アイコン アメリカ FRB量的緩和政策終焉決定へ

アメリカの中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会は28日から2日間の日程で金融政策を決める会合を開始した。
今回の会合では、市場に大量の資金を供給する「量的緩和」の終了を決定する方針。
アメリカでは、リーマン・ショック直後からFRBが、これまで3度にわたって量的緩和を実施してきた。金融機関からアメリカ国債や住宅ローン関連の証券などを買い取って資金を供給し続けてきた。

1度目は、2008年11月から2010年3月にかけ、約1兆7000億ドル。
2度目は、2010年11月から2011年6月にかけ、6000億ドルをそれぞれ供給し金融不安を抑え込み、景気を下支えした。
3度目は、一昨年9月、景気回復の足取りがなお弱いことに危機感を強めたFRBは、量的緩和の再開を決め、雇用の改善が明確になるまで無期限に行うという強力な姿勢で毎月850億ドルを市場に流し込んだ。
こうした対応もあって、アメリカ経済は緩やかな回復を続け、一時10%に達した失業率が6%台まで下がった昨年12月、FRBは量的緩和の縮小を開始すると宣言した。
その後、国債などの買入規模を金融政策を決める毎回の会合で100億ドルずつ減らしてきた。

<FRB政策の世界経済への影響>
FRBの緩和マネーは、アメリカにとどまらず世界中に行き渡って株価を押し上げ景気回復を支えてきた。
そしてFRBが量的緩和を縮小し、緩和マネーの流れが変わるのではないかという観測は金融市場に波乱を引き起こしてきた。
昨年5月、当時のFRB議長が「雇用の改善が続けば、今後、数回の金融政策を決める会合の中で、量的緩和を縮小することもありうる」と発言した翌日、東証では日経平均株価が1日で1000円以上も下落した。アジアやヨーロッパの株式市場でも一斉に株安が進んだ。
また、インドやインドネシアなどの新興国の金融市場では、ドル投資金を引き揚げる動きが強まって急速に通貨安が進んだ。
 こうした市場の動揺を受けて量的緩和の縮小は、世界経済に悪影響を及ぼしかねないリスクの1つとされ、G20の会議でも主要な議題になっている。
FRBが市場に大量に供給してきた資金の流れが変われば、世界経済にいかに大きな影響を及ぼしうるのかを示している。
以上、

FRBの量的緩和措置の終了決定は、米国の金利が上がることを意味し、これまで、タレ流され続けてきたドルによる世界の新興国=リスクが高い投資金がアメリカに回帰することになる。しかし、これまで、狼少年のように何回ともなく緩和終了のFRBの動きは報道されてきており、今回は新興国において大きな混乱はないと思われる。一番懸念されるのは、金利上昇によるアメリカ経済の失速となる。
世界3大経済圏(米国・欧州・中国)の中で、欧州経済はウクライナ問題の制裁合戦で、少しだけ回復の兆しを見せていた経済が再び下落、ユーロ圏の第2位の経済規模のフランスでは失業率が過去最大となっている。また、中国経済は、リーマン・ショックから内需拡大政策を採ったものの、不動産バブルが顕著となり、昨年から当局が金融引き締め政策を採用、今ではバブル崩壊に至っている。その影響は、不動産業界にとどまらず、こうした投機資金などの利益により消費が堅調であったことから、消費指数も悪化するに至っている。中国経済は、アメリカ一国の経済回復だけでは、その規模が大きくなりすぎており、欧州経済が立ち直らない限り、中国経済の成長率も鈍化し続けるものとなる。現に第3・四半期(7~9月)の経済成長率は7.3%(6年ぶりの低成長)まで下落している。

こうしたことから、欧州に続き、中国経済の悪化も現実的なものとなれば、堅調なアメリカ経済も低迷する可能性も高い。
 日本経済は、円安政策により輸出主導型になっており、アメリカ経済や東南アジア経済に左右される。アメリカが東南アジアから資金を急激に引き上げれば、当然、為替安問題を引き起こし、パニックに陥ろうが、先述したとおり、狼少年のFRBであり、大きな混乱はないと推量される。しかし、少なからず影響はあり、目先、輸出低迷、東南アジアへの進出工場の稼働率悪化、利益減退も予想される。
 日本も含め世界経済は、今後のアメリカ経済の動向次第となっているようだ。
(日本の輸出型製造業は、円安効果による莫大な利益と海外進出工場(現地法人化)の利益還元により、多くの利益を出しているが、工場が海外移転し続け、日本からの輸出数量はまったく伸びていない。)

 

[ 2014年10月29日 ]
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