、中国当局をよく批判していた新聞社の編集幹部たちが2度にわたって襲われる事態も発生している。中国当局による香港の締め付けが政治的にも段々強くなってきているようだ。

自由の国台湾の馬政権は、自由のない国中国との一国2制度の統一を目論んでいるのだろうか。

つまるところ、台湾は中国とFTA(自由貿易協定)交渉を行っているようだ。日本も韓国・中国3ヶ国間のFTAの交渉の過程にある。ただ、政治的な縺れから、日本の参加は後退している。一方、TPPには、中国の参加はまだとしながら、米国主導で動いている。これには、日本に異常にライバル意識を燃やす韓国も先般参加表明を行った。台湾の馬総統も7月までに参加表明する見通しである。

問題は、中国と台湾との関係、中国は台湾(正式には中華民国)を国として認めておらず、中国は台湾を経済を取り込み、長時間をかけ、いずれ政治的にも吸収する算段で動いている。

今回の大集会主催者代表の「林飛帆」氏が、政治に身を投じたのは、中国から来賓が訪れた時、馬総統は台湾国民に対して国旗の掲揚・保持をさせなかったことに激憤したことに始まるとされる。当時林代表は、問題提起したものの盛り上がらず、その後、全国の学生組織と連携をはかってきたとされている(通常、国家来賓が訪れる場合、両国の国旗を歓迎の市民たちが打ち振るのが慣わしだ。馬総統は自らの国を否定したのも同然だ)。

国民総インポになった日本より、まだ台湾国民は政治的にしっかりしているようだ。

 

[ 2014年3月31日 ]
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