アイコン 4月の経常収支1874億円 1982年来32年ぶりの低水準

海外との貿易や金融取引などでどれだけ稼いだかを示す本年4月の「経常収支」は、円安の影響で貿易赤字の金額が拡大したことなどから、経常黒字額は前年同月に比べ▲76%減少し、4月としては1982年(昭和57年)来の低水準となった。
円安では、円安の分だけ企業利益を決算で増加させたが、輸出数量が、家電・電子製品の没落による構造変化するなか、すでに大手企業が海外に工場を移転させているため、増加せず、頭打ちとなっている。逆に日本の景気回復により、海外日系工場からの輸入が増加し、円安メリットを帳消しにしている。

4月の経常収支1874億円 1982年来32年ぶりの低水準
海外との貿易や金融取引などでどれだけ稼いだかを示す本年4月の「経常収支」は、円安の影響で貿易赤字の金額が拡大したことなどから、経常黒字額は前年同月に比べ▲76%減少し、4月としては1982年(昭和57年)来の低水準となった。
円安では、円安の分だけ企業利益を決算で増加させたが、輸出数量が、家電・電子製品の没落による構造変化するなか、すでに大手企業が海外に工場を移転させているため、増加せず、頭打ちとなっている。逆に日本の景気回復により、海外日系工場からの輸入が増加し、円安メリットを帳消しにしている。

経常収支の内訳
 
金額
前年同月比による増減額
貿易・サービス収支
▲1兆4,401億円
▲2,104億円
(赤字幅拡大)
 
貿易収支
▲7,804億円
▲722億円
(赤字幅拡大)
 
輸出
5兆9,796億円
+3,490億円
(+6.2%増加)
 
輸入
6兆7,600億円
+4,212億円
(+6.6%増加)
 
サービス収支
▲6,597億円
▲1,382億円
(赤字幅拡大)
第一次所得収支
1兆8,331億円
▲2,882億円
(黒字幅縮小)
第二次所得収支
▲2,056億円
▲983億円
(赤字幅拡大)
経常収支
1,874億円
▲5,969億円
(▲76.1%黒字幅縮小)
 
海外からの配当や利子などのやりとりを示す「第一次所得収支」が、黒字幅を縮小し、「貿易・サービス収支」が赤字幅を拡大したこと等から、経常収支は黒字幅を縮小した。

1.貿易・サービス収支
▲1兆4,401億円の赤字(前年同月比▲2,104億円 赤字幅拡大)
「貿易収支」及び「サービス収支」がともに赤字幅を拡大したことから、「貿易・サービス収支」は、赤字幅を拡大した。「貿易・サービス収支」の赤字は、25ヶ月連続となった。

(1) 貿易収支
▲7,804億円の赤字(前年同月比▲722億円 赤字幅拡大)
自動車や科学光学機器を中心に輸出が増加したものの、液化天然ガスや半導体等電子部品を中心とした輸入の増加が上回ったことから、貿易収支は赤字幅を拡大した。
<輸出>
輸出:5兆9,796億円(前年同月比+3,490億円[+6.2%]増加)
前年同月比で14ヶ月連続の増加(前月:+6.2%増)。
<輸入>
輸入:6兆7,600億円(前年同月比+4,212億円[+6.6%]増加)
前年同月比で18か月連続の増加(前月:+23.2%増)。

[参考1] 平成26年4月分貿易統計(通関ベース:財務省関税局5月29日付公表)
(1) 輸出:6兆675億円(確報値:前年同月比+2,917億円[+5.1%]増加)
「主要地域別」では、対中国(同+972億円 [+9.7%])、対EU(同+718億円 [+12.7%])等が増加。
「商品別」では、自動車(同+439億円 [+5.1%])、科学光学機器(同+253億円 [+15.0%])、プラスチック(同+203億円 [+10.9%])等が増加。
(2) 輸入:6兆8,792億円(9桁速報値:前年同月比+2,261億円[+3.4%]増加)
「主要地域別」では、対中国(同+1,132億円[+7.8%])、対EU(同+575億円[+9.1%])等が増加。
「商品別」では、液化天然ガス(同+639億円[+11.0%];数量は+2.3%)、半導体等電子部品(同+540億円[+30.6%])等が増加。一方、原粗油(同▲1,404億円[▲11.2%];数量は▲15.4%)等が減少。

[参考2]原油価格(石油連盟)
ドルベース:109.44米ドル/バレル(前年同月比▲1.7%) 。円ベース:70,486円/キロリットル(前年同月比+5.0%)

(2) サービス収支
▲6,597億円の赤字(前年同月比▲1,382億円 赤字幅拡大)
「旅行収支」が昭和45年7月以来約44年ぶりの黒字となった(177億円の黒字)。
一方で、海外における研究開発や資源開発が増加したこと等により「その他サービス収支」が赤字幅を拡大したこと等から、「サービス収支」は赤字幅を拡大した。

[参考3]訪日外国人旅行者数(4月):1,231,500人(前年同月比+33.4%)、出国日本人数(4月):1,190,000人(前年同月比▲4.4%)(出典:日本政府観光局(JNTO))
2.第一次所得収支
1兆8,331億円の黒字(前年同月比▲2,882億円[▲13.6%]  黒字幅縮小)
直接投資に係る配当金・配分済支店収益の受取減少等により直接投資収益が減少したことに加え、証券投資に係る債券利子の受取減少により証券投資収益も減少したこと等から、第一次所得収支の黒字幅は5ヶ月ぶりに縮小した。
用語
第二次所得収支とは・・・
居住者と非居住者との間の対価を伴わない資産の提供に係る収支状況、官民の無償資金協力、寄付、贈与の受払等が計上されている。

サービス収支とは・・・ 
サービス取引の収支を示す。
サービス収支の主な項目は、輸送:国際貨物、旅客運賃の受取・支払、旅行:訪日外国人旅行者・日本人海外旅行者の宿泊費、飲食費等の受取・支払、金融:証券売買等に係る手数料等の受取・支払
知的財産権等使用料:特許権、著作権等の使用料の受取・支払。

[ 2014年6月 9日 ]
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