アイコン 中国の粗鋼生産設備3億トン分余剰 日本の全生産量の3倍

中国は長い間、閉鎖的な共産党独裁政権の下、景気の波というものをまったく理解していない企業が多いようで、拡大あるのみのようだ。間違えた開放経済により政府のコントロールも問題が発生してから、対処するという悲劇的な道を歩んでいる。

中 国ではリーマン・ショック後の内需政策により、巨額なインフラ投資がなされ、不動産バブルを演じ、鉄鋼業界は中国の空をドス黒いスモッグにしながら生産を 続けてきた。しかし、不動産バブルも過度に至り、政府の調整もシャドーバンキング資金の流入で一向に冷えず、シャドーバンキングの規制や総量規制を行い、 不動産市場の沈静化をはかってきた。しかし、シャドーバンクを通して稼いでいた多くの国民は大損したり、利益を得ることができなくなり、こうした層の消費 も急激に減じ、経済成長率の押し下げに至っている。また不動産会社は値が下がれば買い戻し特約付で販売したり苦肉の策で販売しているが、まだ多くの在庫を 抱え込んでおり、新たなる不動産開発にはかなりの時間を要するものとなっている。

建設需要でこれまで増加してきた粗鋼生産量も、建設需要が激減している中、生産設備だけが過剰設備になるも、いろいろ画策して海外輸出を増加させ生き残りを掛けている。守銭奴国家でもある中国では政府が介入しない限り、過剰生産設備の調整など考えられず安値で販売するしかなくなっている。
それにしても、過剰生産設備をどうするのか中央政府が問われるものとなっている。
中国の粗鋼生産は、あれよあれよと世界で独占した太陽光発電セル生産の状況に類似している。

中国メディアの欧浦鋼網は10日、生産能力の過剰に苦しむ中国の鉄鋼業界が輸出量を増やし続けていることを紹介し、「中国鉄鋼業界が直面している苦境はますます制御不可能になりつつある」と報道している。
記事は、日中双方の通関データの食い違いが日本の鉄鋼業界関係者を悩ませているとし、中国の統計データでは2年前から価格の高い合金鉄などの輸出量が増えており、日本に輸出される鉄鋼の99%を占めていると伝えた。一方、日本の統計データでは合金鉄などの輸入は中国からの鉄鋼輸入全体の5%に過ぎず、「残りの95%はごく普通の鋼材扱いとなっている」と報じた。

 続けて、日本の商社関係者の発言として、「われわれはこれまで同様、中国からは普通の鋼材しか輸入していない」と伝えた。さらに、なぜ中国は「普通の鋼材を合金として扱っているのだろうか」と疑問を呈したうえで、同関係者が「鋼材にわずかでもホウ素を加えて合金扱いにしているのではないか」と推測したことを紹介した。

 さらに、別の商社関係者の話を引用し、「中国の鉄鋼メーカーが価格の9-13%にあたる租税還付金を値下げの原資にしている可能性がある」としたほか、アジア諸国では合金に対する関税が低めであることも理由の1つだと紹介。
 
 事実、マレーシアでは普通の鋼材には20%の関税がかかるが、合金は免税扱いになるとし、「中国の鉄鋼メーカーは輸出時に合金として輸出することで価格を最大で30%ほど低下させることができ、価格競争力を持たせることができる」と報じた。

 また記事は、中国鉄鋼業界の過剰生産能力は年3億トンに達し、日本の粗鋼生産量の約3倍にあたると指摘。
中国産の鉄鋼はすでに大きく値崩れしていることや、鉄鋼メーカーの大半が赤字操業を続けていることを挙げ、「中国鉄鋼業界が直面している苦境はますます“制御不可能”になりつつある」と論じた。

単位/百万トン

世界の粗鋼生産量ランキング 世界鉄鋼協会編
順位
国/地域
2009
2011
2012
2013
 %13/12
1
中国
577.1
694.8
724.7
779.0
7.5
欧州連合
139.3
177.7
168.6
165.6
-1.8
2
日本
87.5
107.6
107.2
110.6
3.1
3
アメリカ合衆国
58.2
86.4
88.7
87.0
-2.0
4
インド
63.5
73.6
77.3
81.2
5.1
5
ロシア
60.0
68.9
70.4
69.4
-1.5
6
韓国
48.6
68.5
69.1
66.0
-4.4
7
ドイツ
32.7
44.3
42.7
42.6
0.0
8
トルコ
25.3
34.1
35.9
34.7
-3.4
9
ブラジル
26.5
35.2
34.5
34.2
-1.0
10
ウクライナ
29.9
35.3
33.0
32.8
-0.5
11
イタリア
19.8
28.7
27.3
24.1
-11.7
12
中華民国(台湾)
15.8
20.2
20.7
22.3
8.0
13
メキシコ
14.1
18.1
18.1
18.4
1.8
14
フランス
12.8
15.8
15.6
15.7
0.5
15
イラン
10.9
13.2
14.5
15.4
6.6
16
スペイン
14.4
15.5
13.6
13.7
0.7
17
カナダ
9.3
13.0
13.5
12.5
-7.8
18
イギリス
10.1
9.5
9.6
11.9
23.8
19
ポーランド
7.1
8.8
8.4
8.0
-4.9
20
オーストリア
5.7
7.5
7.4
7.9
7.0
世界
1235.1
1529.2
1552.9
1607.2
3.5

 

 
[ 2014年12月15日 ]
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