日本大量進出のインドネシア総選挙 ユドヨノ汚職で大敗 各政党の特徴付 ジョコ・ウィドド知事
今回の国会議員総選挙は、7月9日行われる大統領選挙に直接影響するものだったが、前回新党ながら第一党となったユドヨノ現大統領の民主党は、汚職スキャンダルにさいなまれ大敗した。
すでに、大統領選向けに連合すると発表する政党もあるなか、票は減らしたものの第2党となったゴルカル党などは態度を決めておらず、混沌とした状況となっている。
しかし、西欧民主主義を否定し、独裁者スハルトの政治姿勢を支持するグリンドラ党が、農民層を支持母体に第3党に躍進、大統領選に向け、ゴルカル党と連合する動きなど、混迷を深めるものとなった。
タイの政治的混乱と同じく都市部と農村部の対立が根底にあり、今後の政治動向は、ここ2~3年、安倍政権では解決できない中国問題から、その進出先を、同国の経済成長と2億47百万人の市場に魅了され大量に進出した日本企業も留意していく必要がある。
7月の大統領選では、ウィドド・ジャカルタ知事が勝てば、大きな混乱はないと見られるが・・・。
<選挙結果>
インドネシア総選挙委員会は5月9日、4月9日に実施された総選挙の最終結果を公表した。最大野党・闘争民主党の得票率が18.9%となり、第1党となった。
ユドヨノ大統領(元陸軍大将)が率いる民主党の得票率は、前回選挙では20%を超えていたが、今回は汚職スキャンダルで10.2%の得票率と大敗した。
ただ、闘争民主党がジョコ・ウィドド・ジャカルタ知事を大統領候補に推すためには、25%の得票率が必要であり、選挙結果公表直後、得票率9.0%の民族覚醒党と6.7%の全国民主党(NasDem)とが支持する動きをしている。
ゴルカル党は、得票率14.8%で第2党。グリンドラ党は11.8%。両党は連立を協議したが、これまでのところ合意は得られていないという。
7月9日に実施される大統領選の候補の届出期限は5月18日となっている。
インドネシア国会議員選挙 560議席 配分決定
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政党
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党首
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得票率%
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現議席
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新議席
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増減
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闘争民主党
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ジョコウイ
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18.95
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93
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109
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16
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ゴルカル党
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バクリー
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14.75
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108
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91
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-17
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グリンドラ党
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プ゙ラボウォ
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11.81
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30
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73
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43
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民主党
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ユド゙ヨノ
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10.19
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150
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61
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-89
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民族覚醒党
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9.04
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47
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国民信託党
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7.59
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49
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福祉正義党
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6.79
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40
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全国民主党
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6.72
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35
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開発統一党
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6.53
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39
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ハヌラ党
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5.26
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16
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10党
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560
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・投票率3.5%未満の政党には議席なし。投票率75.11%、投票数:1億2,497万票
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・色分けは7月の大統領選で連合を組む党、無色は未定。
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1、闘争民主党:独立の父、スカルノ元大統領の娘、メガワティ女史を党首としていた(PDI-P)、
2、ゴルカル党:スハルト独裁政権を支えた翼賛政党、
3、グリンドラ党:党首プラポウォの義父は独裁者スハルト、イスラム国家主義者として独裁を支えたパンチャシラ教育を再志向する。所得の農民への再配分。
4、開発統一党:スハルト独裁政権下で統合されたイスラム政党
5、国民覚醒党(PKB):イスラム政党の開発統一党から離脱したNU系のイスラム政党
(NUは4,000万人、スンニ派の伝統主義を重んじ、農村や辺境諸島地域に支持基盤。)
6、国民信託党(PAN):ムハマディア1800万人を支持基盤とするイスラム政党
7、民主党(PD):メガワティ政権下で政治・治安調整相で清廉な印象のユドヨノ氏(元陸軍大将)の新党。前回の大統領選では前評判で圧倒したメガワティ元大統領を負かし大統領となった。
8、福祉正義党(PKS):都市イスラム層を基盤とし「清潔な政府」樹立を掲げる党。
統計では、イスラム教が76.5%、キリスト教が13.1%(プロテスタント5.7%、独立教会4.0%、カトリック2.7%、他)、ヒンドゥー教が3.4%、伝統信仰が2.5%、無宗教が1.9%、その他が2.6%となっている。
ただ、バリ島ではヒンドゥー教が、スラウェシ島北部ではキリスト教(カトリック)が、東部諸島およびニューギニア島西部ではキリスト教(プロテスタント、その他)が優位にある。
イスラム教徒は1億7千万人とされている。
<ジョコ・ウィドド・ジャカルタ知事>
1961年6月21日生(52歳)、闘争民主党所属、
貧困の大工の家の出身、努力して大学卒業、庶民派として知られる。2012年、首都ジャカルタ特別州知事に就任。
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